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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

盤上の向日葵

2021-01-10 18:08:29 | 読んだ本

柚月裕子 2017年 中央公論新社
丸谷才一さんの書評の影響などから、ひと月に一冊ぐらいはミステリーも読もうとはしているのだが。
イギリスの古典とかばかりぢゃなくて、めずらしく日本の最近のものを読んでみることにしたのが、これ。
去年9月くらいだったかな、文庫版が出たって何かでみて、ぢゃあ買ってみるかと思ったのはいいが。
笑っちゃうことに、よせばいいのにネットこそこそ検索すると、文庫二分冊より単行本の古本のほうが安いじゃん、とかヘンなことに気づいて買ってしまった。
だからー、もう置くとこないんだから大きい本は買うのやめようって自分で決めたばっかじゃーん、と。
私の買い物動向はいいとして、ミステリーとりあげるときは、謎とされてる部分を抜き書きして、それに対する感想なんかを書いてしまっては味消しだから、書きかたむずかしいんだが。
帯にでっかく「実業界の寵児で天才棋士。本当にお前が殺人犯なのか?」なんて書いてしまってあるんで、そういう話だと言ってしまうのはかまわないらしい。
序章で二人の刑事が山形県天童でやってるタイトル戦の会場に乗り込んでくるんだけど、それは容疑者の目星がついてて来てるってことなんで、なんでそうなってんのかってのを以下さかのぼってからの物語を読むことになる。
事件は埼玉県の山中でみつかった白骨死体、殺されてから埋められたのではないかということ。
現場には、遺留品というか、名工の作による駒一式が、死体の胸のあたりに置かれて一緒に埋められていた。
犯人だれなのかっていうより、死体の身元は誰なのか、なんで数百万の価格がつく駒が埋められてたのか、そっちのほうが解かれるべき謎で、それがだんだん明かされていく。
事件発生は平成6年の話で主役は二人の刑事、もうひとつのそこに至るストーリーは昭和46年に小学三年生だった少年のとこから始まって、少年の成長を追っかけてくと平成6年現在に追いつくんだが。
将棋の知識は、ストーリーの場面場面読んでくなかでも、謎を解くうえでも、まったく必要ない。
知ってると人物のモデルが、ああ、これは羽生さんねとか、これは小池重明なんでしょとか思い当たるだけ。
(小池重明氏については『真剣師小池重明』のほうがおもしろい。)
わかんないのは、タイトルにある、なにがヒマワリなんだってことだったんだけど、最後のほうになって、なるほどそういうことって感じで出てくる。
そういう使い方するかあ、って気もして、なんか特に感心するものでもなかった。
っつーか、ヒマワリ関係のシークエンスは浮いてるようで、なんかピースがピタッとはまった感がしなかったんだよね。

コメント
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