カルトな本棚

唐沢俊一　1997年　同文書院
この10月に街の古本屋で見かけて買った、マンガの棚のとこに並んでたけど、マンガぢゃない。
古本集めに奔走する趣味のある著者が、親しい知りあいのカルトな人々を選んで、本棚見せてくださいって対談集。
書棚拝見的な本はいろいろあるけど、こういうマニアックなメンツを集めた本はないだろ、ってのが著者の自負。
まえがきにいわく、
＞（略）今回登場した人々に共通するのは、いずれの場合も、他の凡百の大衆と一線を画する知性を持っていながら、どこかに純粋な子供らしさ、幼児性を保持していることだ
ということで、子供ってのは元々マニアでカルトなものだが、大人になると社会性を身につけて、そういうのをなくしちゃうもんだが、自分の信じる道を突き進んでるのが、たとえばここに出てくる人たちなんだと。
私にとっては、なにやってるひとか全然知らないひともいるんだけど、いちばんおもしろいのは、やっぱマンガ知ってる、唐沢なをきの章だったりする。
パロディとかで多彩なネタを出してくるから、どんな本をどうやって読んでるのかって疑問には、
＞意識して仕込みはしてないのよ。今まで読んできたものや、見てきたものを探してきて使ってるだけで
と、わりとあっさりした答え、たくさん読んだなかからストックされてるものが多いんだろう。
持ってるものをギャグにするまでの過程についても、自分では、ずっとやってきてるだけで、わからないと答えてる。
おもしろいのは、「でも俺って、とり先生ほどギャグの作り方キチンとしてないというか」なんて言ってて、とり・みきのこと讃えてます。
コンテンツは以下のとおり。
・まえがき『人はカルトに生まれるのである』
・山本弘の本棚　会長宅に潜む、膨大な量の付箋とドイツの幽霊。
・睦月影郎の本棚　変態は変態ではない！高級な貴族趣味なのです。
・串間努の本棚　昭和Ｂ級文化と日曜研究家というお仕事。
・立川談之助の本棚　立川流真打登場！ロリコンと知性の無駄遣い。
・佐川一政の本棚　オードリー・ヘップバーンの唇と拘置所の中の読書。
・奥平広康の本棚　なによりも自衛隊が好きなのは、その情けなさなんです。
・唐沢なをきの本棚　誰にも悟られず、九年間マンガを描き続けた少年。
・竹熊健太郎の本棚　徹底的に自分史にこだわる編集家の内側外面。
・唐沢俊一の本棚　唐沢俊一の多重人格座談会