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利益及び純資産の論点整理

2013-04-24 22:34:19 | 12期生のブログリレー

稼げる!プロコン育成塾12期生、先生及びサポーターの皆様

 

12期生の森田です。第15回目のブログを投稿します。

前回は資産及び負債の論点整理を行いましたので、

今回は利益及び純資産の論点整理を行います。

 

1.包括利益

(1)定義

 ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、

 当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分

 一会計期間における企業価値の増加分

(2)表示目的

 期中に認識された取引及び経済的事象により生じた純資産の変動を報告すること

・投資家等の財務諸表利用者が企業全体の事業活動について検討するのに役立つ

・貸借対照表との連携(純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係)を明示することを通じて、

 国際的な財務諸表の理解可能性と比較可能性を高める

・当期純利益に関する情報と併せて利用することにより、

 企業活動の成果についての情報の全体的な有用性を高める

(3)クリーン・サープラス関係

・内容

 資本取引による株主持分の払込や払出がなかった場合、

 期間損益と純資産の一会計期間における増減額が一致する関係

・成立理由

 複式簿記の採用により、収益は資産の増加・負債の減少と対照記入され、

 費用は資産の減少・負債の増加と対照記入されるため

・金融基準導入以前

 損益計算書と貸借対照表の連携が保たれていた

・金融基準導入後

 その他有価証券が時価評価されたが、その評価差額は基本的に損益計算書における

 収益・費用とされず、純資産を直接増減するものとされ、

 クリーン・サープラス関係を崩した(非連携)

・純資産表示基準導入後

 当期純利益が資本取引を除く株主資本の変動をもたらすという関係を重視して、

 純資産の部を株主資本と株主資本以外の項目に区分し、変形型の連携がとられた

(4)その他有価証券

・意義

 売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券

・評価及び評価差額の取り扱い

 時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は洗い替え方式基づき、

 次のいずれかの方法により処理し、税効果会計を適用する

・全部純資産直入法

 評価差額の合計額を純資産の部に計上する

・部分純資産直入法

 時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上し、

 時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理する

・時価評価を行う理由

 投資情報としても、企業の財務認識としても、国際的調和化の観点からも、

 時価評価し適切に財務諸表に反映することが必要

・評価差額の取り扱いの理由

 事業遂行上等の必要性から直ちに売買・換金を行うことには制約を伴う要素もあり、

 評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではないため

 

2.その他の包括利益

(1)定義

 包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分

 

3.純利益

(1)定義

 特定期間の期末までに生じた純資産の変動額(報告主体の所有者である株主、

 子会社の少数株主、及び将来それらになり得るオプションの所有者との

 直接的な取引による部分を除く)のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、

 報告主体に帰属する部分

(2)投資のリスクからの解放

・意義

 投資にあたって期待された成果が事実として確定すること

・事業投資

 事業のリスクに拘束されない独立の資産(キャッシュフロー)を

 獲得したとみなすことができる事実をもってリスクから解放されたものとする

・金融投資

 事業の目的に拘束されず、保有資産の値上がりを期待した金融投資に生じる価値の

 変動事実をもってリスクから解放されたものとする

 

4.包括利益と純利益

(1) 両者の関係

 包括利益のうち、投資のリスクから解放されていない部分を除き、

 過年度に計上された包括利益のうち期中に投資のリスクから解放された部分を加え、

 少数株主損益を控除すると、純利益が求められる

(2)リサイクル

 過年度にその他の包括利益として認識された項目を、投資のリスクから解放された時点に

 純利益に振り替え、包括利益の二重計上を避けるために当該金額全額を

 その他の包括利益から減額する手続

 

5.純資産

(1)意義

 資産と負債の差額

(2)資産負債アプローチ(資産負債中心観)

・会計の目的及び計算の重点

 投資者保護のための企業の価値を明らかにするため、資産・負債を重視する思考であり、

 企業の純資産計算を計算の重点とする

・利益計算

 期間利益(包括利益)は財産法により資産と負債の差額である純資産の当期増減額から

 資本取引による増減額を排除することにより計算

 

6.株主資本

(1)意義

 純資産のうち報告主体の所有者である株主に帰属する部分

(2)収益費用アプローチ(収益費用中心観)

・会計の目的及び計算の重点

 投資者保護のための企業の収益力(企業業績)を明らかにするため、

 収益・費用を重視する思考であり、企業の損益計算を計算の重点とする

・利益計算

 期間利益(純利益)は損益法により収益と費用の差額により計算

(3)株主資本と株主資本以外の各項目に区分する理由

・投資の成果を表す当期純利益とこれを生み出す株主資本との関係を示すことが重要であるため

・損益計算書における当期純利益の額と貸借対照表における株主資本の資本取引を除く

 当期変動額が一致する関係(クリーン・サープラス関係)を重視しているため

(4)株主資本の区分

・企業会計基準

 内容

  株主資本を資本金、資本剰余金、利益剰余金に区分

 理由

  投資者保護のための情報開示の観点から、

  取引源泉別に資本取引から生じた維持拘束性を特質とする払込資本と、

  損益取引から生じた処分可能性を特質とする留保利益を区別することに重点を置いているため

・会社法会計

 内容

  株主資本を資本金、準備金、剰余金に区分

 理由

  株主と債権者の利害調整の観点から、分配可能額を構成する剰余金と

  それ以外の資本金及び準備金に区別することに重点を置いているため

(5)企業会計原則一般原則三 資本利益区別の原則

 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない

・資本取引・損益取引区別の原則

 内容

  期首の自己資本そのものの増減と自己資本の利用による増減とを明確に区別することを要請

 必要性

  適正な期間損益計算を行うためには、資本の増減と損益の増減とを明確に区別することが必要

・資本剰余金・利益剰余金区別の原則

 内容

  自己資本内部において、資本取引から生じた資本剰余金と

  損益取引から生じた利益剰余金とを明確に区別することを要請

 必要性

  企業の財政状態及び経営成績の適正な開示を行うためには、

  維持拘束性を特質とする資本剰余金と処分可能性を特質とする利益剰余金を

  厳密に区別することが必要

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根本ではつながっている?

2013-04-24 01:38:29 | 12期生のブログリレー

12期生の山岡です。

 最近、ヒッグス粒子が発見された(らしい)というニュースがあったと思ったら、ヒッグス粒子は複合粒子の可能性があるという説が提唱されるなど、宇宙物理学の分野がにわかに活気づいています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130413-00000028-mai-sctch

 みなさん、ヒッグス粒子というのはご存じですか?万物に質量を与えた「神の粒子」と呼ばれる素粒子です。

 原始の宇宙では、あらゆるものに質量(重さ、と考えて差し支えないと思います)がなく、空間を自由に動き回っていたのですが、このヒッグス粒子があらゆるものに「からみついて」重さを与えたということです。

 自由に動き回っていたものが何かにからみつかれることによって動きが鈍くなる、くらいの想像はなんとなくつきますが、「質量がなかったものに質量を与える」というのは何のことやら、まったく想像がつきません。

 私のような凡人には全くピンとこないヒッグス粒子ですが、個人的に驚きなのは、このヒッグス粒子の存在が50年も前に理論上提唱されていたことです。技術の進歩により大型の加速器が作れるようになり、50年かかってようやっと理論を現実的に検証できるようになってきた、ということのようです。

 ヒッグス粒子の存在を提唱したのはその名もピーター・ヒッグスという方です。この方がどうしてそのような粒子の存在を提唱するようになったのか。物理学の世界で「標準理論」や「大統一理論」などと呼ばれる理論がその背景にあります。

 電気の力と磁気の力。一見するとまったく異なるこれらの力の根本でつながっているのはご存じですよね。エナメル線などの導線でコイルをつくると電気の力は強い磁気を生み、例えばモーターを回転させる原動力になります。逆に磁界の変化は電力を発生させます。タービンを回すと発電する発電機ですね。電気の力と磁気の力、合わせて電磁力といいます。高校の物理学でやった「フレミングの左手の法則」、その内容はともかく手の形は覚えている方が多いのではないでしょうか。

 自然界には、この電磁力を含め四種類の力が存在するそうです。「電磁力」「強い力」「弱い力」そして「重力」。これらの力は実は根本は同じで、宇宙の創世記には一つの力であった力が分岐して今は四つの力になったという説があります。重力以外の三つの力は比較的簡単に説明できるらしいのですが、重力を含めたこれら四つの力を統一的に説明することはなかなか難しいようです。こうした四つの力を統一的にせつめいする理論が「標準理論」や「大統一理論」というものです。根本は同じということですね。

 一見するとまったく違うものが実は根本は同じである、というのを発見すると面白いでしょうね。物理学とは全く関係がありませんが、会社経営においても表面的に見える問題がいくつかあって、まったく関連性がないように見えるけれど、よくよく分析してみると実は問題の根っこは同じだった、というようなことがあると面白いですよね。まあこういった場合は大体が人事面の問題である気がしますが。

 さて、原始の宇宙には他にも想像を超える内容があります。空間は現在のような3次元ではなく10次元だったという説があります。縦・横・高さに時間軸を加えた4次元までならばかろうじて想像できますが、10次元とはこれいかに?しかも10次元-4次元=6次元分は、現在の宇宙では「丸め込まれて」認識できないのだそうです。

 もしこのあたりの説にご興味がありましたら、ぜひ「超ひも理論」という理論の解説書を読んでみてください。楽しんでいただけると思います。

 

山岡達也

コメント (1)
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