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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

空想非科学大全

2013-07-09 17:01:32 | 読んだ本
柳田理科雄 平成15年 メディアファクトリー空想科学文庫版
こないだのサンダーバードの話のつづきで。
空想科学の世界を科学的に検証して、これはムリだろとかツッコミを入れてく遊び心の本なんだが、サンダーバードについてもかなりの分量のページが割かれている。
なかでも、サンダーバード2号の発射システム、斜めにせり上がる発射台は、よろしくないってとこが、こういうことに疎い私なんかには面白い。
発射台が傾いてると推進力が浪費されてしまうし、しかも2号の発射台は長さが短い。よっぽど強力なエンジンで一気に加速しなきゃ飛べるとは思えないんだけど、画面では悠長に発進してるから、あれではコテンと頭から前に落ちちゃうんぢゃないの、ということだそうで。
ほかにも、国際救助隊の太平洋上の秘密基地のある島は、その形状から火山島だと断定できるから、いつ噴火するか分からない危険性があるとか、その地下空間の広い基地施設をつくるには、崩落しやすい溶岩ドームを掘削するのに想像を絶する苦難があったはずとか。
サンダーバードだけぢゃなくて、たとえばウルトラマンについては、空を飛ぶスピードがマッハ5=時速約6120kmってのは速いけど、3分間では実は306kmしか移動できないから、東京から名古屋まで行ったらおしまい、なんて話、そういうのいっぱい。
章立ては、空想科学の世界には、自由な想像でつくられたはずなのに、おかしくて現実には厳しい法則がある、その列挙という形式になっていて、以下のとおり。
・法則1「時間制限」ヒーローは、たった3分間で地球の平和を守らねばならない!
・法則2「秘密基地」正義の組織の基地は、絶対に秘密でなければならない!
・法則3「改造人間」ヒーローの正体は、宇宙人か改造人間でなければならない!
・法則4「人間型ロボット」正義のロボットは、必ず人間型をしていなければならない!
・法則5「放射能巨大化」放射能を浴びた動物は、巨大で凶暴な怪獣に変異せねばならない!
・法則6「知能指数」体力だけでなく、頭脳もズバ抜けて優れていなければならない!
・法則7「分身の術」ヒーローは俊敏に行動し、分身など簡単にできなければならない!
・法則8「ビーム兵器」決戦兵器はミサイルや砲弾ではなく、ビームであらねばならない!
・法則9「反重力」翼がなくても、自由自在に空を飛べなくてはならない!
・法則10「瞬間移動」超光速飛行は当然。時には瞬間移動もできなければならない!
・法則11「得意技」すべての怪獣は、自慢のアピールポイントをひとつ持たねばならない!
・法則12「大袈裟な勝ち方」ヒーローたる者、普通の勝ち方で満足してはならない!
・法則13「無から有を生む」何もない空間から怪獣や服が生まれても、決して驚いてはならない!
・法則14「最強ヒーロー」ヒーローは、間違っても卑怯な戦い方をしてはならない!
・あとがき そして、15番目の法則
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猛暑日の乗馬

2013-07-08 20:24:01 | 馬が好き
最高気温35度の予報だけど、乗馬に行く。
誰だって暑いのはヤだ、こういう暑い日は、さくっと乗って、「あー、楽しかった、暑いけど運動して汗かくと、それなりにスッキリするね」って気持ちを、馬と共有したいものだ。
そんな私を待ち受けていた馬は、リニモスター、たぶん二度目、前回の記憶はほとんどないけど。
それはそうと、芦毛は夏に強いって、競馬の世界では言われることあるみたいだけど、私の知る限り、乗馬で、夏の暑い日に、いちばんバテて馬房で死んだように寝っ転がってんのは、たいがい芦毛である。
さて、馬房から出してみたら、ベターっと明らかに寝っ転がってたことに起因する茶黄色の汚れがついたりしてる、よっぽど洗っちゃおうかと思ったくらい。
芦毛は汚れが目立つからなー。濡れたタオルでゴシゴシこすってるうちに、ほかのひとより早く到着したアドバンテージはなくなってしまった。

おい、馬房から出そうとしたら耳うしろに倒して威嚇したくせに、馬装した瞬間に寝ようとしてるのは、どうなの?
さて、暑くて人馬ともにやる気ないんだけど、馬場に入ったら、常歩。でも、覆馬場は、そんなに想像するより暑くなかった。(もっと蒸すかと思ってた。)
速歩スタート、って思ったら、2,3歩で止まっちゃうよ。さらにうながすと、何やら後退までする。
脚、それでもダメならムチ、ちょっと進みかける、またイヤイヤ。トホホ。
「思いっきり怒ったほうがいいよ」とは、乗ったことあるひとのアドバイス。
んぢゃ、ムチ本気で使うぞ。って、いきなりワケもわからずバチっとやるもんぢゃなく、脚、無反応、もしくは反抗、そのタイミングで、ピシャリ。正確には「怒る」ぢゃなくて「叱る」でなくてはならないよね?
意志をはっきり伝えたら、観念したように動き出したんで、よしよし楽しくやろうなって言って、すこしラクにしたまま速歩する。
だんだん手綱をちゃんと持ってって、輪乗りする。
きょうの目標、(1)拳を使うとき引いたり下げたりしない(押さえつけない)、(2)外の肩を回転方向に回さない、以上2点をチェックポイントにする。
両手は、からだの前の架空の台の上に置くよ、開いたらなるべく早く戻すこと。輪乗りの手前を替えるとき、丁寧に。外側の肩を後ろに引くような感じ、大型車のハンドルぐりぐり回すようなマネをしてはいけない。
速歩ですこしスピードアップ・ダウンしたら、常歩はさんで、駈歩もやる。
わりとよく動いてくれるんで、外の肩と肘に気をつけて、輪乗りする。
はい、ちょっと休憩。いったん手綱伸ばして、常歩。暑いよなー、おい、って馬に話しかける。

休憩も適当なとこで終わり、また手綱持って、速歩、しようと思ったら、また止まったよ。
まーったく、さすがにこれでおしまいにして帰ったりはしないぞ、って言って、またピシッとやる。壁を蹴ったり、ほかの馬を驚かせたりしない場所とタイミングに気をつける。
動いてくれるようになったら、ちょっと軽速歩での輪乗りを続ける、外の手綱での回転を心掛ける。
右手前はまあまあ、でも左手前は馬の顔が外(右)向いてるような感じで、内(左)に倒れるというか入ってきちゃう感じ。
納得いかないんで繰り返し。でも左手前ばっかやったって馬も嫌だろうから、輪乗りの手前は均等に。こっちは上手だね、ぢゃあ反対周りしよっかー、とか言いつつ。
そしたら「障害やりますか?」って。
うーん、私基準ぢゃ、とても障害に向かえる状態ぢゃないんだけど、まあ、暑い日はあんまり根を詰めるんぢゃなくて、遊び気分でやってみるのもいいかなって思って、アブミひとつ短くして手袋もはめる。

最初、駈歩で横木通過。
回転のとこ強くって心掛けて、横木向いたら馬の駈歩に乗ってく。おー、いいぢゃない、なんか思ったより(さっきまでより?)いい駈歩。躊躇せず前に出てくよ、跨ぎきったら、まーっすぐ行ってスローダウン。反応よし。
そしたら、50センチくらいの垂直。ワタシ的な常識としては、速歩でクロス→駈歩でクロス→駈歩で垂直、みたいな段階を踏むのがふつうだと思ってたんだけど、いきなり駈歩で垂直だ。
ただし、障害の前に2本の横木があって、障害の向こう側にも2本の横木がある。左右どっちの手前で入るときも同じこと、駈歩で横木跨ぐ・跨ぐ、ジャンプ、跨ぐ・跨ぐ。
まっすぐ真ん中に入りたいんだけど、なんか左に行っちゃう(特に右手前?)。
真ん中、真ん中、って唱えながら入ってくんだけど、どっちかっていうと飛んだあとの横木2本のほうが悪い。
「真ん中!」って先生に言われちゃうのは、飛んだあと。飛んだとこで緊張緩んで、馬の好きにさせちゃってんのかも、俺?
繰り返し。回転強く、障害向かうと、思ったより(フラットワークのときと比べたら想像してたよりも)前進気勢あるよ。
駈歩に乗ってく、乗ってく、ジャンプ。障害飛ぶとき、手を前に出すように意識する。
左に傾いちゃったとき、「少し速い。速いから、馬が苦しがって左に行く。」とは先生。
私はまた、前に推進するのが弱いから、馬が隙をみつけて逃げようとしてんのかと思ってた。やれやれ、いかに私のイメージ・理論がダメダメなのか分かろうというもの。
障害の高さを上げたり、オクサーに変えたりして、繰り返し。
回転のとこで動かしてく、正面向いたら待って待って、って感じ。跳ぶときは、ポンって手をラクにしたい。
何度か、遠いって思ったとこから踏み切って、飛んぢゃった。オクサーを遠くから飛んぢゃうのは、私にとっては怖いところだけれど。
とにかく障害始めてからの、馬のやる気が、著しいっていうか頼もしい。ほんとは、遠いと思ったときは、もう一歩入れさせて、近づいてからポッコンと上にあがりたいんだけどね。
止まったりすることなく、終了ーっ!

先生からも、「障害はじめてからのほうが、馬が前向きでしたね」と講評いただく。
毎回毎回、飛んだら、まーっすぐいって、スローダウンして、そしたらホメまくるようにしてたんだけど。
そういう評をいただいて、またホメる、っていうか「楽しかったろ、面白かったよな、おい?」って喜びを共有しようと話しかける。
まあ、そこそこ、馬も自信ありそな態度にみえたんで、よかったんではないかと。
速歩でクールダウンして、やがて常歩。

扇風機の前で涼めよって言ってみたら、あんまり興味なかったみたいだけど。
かなり汗びっしょりになってまで頑張ってくれたんで、洗ったあとにリンゴやろうとしたんだけど、ひとかけは食べたが、あと食べない。
せっかく持ってきたのになあー。

人間のほうは、帰ってから、かなり暑いので、ガリガリ君が必要になったんで食べた。
コメント (2)
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サンダーバードで少々生き方を学んだ

2013-07-04 21:20:40 | 読んだ本
漆田公一+サンダーバード研究会 平成11年 祥伝社
いや、今年に入ってからかな、某CSでやってる「サンダーバード」の放送を、毎週録画して観ているんだが。
ガキのころのうっすらとした記憶しかないんだけど、改めて見ても、いいよねえ。
テーマソング流れてきただけで、血沸き肉踊っちゃう。
人形なのに、額に汗浮かべたり、長時間勤務で不精髭が伸びてきちゃったりなんて細かいとこまで含めていい。
で、まあ、この本は、最近、リサイクル書店で買ったんだけど。
そんな面白い発見があることは期待してなかったんだが。
んー、あまり科学的な考察とかってんぢゃなくて、主人公であるトレーシー一家、父と5人の子の人間関係の観察をしてる。
要は、私財を投入して国際救助隊なんてものまで作っちゃった、一家の長であるジェフ・トレーシーの父権はとてつもなく強力でどうしようもない、サンダーバード1号のパイロットである長男のスコットは、現場で指揮をとったりしてるけど、父のイエスマンで、たいしたことない、サンダーバード2号のパイロットである次男のバージルは、自らの危険も顧みず、難度の高い救助活動の最前線で活躍する、だから、がんばれバージル、ということが繰り返し書いてあるという感じ。
受ける印象としては、テキストを詳細にわたって読み解いていくって感じはあまりしなくて、深読みというか思い入れをときに想像力で補完していくって感じ。このての本にはよくあることなんだけど、共感するものを持ち合わせていないと、正直ついてくのつらい。
どうでもいいけど、カラマーゾフの兄弟4人の名前を言えるかどうかは村上春樹ファン検定みたいなもんだが、サンダーバードのトレーシー5人兄弟の名前も放送をちゃんと見ないと言えそうで言えないかもしれない。
正解は、長男スコット、次男バージル、三男ジョン、四男ゴードン、五男アランである。
私は、アランが三男だとばっかり思ってた。サンダーバード3号のパイロットだからっていう理由での単純な思い込みによる間違い。
長男スコットと五男アランの年齢差は9歳。ドラマにジェフの妻は出てこないんだけど、アランを生んだ年に、兄弟たちの母ルシルは亡くなっている。
ちなみに、父ジェフ・トレーシーは人類初の月面着陸宇宙飛行士であり、国際救助隊の活動開始は2026年ってのは、これ読んで初めて知った。
ただし、その後に設定の変更があったらしく、「スーパー!ドラマTV」の番組案内によれば、物語世界は2065年なんだそうである。
番組制作は、1965年。すばらしい創造性である。
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島ノート 振り飛車編

2013-07-03 23:26:12 | 読んだ本
島朗 2002年 講談社
きのうのつづき。
このブログには、いわゆる「棋書」=将棋の教科書は出さないようにしてんだけど、まあたまには例外的に。
なにしろ、この本は、棋書のわりには、すごく売れたって言われています。
私なんかは、ミーハーで、そんな評判につられて買ったほうの部類に入ります。
どんなレベルの誰がどんな用事のために買う・読むんだろう、いまいちわかんない。
でも、ネットで検索してみたら、定価1800円なんだけど、その値段では(新刊が)出回ってないらしい。
日々結論が変わるなかで、棋書を古本で定価以上の価格で買うって、誰が何のためにするのか、不思議!?
どーでもいーけど、著者の島九段は居飛車党なのに、振り飛車編を書いてるってのが、おもしろいやね。
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島研ノート 心の鍛え方

2013-07-02 20:01:04 | 読んだ本
島朗 2013年3月 講談社
島研というのは、島九段がやってた研究会であって、発足したのは昭和60年ころではないかと言われている。
メンバーがすごくて、佐藤康光、森内俊之、あとから加わったのが羽生善治、研究会始めたころ彼らはまだ十代だった。
んで、この本は、彼らがなんで強くなって、いまでも強いのかを書いたもの。
でも、よくあるハウツー本みたいな安易なつくりしてないから、簡単に答えが書いてあんぢゃなくて、読み応えはあるよ。
島九段は、A級に当然のごとく昇り、タイトルを獲ったこともあるんだけど、自分が強いだけでやっていけるトップ集団にいつまでもいるとは思ってなかったらしく、それは研究会のメンバーみたいな恐るべき後輩を目の当たりにしたこととも関連してるんだろうが、本書では、そのような心情も吐露している。
たとえば、「話せること・表現することが強さと同じくらい大切だという価値観を自然と自分の中に根付かせた」なんて言って、プロの世界を伝えることを自分の仕事だとしている。
「研究会のメンバーに会うことがなかったら、私は六段で終わっていた棋士だったと思う」とまで言ってる。
で、三人の強さの理由については、いろいろあるんだけど、集まって研究会をしたからぢゃなく、一人ずつの努力のほうが大きいと明かしている。
「羽生さん・佐藤さん・森内さんの話を長年聞いていると、予習より復習に時間をかけていることもわかった」とか、「群れることが中心の勉強法で、一人で鍛え上げてきた世代にこれから勝てるとは、私には考えにくい」とか、やっぱ集まったとき以外に、いかに自分ひとりで徹底的に検証・鍛錬するかが重要だってことだろう。
そのへんに関連して、負けたあとに、敗北の理由をどう振り返るか、自分の技術や当時の心理を洗い直すことの難しさについても、くわしく自身の考えを書いてくれてるけど、一対一の勝負で言い訳ができないのは、やっぱそうとうツライみたい。
また、羽生・佐藤・森内の強さについて、これは他のひともよく言ってることかもしれないが、真実を追究することへの純粋な情熱をもっていることも、大きな要素だとしている。
「成功するために努力する、というのは結果を前提とした思想なのかもしれない(略)見返りを求めての勉強はそれがかなわなければいとも簡単に挫折する」なんてのは、厳しいけど事実だろうと思う。
それはそうと、この本についても、昔のネタばらしを何でもしようってわけぢゃない。勝負の世界のことだから、今後に影響するようなことはむやみに書かない。
そのへんを「私がソーシャルメディアから距離を置いているのは、今の社会風潮が含羞の精神に欠ける気がするからだ」と言って、なんでもあけすけに語ればいいってもんぢゃないというスタンスを表明している。
「羽生さん・佐藤さん・森内さんの美しさは「群れない強さと、含羞と恥じらいの美」だと思っている」って一節、著者の語りたいことのメインのひとつなんぢゃないかと思う。
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