15期生の小林 隆 です。
11月30日の星野さんのブログ、興味深く拝見いたしました。
多くの診断士の方が弱者(中小企業)の競争戦略として、
「ランチェスター戦略」を研究されたことがあるのではないでしょうか。
たまたま私も、最近あらためて「ランチェスター戦略」を考え直しています。
皆様も、「ランチェスター戦略」との名前を使用しなくても、
中小企業の戦略として、狭い範囲の市場あるいはニッチ市場で、
突出した存在になることを、
指導された経験は数多くあるのではないでしょうか?
ご存じの通り、「ランチェスター戦略」の本質は、「1位づくり」です。
私は、
「ランチェスター戦略」を、
マーケットシェアや競争の順位と創出される利益の関係を研究し、
自社が定義したマーケットでシェア1位、シェア26%以上、
2位との差を1.7倍以上となることを目指す戦略、
と捉えています。
その結果、純利益は、市場内の他の企業(あるいは業界平均)の3倍以上の優良企業となる、
とういうわけです。
「鶏頭となるも牛後となるなかれ」とうわけです。
(ちなみに、ランチェスター戦略には、田岡系、武田系の二つの流派がありますが、
私はどちらかというと、武田系のランチェスターに基づいています。)
そのために、自社のマーケットをどのように規定し、
どのような戦略とマーケティングで1位になるかが、
各会社の戦略の妙ということになります。
より具体的には、「ランチェスター経営塾」では、
商品関連と営業関連(地域、客層、営業、顧客維持)の要素が、
事業成功へ向けて経営者がやるべきことの8割を占めるとして、
徹底的に調査し、考え、目標設定をする作業を行います。
(経営要素のうち会社のミッション(願望)部分は、最も大切とされていますが、
8割とは、それを除いた部分を、按分した場合の割合です。
残る2割には、財務と組織が入ります。加えて経営者の時間管理が重視されます。)
講師は、先に理屈とやり方を社長に教えて、
自分で競合調査をさせて、自分のマーケットの範囲や規模を掌握させます。
業界規模や市場規模を把握するというのは、大変な作業です。
特に、自らが規定した独自マーケットとなると、なかなかデータが手に入らず、
社長は相当な努力を強いられます。
しかしかし、成果を上げている中小企業の社長は、
統計資料を自ら集めたり、自らが足を運んで現地調査したりと、
相当な努力を行っています。
この作業プロセスによって、自らの独自性・差別優位性をどのように確立するかが、
考えだされる、といっても過言ではないかもしれません。
もちろん、すべての社長がこれをやりきれているわけではありませんが、
これにより多くの中小企業が成果を上げていることも事実です。
それだけに、過去の延長線上に未来はないのに、
経営をシナリオ(又はストーリー)で考えず、目先の戦術部分だけを求める社長が多い中で、
こうしたプロセスに、自らトライしている社長は、尊敬に値します。
経営には多くのアプローチ法があり、
また 関与した時点の企業がおかれた経営状態によって、
コンサルの指導方法や優先順位が異なることは言うまでもありません。
ただ、中小企業の中期の経営計画を策定する場合には、
P/L、B/S、CFの目標は、比較的はっきりさせることができますが、
経営戦略やマーケッティング戦略の目標は曖昧になりがちです。
そういう意味では、マーケットを自ら規定し、シェアを目標とする、
とういう考え方は、ひつつのわかりやすい指標となるかもしれません。
私自身は、この戦略構築のプロセスを、社長が必死に実践することこそが、
価値あることなのだと感じておりますが。
皆様は、どのようにお感じになるでしょうか?
釈迦に説法ですが、
私たちは、多くの経営に関する理論や方法論を学びますが、
中小企業の経営現場に活かせるかたちで、切り出せなければ意味がありません。
そうした、コンサル手法や指導方法などの意見交換をできるのも、
同業の仲間が学びあう「集い」のよいところですね?
皆様、今後ともよろしくお願い申し上げます!!
15期 小林 隆