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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

大いなる眠り

2013-07-23 18:07:46 | 読んだ本
レイモンド・チャンドラー/双葉十三郎訳 1959年 創元推理文庫版
こないだから続けて読み返すことにしちゃった、フィリップ・マーロウもの。持ってるのは1986年の53版。
この「The Big Sleep」が1939年の作品で、マーロウものの第一作だそうだが、べつに順番に読まなきゃなんないってことはないような気がする。
ちなみに本作では、マーロウは33歳と自己紹介してる。
事件は、富豪の将軍に呼ばれて、娘のつくったらしいバクチの借金の手形に関する、ユスリの処理の依頼を受けるところから始まるんだが。
よくわかんないんだな、これが。次々といろんな出来事に出くわしていくが、すっきりした解決にはつながっていかない。
今回読み返してみても、むかし読んだときの記憶が全く思い出せなかったけど、多分しばらくしたら、あらすじなんかすぐ忘れちゃうだろうと思う。
文庫の解説によれば、作者チャンドラーの「意図は生き生きとした人間の描写にあり、現実を直視すること」なんだそうで、論理を首尾一貫させる筋立てをつくろうとしてるんぢゃないから、当然のことなのかもしれないけど。
あとは、面白く読めるかどうかは、主人公マーロウをかっこいいと思うかどうかにかかってくるのかもしれないが、意外と簡単にのされちゃったりする場面もあったりして、私にはそれほど強くひかれるものがないなあ。
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2週間ぶりに乗馬

2013-07-22 19:56:59 | 馬が好き
2週間ぶりに、乗馬にいく。
先週は、乗馬練習しなかったけど、場所をかえて、やっぱ馬を見てたりはしたんだけどね。

さて、きょうの馬は、ギルデッドエージ。私ははじめて。

けど有名だよね、このサラブレッドは。
2010年の某ドラマでは主演してたし。

(↑ロケで来たときのひとこま。三日月型の星はメイク。)
あのときの調教シーンの撮影では、すごいスピードで駈けてったのが印象的だった。
(馬もすごいけど、騎手役の俳優さんがそれに乗ってったのにも驚いた。)
去年のうちわの試合では、たしか障害ではなく馬場馬術のほうに出てたような記憶があるけど。
さて、先入観はナシで、またがってみる。
なんかフワッフワとした感じ。サラブレッドにはめずらしい感じ、ピョコンピョコンはずむような歩き方。
5分常歩、5分速歩。しかし、なんか全然うまく乗れそうもないぞ。

あとでちょっとだけ障害をやることになり、20分くらいの猶予が与えられたので、フラットワーク。
速歩10分やって、ぜんぜん前に出てる感じなくて、駈歩5分やるけど、これまた詰め伸ばしできず。残りの5分、休憩しちゃった。
すこし景気よく駈歩を出してきたいんだけど、うまくいかない。
上でジタバタして、馬の背中を押しちゃうもんだから、敏感に反応されて、そのたびに手前を替えるような動きになっちゃう。
巻乗りすると(特に左手前)、なんか止まっちゃいそうな勢いになるし、これでは、とても障害は飛べないぞ。
でも、いーの、夏は暑いから、半分遊び、人馬ともにゲーム気分で、障害あれば飛んでみて、楽しくやれればそれでいい。でなきゃ、暑くてやってられないって。

そしたら、アブミは3つくらい短くして、スタンバイ。ぜんぜん障害飛ぶ自信なんかないけど、まあ、こないだみたいに、障害はじめたら馬がやる気出すかもしれないしね。
速歩で、低いクロス、飛んだら駈歩、3歩で先にあるバーをまたぐ、そしたら真っ直ぐ行って、速歩におとす。
4頭の隊列の3番目なんて無難なポジションに位置して、順に障害に向かう。
回転を強く、って思ったんだけど、弱いよ、これぢゃ、あわてて推進するが、あまり直前でバシバシやっても馬の集中の邪魔になるだけだから、とにかく真っ直ぐ真ん中に連れてこうとする。
止まったり逃げたりする感じはなく飛越、でも、そのあともすぐ止まっちゃいそう、わりとサラブレッドって興奮して走ってくもんなんだけどね。あらためて前へって推進してみるけど、横木は3歩半で跨ぐことになっちゃう。
「飛んだあとはツーポイントで、弱ければ脚!」 うーん、いまのは動かそうとあせって、座って鞍をグリグリ圧してたし。
どうもツーポイントで脚とかって、軽やかな乗りかたは苦手だな、ほっぽっとくと馬の背中を無理に圧そうとしちゃうことのほうが多い。
繰り返し、飛んだあとすぐ止まりそうなんで(暴走されるよりいいんだけどね、個人的には)、やっぱグイグイと前に出すことを促さざるをえない。
反応しなかったらムチ使ってもいいっていうんだけど、障害飛んだあとムチくれるのもなあ、と思う私の持ってるワザは、やっぱホメることだけなんだよね。
駈歩を維持して横木をまたいだとこで、思いっきりホメる、そして真っ直ぐスローダウンしたとこで、またホメる。「できるじゃーん、いまの調子で頼むよ」って、回転しながらホメる。
来た、馬が反応してるよ。次に飛んだあと、グイっと自分から前に出る感じが出てきた。1・2・3で横木跨ぐ、スローダウン、馬が褒められるの待ってるのがわかる。
当然めちゃめちゃホメる。「なんだよ、こんなことでいーのかよ、早く言えよ」って馬の背中から伝わってくる。
もう次回からは、飛んだあとの脚はろくすっぽ必要なくなってくる。
ゲームのルールを理解した馬に乗るのはおもしろい、けど飛んだあと加速しなくていいんだぜ。「ずっと同じペースの駈歩を続けられるように!」って言われちゃう。そうなんだよ、回転を強く、障害向いたらジッとして、飛んだあとも自然に前へ、って全部同じペースでやりたいんだけど。

障害の高さを上げて、そのあと垂直に変わる。そしたらこんどは駈歩で垂直だ。
テーマは駈歩の維持なんで、ちょっと変わったことに、だいぶ(10mくらい?)手前に横木が1本置かれる、駈歩でそれをまたいだら3歩で踏切バー、んで飛越、飛んだあとはさっきとおんなじ3歩先にまたバー、というライン。
最初のバーをまたいでから仕掛けるようなことをしたら、リズム崩れちゃうな、って思って、回転のとこから強くいくつもりで行くんだけど、うまく前に出せないから、「もっと前から動かして来て」と言われちゃう、わかってんのにできないとがっかりする。
繰り返すうちに、障害向くと馬にスイッチ入るような気がしてくるんで、こんどはさっきまでと逆、「ゆっくり行こうな」って話しかけながら飛ぶ。ときどき左右に傾くような感じがしちゃうときあるけど、それくらいではもう全然止まる感じではない。自分から向かってく馬に乗ってるのは楽しい。
できてきたんで、ちょっと複雑に組み合わせる。左手前の駈歩で、このラインを飛んだら、速歩におとして右手前の輪乗り、右の駈歩出したら、180度回転して、クロス、大きく180度回転して同じ最初のライン、また速歩におとして左手前の輪乗り、左駈歩出したら、180度回転して、垂直。
左手前の回転は、フラットワークのときからうまくいかないんだけど、とにかく前出して、障害向ければ、まあ、飛んではくれる。右回転は比べるとスムーズ、このクロスは初めてだけど、前につれてけば躊躇することなんかなく飛越。飛越したらすぐ次を見て、回転、横木またぐと馬にスイッチ入る、おさえるぐらいの感じで飛越。左回転、左はどうにもうまくいかない、オーバーランしたんで、もう一回巻き乗りして、弧から障害への導線をスムーズなラインにしたいんだけど、ちょっとイメージより外(右)いっちゃったのを修正しながら入る、飛越。最後の飛んだあとも、流さない、真っ直ぐ真っ直ぐ、ゆっくりとスローダウン。
「もう一回、最後に左手前で横木からのラインと、左回転しての垂直」って、できてねーとこ見抜かれてーら。
回転がうまくいかない。前出して!って言われて、気づく。前進してなきゃ、いくらハンドルまわしたり舵切っても曲がっていかないんだよね。内の脚ドンドンやって向かってく。飛越、回転、また飛越。
まーいーでしょ、ってことで終了。
納得いかないんで、速歩のクールダウンの後、常歩で回転を試みる。比べれば右手前は外の手綱で回れる気がするけど、左手前は外へ張ってっちゃう。人間の右の肩を内に回さないように意識してやってみるんだけど、どうにもうまくいかない。
次回は、もうすこし馬のアタマと肩の位置とかに気をつけて、内に向けたときにバランス崩したり、人が前に倒れて馬の肩に乗っちゃたりしないように注意しよう。

いろいろやったけど、まあ、騎座でグリグリしたりとか、拳でぎゅぎゅっとやったりとか、馬に迷惑かけたんで、頭絡と鞍を外したあとは放牧場に一度放してやる。


解放されて、好きなように寝っ転がる馬を見てると、あーこれでバランスの崩れも解消されたかなって、いいことしてやった気になる。
っつーか、馬にはこれがいちばん、と私は思ってる。
(私のほうも姿勢わるくて歪んぢゃってんだろうから、整体でもいったらいいのかもしれない。)
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かわいい女

2013-07-18 21:27:53 | 読んだ本
レイモンド・チャンドラー/清水俊二訳 1959年 創元推理文庫版
本棚や押し入れにある古い文庫なんかのリストアップをしようと思うと、まだまだ探偵ものなんかもそこそこある。
これは、かの有名な私立探偵フィリップ・マーロウもの。持ってるのは1986年の53版。
ガキんときから、ホームズとか明智小五郎とかは読んだんだけど、ハードボイルドといわれるものは知らなかったんだよね。
「スペンサー」シリーズを先に読んで、ぢゃあ古典も読むかなって、そのころ手に取ったんだと思うけど。
『長いお別れ』が最初に読んだもので、そのあと順番忘れたけどポツポツ文庫になってるのだけ読んでった。
ほかの作者のものは大概ひとつくらいしか読んでないけど、チャンドラーは何冊か持ってる。やっぱ、なかではおもしろかったんだろう。
原題は「THE LITTLE SISTER」で、マーロウのところに、なけなしの少額のお金もって小柄な娘が、兄を探してくれと依頼にくる。
商売にはなんないんだが、妙な態度の裏にある何かに注意をひかれて、マーロウは引き受ける。
場所はハリウッドで、なんだかわかんない売人とか、もっと怖そうなギャングとか、映画スターや業界の関係者とかいろいろ登場してきて話が入り組んでくるんだが。
やっぱ、あんまりおもしろくないなあ。謎解き推理小説とかと違って、スッキリするものがないんだよね、私の単純な頭では。
だから、ついつい表現というか、字面としておもしろい部分にだけ気をひかれるような読みをしちゃう。
今回気に入った一例。
>彼女は大海の底から溺れた人魚を抱いてあがってきた男を見るような表情で私を見た。
もうひとつ、
>パイプに煙草をつめると、ゆっくりと火をつけてから部屋を出て、イギリス人が虎狩りから帰ってきたときのように悠々と階下へ降りて行った。
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死刑

2013-07-15 15:09:00 | 読んだ本
森達也 平成25年5月 角川文庫版
単行本は2008年発行で、存在は知ってたんだけど、ちょっとテーマが重そうで、気が進まないでいたところなんだが、今回文庫本になったんで読んでみた。
もう、そのものずばり、死刑に関する本である。
ドキュメンタリータッチ(?)ですすんでくんだけど、著者はいつものように、一方に片寄ったものの見方ってのはしたくないんで、可能な限りいろんな人に会って、取材・インタビューしてく。
死刑廃止を主張する市民団体、元オウム幹部の死刑囚、拘置所職員、死刑反対派の政治家、「死刑になりたくて人を殺した」殺人犯の弁護士、死刑執行に立ち会ったことのある検察官、恩赦で無期に減刑された元死刑囚、などなど。
社会のなかの不可視の領域っていうか、知っているようで知らないことに対して、ストレートに突っ込んでいく脚質は、いつもながら読んでて面白い。(中身は面白がることぢゃないけど。)
個人の結論が賛成なのか反対なのかっていうより、大事なことは、だいたい世間一般の空気は「場合によっては死刑もやむをえない」ってあたりになってるんだろうが、国が人を殺すシステムについて、ちゃんと知ってて言ってますか、という問いかけですな。
「死刑にしちゃえ」って、言うのは簡単かもしれないけど、それは他のひとが判断・実施してくれるって前提に立ってるんでね、ふつう。著者が他のことでもよくいう、「私は」という主語を明確に意識して物事を考えましょう、ってことですね、この件に関しても。
被害者遺族の心情を考えたことがあるのか、なんてエキサイトするひとは多いと思うんだけど、遺族のなかには、死刑があったって誰も救われないから、死刑廃止を唱えてるひともいるらしいんで、当事者になってみないとわからない、人間というのは簡単ではない。
どうでもいいけど、私は、こういうのを読んでても、死刑執行に立ち会った検察官は慰労金として三万円をもらうとか、冤罪で間違って死刑にされた場合の補償額が法律上は最高で三千万円とか、妙なディテールに引っ掛かって面白がっちゃうんだよね。(だから、面白がることぢゃないってば。)
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第四間氷期

2013-07-11 20:35:56 | 読んだ本
安部公房 昭和45年 新潮文庫版
最近読み返している安部公房、持ってるのは昭和58年の22刷。
書かれたのは昭和33年から34年にかけてということだが、SFですな。でも、語られてる未来は、80年代のことだったりして。
「予言機械」という電子計算機の研究をしている男が主人公。
上部組織というか、役所・政治の制約があって、思うように研究が進まないんだが、ある男の未来を予測しようと試みたところから、事件に巻き込まれていく。
機械万能主義に対する警句かなんかかと思って読んでくと、全然ちがって、水棲動物=哺乳類をエラをもつ形に改造する研究なんていう、とんでもない方向にストーリーは展開してく。
機械が未来を予測したら、その結果を知った人は、そうなんないように違う行動をとるから、予測は実現されないんぢゃないかってパラドックスがあるんだけど。
主人公は、ひどい未来の実現には反対、妨害して馬鹿げた未来を未然に防止すべきって、常識的な意見なんだけど、ほかの登場人物は違う。
>結局先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかったんだ
とか
>予言機械は、未来をつくるためのものでなく、現実を温存するためのものだと仰言るんですか
とか厳しいこと言う。ここんとこが今回はいちばんおもしろかった。
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