皆さま
中小企業診断士の林です。最近はかなり涼しくなってきましたね。と言っている最中、名古屋では真夏日の日数最高記録を更新したとか。暑くなったり、寒くなったり、体にとっては調整が難しい季節ですが、なにかと忙しいこの時期。皆さま、ご自愛ください。
さて、今回のブログでは人事のことについて少し書きたいと思います。今年度から初めて人事の仕事に就きました。そこで最近、上司からこの本を読むといいよと渡された本が「戦略人事のビジョン ~制度で縛るな、ストーリーを語れ」(八木洋介、金井壽宏 共著、金井光文社新書)です。
この本、最近読んだ本のなかで久々のヒットでした。まだ1回読んだだけですが、これからも重読したいと思います。
人事の仕事に対する考え方、人事のプロになるための要諦などがとてもよく纏まっている本だと思います。
八木洋介氏は、以前は日本GEの人事トップを務められ、現在はLIXILの副社長を務められています。現在のLIXILの社長は元日本GE社長の藤森義明氏ですから、おそらく藤森社長が八木副社長を連れてこられたのだと思います。
本の内容は、八木氏のこれまでの主に日本GEにおける経験談から導き出された人事部門の役割と、そこで仕事をする人事担当者の心得が余すことなく書かれています。私も日々、人事の仕事をしながら現実と理想のギャップに頭を悩ませる日々ですが、この本を読んでなにか勇気が得られました。と同時に、自分の仕事に対する向き合い方の甘さに頭をひっぱたかれている、そんな気にもさせられました。
企業の人事部門の重要な仕事の一つとして、次世代リーダーの育成があります。私の現在の仕事においても、次世代リーダー育成は重要なミッションになっています。そこで、八木氏は本のなかで次のように言い切ります。
「次世代リーダーを育成する人事担当者がリーダーでなければ、リーダーを育成できるはずがない。」
「人事担当者にも、権限ではなく見識をもち、正しいことを正しいと主張できるリーダーシップが不可欠である。」
すなわち、自分自身がリーダーでなければならない。リーダーとしての自信がなければならない。そこで、八木氏はリーダーとして大切なこととして、
「これは譲れないというリーダーの”軸”をもつこと」
の大切さを訴えています。すなわち、自分の価値観や理念のことです。八木氏自身は、自分の学生時代や仕事を通じて、「何事からも逃げない!」というのを自分の軸として、すべての考え方や行動をその1点に集中さえてきたと言っています。その軸を自分の血肉とするために、例えば、話をするときには「~と思います」とは絶対言わない、相手の話をするときには適当な相槌でごまかしたりしない、など、普段の些細な言動にまで注意を払っています。
この本を読んで、自分は人事部門の仕事ができて、つくづく幸せだなあ、と感じています。社内外の多くのリーダーたちと接し、また次のリーダーを育成する、その過程のなかで、自分自身もリーダーとして成長していかなければならない、これまでの仕事でもリーダーとしてのスキル向上を意識して取り組んできましたが、この人事部門の立場においてなお一層自分にプレッシャーをかけながら成長を目指す土俵にいるんだな、と強く思うことができました。
そういう意味で、この本は人事部門で仕事をする人向けの本だけでなく、リーダーを目指す人向けの本としても良書だと思います。
ぜひ皆さまも機会がありましたら手にとって読んでみて欲しいと思います。