いつもお世話になっております。稼プロ!事務局の太田一宏です。
ご存知かと思いますが、コロナ禍からの復興で、グリーンリカバリーという考え方が力をもちつつあります。グリーンリカバリーは、環境問題を解決しながら、経済成長も実現する、という考え方です。美しいですよね。でも、美しいだけではないのです。リーマンショックからの経済回復時には、二酸化炭素排出量が増えてしまい、同じ失敗を繰り返すわけにはいかない、という切実なニーズも背景にある考え方です。コロナ禍に陥る以前にも、ESG投資に象徴されるように、行政は金融政策を通じて、環境重視へ舵を切っていました。経済復興という事態に直面し、その重要性がより増した、というステイタスにあるとみています。
エコ、という言葉をよく使いますよね。私は、日本語のエコは、エコロジーの略だと解釈しています。和製英語なので由来は微妙です。エコノミーの略だと思われている方もおられるでしょう。語源は、ギリシャ語の「住居の」に由来するらしく、英語では、環境に関連する語の接頭辞となっています。エコロジーは狭義では生態学を指しますが、広義には環境保護の思想や社会運動として使われています。
私がこの言葉と接したのは、今から40年くらい前。ソフト・エネルギー・パスを通してでした。ソフト・エネルギー・パスは、巨大火力発電や原子力発電などではない、風力やバイオマスなどによるエネルギー供給を唱えた思想・運動でした。地球温暖化は今のように広く認識されてはいませんでしたが、公害、動植物種の絶滅、人口爆発に伴う食糧の枯渇など、このままでは、地球環境は破綻する、という認識が広がりつつある頃でした。エコロジー運動は、そういった認識をもつ市民運動家などによって少しずつ広げられている、そのような活動だったと記憶しています。考え方に共鳴する人は少なくないのですが、残念ながら経済合理性にはまだ乏しく、確固としたイデオロギー的な拠り所がないと続けられない運動と言わざるをえないものでした。
グリーンリカバリーはSDGsの中に掲げられている⑦エネルギーや⑨イノベーションといったゴールを達成するための手段、そのようにとらえることができると思います。グローバルなゴールを達成するための手段であり、環境問題の解決が社会が向かう方向性の幹になりつつあるようです。イデオロギー先行で頭でっかちだったエコロジー運動は、均整のとれた姿になりつつある、そんな気持ちです。