15期の小林 隆です。
2015年も押し迫って、
テレビ番組でも新聞でも、1年を振り返る、番組や記事が多く見受けられる今日この頃です。
そんな中で、本日の日経新聞の朝刊に、
「相次ぐ不祥事 問われる統治」とういうみだしの記事が掲載されていました。
2015年は、(大企業では)社外取締役によるコーポレートガバナンス(企業統治)が本格稼働した一方、
名門企業で信じがたい不祥事が続出した1年で、
企業統治元年である2015年は、日本企業の企業統治の脆弱性が露呈した1年でもあった、
とういうものです。
新聞で取り上げていたのは、東洋ゴム「免振ゴムのデータ改ざん」、東芝の「会計不祥事」、フォルクス
ワーゲンの「排ガス試験」の不正、旭化成建材「マンションくい打ち工事の虚偽データ」問題と、いずれ
も大企業の不正行為でした。
しかし、我々が日々接する中小企業においては、どうでしょか。
幸か不幸か、私が今までに接してきた中小企業では、
製品やサービスにおいて、虚偽の記載や手抜きを行った会社はありませんでした。
もし、中小企業でそのような行為があった場合、早晩その会社は淘汰の憂目をみることでしょう。
その一方で、散見されるのは、財務諸表の粉飾です。
架空売上、回収できない売掛金、架空の在庫計上、実態のない社長貸付金 等 いろいろな、手法で改ざん
された決算書に出会うことがあります。
問題は、それに気づいた私たちコンサルタントが、会社にどのような指導をするかです。
残念ながら、資金調達を主な仕事としている財務コンサルの中には、
データを自ら改ざんして、金融機関に提出する、コンサルタントも存在します。
私は、財務諸表の改ざんには加担しない、
そのような事が求められる仕事は引き受けない、ことをポリシーにしています。
ただ、すでに改ざんされた財務諸表に出会った場合が問題です。
多くの場合、決算書を粉飾しているのは、会社が窮地に追い込まれているからであり、
それらを開示した場合、即刻 金融支援が受けられなくなる可能性があります。
そのような場合でも、私は、基本的に開示を促しますが、
過去に1度、開示のタイミングを2年間ずらしたことがあります。
「経営改善計画」が通らなければ、どのみち数か月後にその会社は倒産、という状況のケースです。
金融機関の担当者もプロなので、財務諸表がおかしいことに気づいているケースは多いものです。
そこを、金融機関によって、あえて突っ込んでくる金融機関と、
わかっていても 突っ込んでこない金融機関があります。
前出のケースでは、会社が順調に「経営改善計画」の利益を獲得していったので、
2年後に開示した時も、「もうこれ以上は、ありませんね。」程度で、ことなきを得ましたが、
基本的に、このような対応をとるべきではないと反省しています。
大企業の経営者やサラリーマンも中小企業の経営者も、
不正をはたらく時の心理には、人として問題に正面から向き合うことができなかった、
とう共通点があるような気がします。
今年の不祥事を振り返った記事は、他人事とは思いえませんでした。
不正をしてしまった社長に偉そうなことを言うつもりは毛頭ありませんが、
その改善策を寄り添って、ともに考えるのが、私の役目だと思っています。
そうした役目を果たしてゆく上で、コンサルとしての自分を律してゆくことの大切さを、
改めて感じる次第です。