15期生の川田です。
今回は先日あった気づきについて書きたいと思います。
アクション・ラーニングというグループコーチングの手法に「質問会議」というのがあります。ジョージ・ワシントン大学を中心に開発された手法です。
参加者の解決したい問題・課題に対し、5-6人のグループメンバーが 60分間 質問のみを使い、
互いの気づきの連鎖から、解決の糸口や道筋、ゴールに向けてのアクションを見出していくというものなのですが、毎回ポジティブな効果があります。
問題提起するメンバーのみならず、グループメンバーそれぞれが気づきを得て、それら気づきが発展し統合しあって解決に向かう、そんな効果があるとされてます。
ルールはシンプル。
会議ですが、「意見はしない、質問のみ」「質問をされた人のみが回答する」「否定はなし」「振返り(省察)を尊重する」「グループコーチは内容には立ち入らない」、というもの。
時間は60分程度と定めて延長はなし。
12月に入って、あるリーダー向け研修でこの「質問会議」のファシリテーションをしていました。そこからの気づきです。
その時の1つのトピック(問題提起)は、千葉県のとある A市役所で、窓口業務にクレームが増えている、という問題。
市民からは「待ち時間が長い」「職員がダラダラしてる」「職員の態度がぞんざいで腹がたつ」、といった声。
一方、職員からは「人手が足りない」「これ以上人は増やせない。予算がない」「やることが多くて手順を覚えきれない」「マニュアルが分かりづらい」「PC操作に馴染めない」「昔はこんなに窓口は混んでなかった」「マイナンバーなんて・・・」、etc.
理由と不満のオンパレードだとか(^^;)
参加者の一人、都内在住のB区民が、聞かれて答えた。
B区民:「B区の窓口は最近いいですよ」「待ち時間も短くなった気がするし、笑顔で丁寧だし」「役所ってこんなだったかなぁ、ってくらい」
A市職員:「窓口以外のサービスはどうですか?」
B区民:「全体としてよくなっているみたい」
A市職員:「改善した背景に何があるか知ってますか?」
B区民:「各家庭に配られる区報(区民新聞)に、『窓口業務は民間の会社に委託してコストを節減』『人件費の高い市職員は、人手や能力が足りてないほかの専門的サービスにまわしている』と載ってました」。
さらに:
区報によると、窓口サービスは民間並みに改善され、これまで手の回ってなかったこと、例えば福祉サービスや長期プロジェクトの進め方も区独自に見直しているそうな。
職員の残業や休日勤務も減り、区役所全体の雰囲気は明るくなっているそうな。さらには区役所庁舎も今リノベーションできれいに使いやすくしている、区民のために、と。
なんと。
他の参加者:「ちょっと、いいなぁ B区」「いやうちのC区も最近いいよ」
A市職員:「B区とかはいいなぁ、うちの市は貧乏だから無理だなぁ・・・(ため息)」
このご時世、B区の予算だけが大きくなったとは思えない。
(B区は財政にゆとりのあるいわゆる都心区、千代田区、中央区、港区、新宿区ではない)
何が違うのか・・・
その後も、質問のやりとりは続いて振返りの時間。
その場での気づきのまとめ(振返り):
- これまでのやり方に囚われず、よりよいやり方やアイデアにオープンになりたい。
- 他区のよいところをマネしたり、民間の知恵やノウハウも取入れたい。
- 無理と諦めず、変わる意識とアイデアを重ねて広める。すると改善に向かう何かが出てくる。
- 最初の1人が言い出しても、1人で全てをしなくてはいけない訳ではない。
Before: これまでのやり方は変えない。職域や権益は手放さない、抱え込む。雇用は守る。変わるのは法令の変更や通達があったとき。
After: 変化することを受け入れる。委ねるところは委ねる。他の人が得意なこと、より上手くできることはその人に任せる。自分は得意な役割や領域にフォーカスする。
という感じ、だったかな(^^?)
その後のアクション事項として、
そのA市職員は、まずは市企画課の同期にB区事例を伝えることにしました。
そしてどの係に持ち込むかを相談し、その担当係と窓口業務の改善案をいくつか立てる。
最近は区の運営も独自性が認められてきているようです。
子育て世代の流入で人口増加中の江戸川区、そこは子育て支援が厚いのは有名。
豊島区では予算不足で危険なほど老朽化したままだった区庁舎の建替えに、等価交換の手法で実質費用はほぼゼロで近代的建物になったとか。
そういえば、
先のB区の区長は若め。東京23区の区長として初めてイクメン育休をとったとか、5年くらい前。
曰く、「区長が育休とれば、みんな取りやすいでしょ。役所の中も外も」
区長の育休も「1人の変化が全体を変える」の1つかもしれない。
(この育休は区長の発想だったのか、あるいは職員からの提案だったかは不明。ただ影響力ある人が変わる(orその人を変える)と、組織は変わりやすい。。。身近なところにもあてはまるような?)
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。
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