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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

プロフェッショナル

2017-08-19 18:51:32 | 読んだ本
ロバート・B・パーカー/加賀山卓朗訳 2012年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
3月くらいに買ったんだったか、この文庫は、このくらい新しいのになると手に入りやすかった。
読んだのは、またしても飛行機か新幹線のなかでだったはず、7月はあちこち行ったので。
スペンサー・シリーズの37作目、原題は「The Professional」、そのまんまだ、なんのプロかというと、ユスリのプロ。
最初にスペンサーに仕事の依頼にきたのは金持ちをお得意にする弁護士だが、刑事弁護士のリタ・フィオーレにスペンサーをすすめられたという、それにしてもシーズン後半に入ってからはリタの出番が多い。
実際にトラブルにあっているのは4人の女性で、みんな歳のはなれた金持ちの夫がいる、夫68歳と妻31歳とかそれくらい離れてる。
で、みんなして同じ男と浮気して、いまになって関係をばらすぞと強請られている、大金を要求されてるが、当然払いたくない。
夫にも知られたくないし、社会的な地位みたいなのも失いたくないし、波風立てずにユスリをやめさせたいというのが依頼内容。
相手の男のホントの名前も、どこ住んでるかも知らないでおいて、そんな都合良く解決しないだろと思うんだが、スペンサーは浮気調査とかふだん引き受けないわりには、あっさり男が何者かつきとめる。
その過程で例によってあちこちつっつきまわったせいで、痩せたゼルと大きくて筋肉質のブーって二人組がやってきて、何を調べてんだとスペンサーに干渉してきて、話はこんがらがる方向に進む。
で、ユスリの犯人のほうは、スペンサーが話してみると、結婚していてカネを持っている女だけを狙うプロフェッショナル。
ハンサムで女の扱いが得意ということを自覚してて、最初は趣味だったが趣味を生活の糧にできると思い立って、定期的にユスリ行為をすることを職業にしてる。
ぜーんぜん悪いと思ってない、手当たり次第でほんとに楽しんでる、それでいて女性からみると魅力的らしい、ん?そういうのって、と思ったとこで、過去にこの男のためにトラブルにあった別の女性登場人物に言わせると、「彼はとても気のいい人だと思う。でも道徳とか倫理にまつわる感覚が完全に欠如している。」ってことで、やっぱりあれだ、サイコパスってやつだね。
それでスペンサーは依頼人の女性たちに、告発すれば犯罪者としてあげられるんだから対決してはと提案するが、誰も応じようとしない、自分なり夫なりの体面が大事。
そのへんスーザンをして「自分を救う道はあるのに、それを選ぼうとしない」と、精神科医である自分の患者とおなじだと言わせる状況。
スペンサーの言葉はもっと辛辣だ、依頼人のひとりを指して、>彼女はシジュウカラのように元気だが、それより愚かだった ときたもんだ。
依頼人たちのなかには、スペンサーが殴るとか銃で撃ち殺すとかで解決できないのかなんて物騒なこと言うひともいるけど、スペンサーはやりたくないと答える。
それでも解決しなきゃいけないんで、いろいろ街の闇社会のほうのルートをつかうことにして、ギャングのボスであるお馴染みのトニイ・マーカスまで招集して、関係者を一堂に集めて、ユスリをやめさせるところまでこぎつける。
あれあれ、依頼された事件片付けてどうなるの、第一、人が死んでないね今回、と思ったあたりで、ようやく死体がひとつ見つかる、235ページまで殺人が無いなんて、めずらしい展開だ。
どうでもいいけど、スペンサーは自分が他のとこあたっているあいだ、強請の犯人を尾行させるために相棒のホークを使うんだが、今回のホークの登場シーンは、
>ホークと私は〈グリル23〉のバーカウンターの奥で“ようやく木曜夕方だ”の祝い酒を飲んでいた(p.100)
というものなんだが、なかなかいい名称の習慣だと思った。

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