many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

急いで下りろ

2017-09-16 20:02:35 | 読んだ本
ジョン・ウェイン/北山克彦訳 1971年 晶文社
帯の背に“現代の海外文学”なんてあるこの小説、原題「HURRY ON DOWN」は1953年のもの。
なんで読んでみようと思ったかは、丸谷才一のエッセイに紹介されてたからで。
といっても、なかなか見つからないのには困ったもので、6月ころだったかな、ようやく古本見つけた。
余談だけど、パッと手にとって見たら、発行当時の定価960円のが税込2000円、だからって躊躇して棚に戻すようなことはしなかったけど。
てっきりアメリカの小説だと意味もなく思いこんでたんだけど、イギリスものでした、まあどこでもよろしい。
主人公のチャールズ・ラムリーは、大学を出たばっかで、無職の青年。
なんかっつーと、これまでの人生は今日でおわり、あしたからは新しい世界に向けて踏み出すんだ、みたいなこと繰り返す。
故郷や学生んときの知人とかとはあまり仲良くできないし、とかく世の中に対して怒ってるようなとこあって、それって時代の雰囲気なのかな。
で、立派な教育受けたはずなんだけど、手押し車に道具積んだ窓ガラス拭き、輸出自動車の陸送運転手、病院の雑役夫なんかの職を転々とする。
ちなみに自動車の陸送には、港でブツを受け渡しする麻薬取り引きの運び屋という副業もくっついてた。
そこで死にかけるようなケガする破目になって、担ぎ込まれた病院で回復したあと、他にあてもないので手伝いで働くという、行き当たりばったり的なとこもある。
そこで入院患者だった社長に妙に気に入られて、運転手として拾われることになり住み込みで雇われて、と流浪を続ける。
最後は、ようやく自分の居場所を見つけたことになるんだけど、なんかあまり再生とか救済とかって感じはしないな、この物語は。
正直、期待したほど、おもしれーってほどではなかった、まあ、そういうこともある。
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ドキュメント コンピュータ将棋

2017-09-10 18:56:02 | 読んだ本
松本博文 2015年 角川新書
副題は「天才たちが紡ぐドラマ」。
将棋に関する本で天才ったら、ちょっと前までなら棋士のことだけを指してたに違いないんだが、この本ではコンピュータソフト開発者も入ってるってことだろう。
取り上げられてるのは、2014年の第3回電王戦から2015年の電王戦FINAL開幕直前までに起きたコンピュータ将棋に関するトピック。
2015年のシリーズ開幕前の3月の発行だから、その対局の内容とか結果とかはなし。
っていうか、基本的に将棋の解説はなし、登場する棋士とソフト開発者の人となりや考え方を披露するドキュメント。
どっちのシリーズも私は直接中継とか見たりっていう注目の仕方をしてなかったんで、誰が出ててどんなことあったか知らなかったが、まあ後から振り返ってもおもしろいドラマではあるといえる。
結果、最後となった2015年の五対五対抗戦は棋士側が勝ち越すんだけど、レギュレーションがいろいろあって、事前研究もあっての勝ち越しで、ちょっと素での勝負ぢゃないような感じもある。
私個人の感想としては、いちばんえらいひとは、畑違いのところから趣味でいきなり強いソフト(しかもノートパソコンで動くフリーソフト)を開発して、それも全部オープンにしちゃってた保木邦仁さんではないかと思う。
コンテンツは以下のとおり。
前書き 羽生名人が予言した2015年
第一章 幕を開けた真剣勝負
第二章 問いただされた将棋の伝統
第三章 「ヒューマンエラー」を排して
第四章 新時代の参入者たち
第五章 棋士としての矜持
第六章 真のコンピュータ将棋とは
第七章 コンピュータ対策の真価
第八章 夢をのせた大一番
第九章 コンピュータ将棋の功績
空を飛ぶ夢 後書きに代えて
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酒談義

2017-09-09 17:57:47 | 読んだ本
吉田健一 2017年4月 中公文庫
ことし著者没後40年ということでエッセイを文庫で出してみようという企画らしい、おもしろそうなので乗ってみた。
編纂しなおしたから、読んだことあるのも入ってるけど気にしないことにした、書店で積んであるの買ったの初夏のころだったかな。
テーマはタイトルのとおり酒である。
なんたって書いたものを読んだところによると、朝まで夜通し飲んだり、旅館で朝の風呂からあがったら早速飲んだり、旅の最初っから最後まで寸暇を惜しむかのごとく飲んでたり、すごい飲むひとだ。
(食べる量もすごいんだけど。)
まあ、そのくらい飲む人が書いたほうが、おもしろいものができるというもの。
>アルコール分で大脳を麻痺させるのが目的ならば、注射だけですむ筈であって、飲むにしても、もっと合理的に酔わせて後で頭が重くなったりしない薬品が実際に作られているのではないだろうか。そしてそのように注射をしたり、薬を飲んだりしていい気持になることが出来れば、それで構わないかと言うと、その結果がどんなものであっても、それは酒を飲んだことにはならない。もっとそこには無駄なものがなければならないのである。(p.10「酒と人生」)
という主張には、賛成。人生無駄を楽しむのが大事。
>酔うのが目的なのではなくて、酔うことも酒を楽むのに必要な一つの順序に過ぎない。(p.12同)
とも言ってるが、いい酒は酔わせないものだという。わかんねえな、最近ろくな酒の飲み方してないので。
収録作は以下のとおり。最後の「酒の精」は小説。
「酒と人生」
「飲むこと」
「酒の飲み方に就て」
「飲む話」
「酒の味その他」
「酒」
「酒談義」
「酒と風土」
「酒と肴」
「酒、肴、酒」
「日本酒の味」
「師走の酒、正月の酒」
「春の酒」
「夏の酒」
「飲む場所」
「酒と議論の明け暮れ」
「酒、旅その他」
「ロンドンの飲み屋」
「アメリカの酒場」
「二日酔い」
「禁酒の勧め」
「酒の精」
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ティーンズ・ロマンス

2017-09-07 18:12:36 | 荻野目ちゃん
荻野目洋子 1st 1984年 ビクター
きょうは、私にとっては新しい休日、なのであった。
でも、することないので、いちにちボーッとしてた。
(きのう、趣味問われて、乗馬が終わってしまったので何もない、と言ったところだ、そういえば。)
古いCDなど聴いてみた。
古いといっても、これ今年3月だったかな、中古買ったばっかのやつ。
荻野目ちゃんのファーストアルバム、このころのって持ってなかったりする、見つけるとおもしろいので買う。
声が若いな、というか私の好きな声の出し方にまだなっていない、まだ本格的なトレーニングしてないと思う。
それにしても、タイトルとか歌詞とか、なんか“アイドル”って感じ、しかもねえ、歌謡曲って感じもするんだよね、ちょっとおかしい。
どこがどうというのは、昭和の時代から生きてる人ぢゃないとニュアンスわからないと思うが。
1.未来航海―sailing―
2.サファイア色のプレリュード
3.夏の微笑
4.十月物語
5.悲しみプレゼント
6.さよならから始まる物語
7.星空夜曲(プラネット・ノクターン)
8.流星少女
9.虹色シンドローム
10.ティーンズ・ロマンス
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ロンリー・ハート

2017-09-03 18:26:50 | 読んだ本
デイモン・ラニアン/加島祥造訳 1983年 新書館
ことし6月に神保町で『ブロードウェイの出来事』と一緒に手に入れた、「デイモン・ラニアン作品集3」。
探してたのは、それしか書名知らなかった『ブロードウェイの出来事』だけだったんだけど、同じ著者の短編集がほかにも二つあって(すでに持ってた『野郎どもと女たち』もあった)、迷わず買った。
どれも発行時の定価より高かったんで出費かさんでしまったが、出会ったときを逃さず買わないと、古本というのは次いつ御目にかかることできるかわからない。
いやいや、それにしたって、買って読んで正解。
どの作品もおもしろい。出てくるキャラはカタギぢゃなくて強烈だし、奇想天外のハプニング満載の展開だし、ちゃんとおかしいオチもついてる。
それに、この文体がねえ、全編とも素性のしれない《おれ》が一人称で語るんだけど、第二次大戦前のニューヨークの酒場ってのはこんな調子でしゃべる奴ばかりなのかと思うと、その時代のほうが今より楽しそうだなって気がしてくる。
「ベースボール・ハティ」Baseball Hattie(1938)
>おれは今まで、男でも女でも、野球狂をたくさん見てきている。しかしまずその中でいちばんひどいのはと言うと、このベースボール・ハティだ、本当だぜ。それも彼女は「ジャイアンツ狂」だから、このポロ・グラウンズ球場での試合は絶対に見のがさないし、時にはよその町での試合にも顔を出したがね。
「勝馬はどれだ」Pick the Winner(1933)
>ある晩のことだ。《穴馬》ハービーと婚約者のミス・キューティ・シングルトンとおれの三人は、二番街の小さな汚いレストランで南部風のモツの煮込みを食べている。この煮込みってのは結構いける料理だし、値段も手ごろなんだ。するとその時、ウッドヘッド教授がぶらりとはいってくる。
「葬儀屋の歌」Undertaker Song(1934)
>ところで、このフットボールの話をする前に、まず世間の嫌われ者といわれる連中の話をするよ。その手はじめが、ジョーイ・パハップスという男だ。ジョーイ・パハップスがどんなにいやらしい人間かを一口で言えば、「あんなやつ、お前にくれてやるから勝手にするがいい」ってところだろうね。
「リトル・ミス・マーカー」Little Miss Marker(1932)
>とにかく、ベソ公は以前には死にものぐるいで金を貯めこんでたのに、今はそれを湯水みたいに使うようになる。その金の使い方がマーキーのことだけじゃあないんだ。《ミンディ》やほかの店でも、ひとの勘定まで払うようになるんだ。他人におごるなんて、以前のあいつならいちばん嫌いなことなのにな。
「みなさん、陛下に乾杯」Gentlemen,to the King(1931)
彼女は立ちあがってグラスを頭の上にかざしてこう言うんだ。「紳士のみなさん、陛下に乾杯!」そこでおれも立ちあがる。チーズケーキ・イジーもジョー・ジョーもおれたちにならって立ち上がる、そしておれたちは声を合わせて言う。「陛下に乾杯!」
「地震」Earthquake(1934)
この前このジョニー・ブラニガンに会ったのは四十八丁目のグッドタイム・チャーリー・バーンスタインの店だ。三人の警官と一緒に《地震(アース・クウエイク)》を捕えにきている。なぜ《地震》なんてあだ名がついてるかというと、この男、人を震えあがらせるのが大好きだからさ。
「クレオ」Cleo(1941)
デブデブとおれは晩飯を食べ、仔牛のクレオは瓶でミルクを飲む。アンブローズはおれたちのテーブルに坐りこんで、デブデブがクレオの目と仔牛の目が似ていたのでその仔牛を買ったこと、名前もクレオと名づけたことなどを興味深そうに聞く。
「ロンリー・ハート」Lonely Heart(1937)
さて、《ウイドウ》クラムの夫という役は決して悪くないんだ。何故かというと、姿、形、性質はどうであれ、彼女はおしゃべり女じゃないからで、一日一緒にいてもほんの二、三言しか口をきかない。反対にナイスリー・ナイスリーは根っからの話好きだから、一人で好きなだけしゃべっていられる。
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