リチャード・マシスン/尾之上浩司訳 二〇一一年 ハヤカワ文庫
これは先月に定期的にやってる古書フェアに出かけてったときに買った古本の文庫。
マシスンに関しては、ほんとは古いものを探してるんだけど、これは新しいものらしい、まあそれでもとりあえず読んでみる。
数冊しか読んだことはないんだが、短篇のほうがおもしろいとは思うんだけど、これは長篇。
1900年生まれの作家が1982年の現在から自分が18歳のときの1918年あたりを回想して書いてるって体裁。
アメリカ海軍大佐の息子としてニューヨークに生まれ育ったが、ムチャクチャ厳しい父に反発する意味もあって17歳で陸軍に志願入隊すると、ヨーロッパ戦線へと出征していく。
そこでイギリス兵のハロルドという男と仲良くなるんだが、ハロルドは自分の故郷のイングランドにあるガトフォードって町はすばらしいから行けとすすめる。
いろいろあって戦争から離れた主人公は、翌1918年にガトフォードの場所を探しあてて、田舎家を借りてそこに住みはじめる。
周囲の森林地帯に散歩に行き、小道からはずれてしまうと、木々ががさがさ揺れて来たはずの道が見つからなくなってしまうような不思議現象に出くわす。
家へもどって地元の屋根の修理工に聞くと、それは妖精のしわざだという、この森には妖精がいるんだと、もちろんにわかには信じない。
で、地元の伝統としては妖精とされてる何かをめぐる恐怖のはなしかと勝手に期待してたら、ほんとに妖精がちっちゃいサイズの人間型として出てきて、18歳の主人公はこともあろうにホレてしまう。
なんだ恋愛がらみのファンタジーぢゃないかと、不条理系というか悪夢的なのに興味あってマシスンを探してた私はややがっかりしてしまった。
しかも実際にあった経験だとかいう語り口で、妖精と出会ったとか言われてもなあって気もしたが、よく考えたら「アイ・アム・レジェンド」なんかぢゃ吸血鬼がぞろぞろいるとかシャアシャアと書いてるんで、まあおとぎばなしが作者の本質かって気がしてきた。
うーん、やっぱ古い短篇を探して読みたい。
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