こんにちは。20期生の加納です。今日は、学生時代に経験したディベートでは必須の「三角ロジック」について、お話しさせていただきます(8月22日に開催された「稼プロ!」第2回で論理の展開について学んだものの、まだ十分理解していない状況の中、大変おこがましいのですが)。
1.ディベートとは
ディベートとは、ある命題に対して肯定側と否定側がそれぞれの立場で主張しあい、討議を深めていくことです。私が経験したのはゲーム形式によるもので、立論、相手への質問と反論を数回繰り返し、どちら側が優れていたかをジャッジに判定してもらいました。
2.三角ロジックとは
三角ロジックとは論理的思考の基礎となる考え方で、主張(Claim)・材料(Data)・理由(Warrant)の3つから成り立っています。
主張……結論、提案、意見、推論など
材料……事実、数字、専門家の意見、例など
理由……原理・法則・常識・一般的傾向などにより、材料と主張を結びつけるもの
正三角形を思い浮かべてみてください。3つの頂点のうち、上が主張、左下が材料、右下が理由となります。
材料と理由を合わせて根拠と言うこともあります。主張に対する底辺です。そして、主張にとって根拠は「なぜなら(Why so?)」、根拠にとって主張は「だから(So what?)」という関係になります。
3.「理由」の種類
主張・材料・理由の中で、一番重要なのは理由でしょう。主張と材料を結びつけ、ロジックを支えるものだからです。
では、理由にはどのような種類があるでしょうか。いくつか例を示します(あくまでも「例」です)。
(1)感情
主張……イルカ漁を禁止すべきだ。
材料……イルカは頭が良い。
理由……高等動物を殺すのはかわいそうだ。
「かわいそうだからやめよう」と、人の心に訴えるわけですね。
(2)権威
主張……明日は東京で雨が降るだろう。
材料……石原良純がそう言っている。
理由……石原良純は信頼できる気象予報士だ。
「石原良純」という人そのものを、よりどころとしています。みなさんの周りには、「このように社長が言っていたから、やらなければいけない」と話す人はいませんか。これも、権威によって説得しようとしているんですね。
(3)類推
主張……太郎はスイーツが好きだろう。
材料……花子はスイーツが好きだ。
理由……太郎と花子は一卵性双生児で、性格がよく似ている。
「AとBが似ているので、AにあてはまることはBにもあてはまる」という考え方です。
(4)因果関係
主張……日本の経済は良くなるだろう。
材料……アメリカの経済が良くなった。
理由……アメリカの経済が良くなると、日本の経済も良くなる。
「AならばBである」、習ったばかりですね(ちょっと単純すぎますが)。もし、理由を「アメリカと日本の経済の仕組みは同じだ」とすると、類推によるものとなります。
4.三角ロジックを深める
1つの三角ロジックだけでは信頼できないとか、正しいとは言えないことはよくあります。そこで主張する側は、三角ロジックを深めていきます。
たとえば因果関係で例示した三角ロジックの理由については、次のようにしていきます。
主張……アメリカの経済が良くなると、日本の経済も良くなる。(3-(4)の理由を主張に)
材料……アメリカは日本の大きな輸出先だ。
理由……アメリカへの輸出が増え、日本の経済が良くなる。
さらに、この理由を主張とした新たな三角ロジックを作り、深めていきます。「なぜを5回繰り返す」と同じですね。
材料の「アメリカの経済が良くなった」も主張にして、材料として具体的な数字を挙げ、理由を述べて深めていきます。三角形を重ねてピラミッドを作っていくようなものです。
5.反論するには
ディベートでは、相手の主張に対して反論していかなければなりませんが、それには2つの方法があります。
(1)直接反論
相手の材料や理由に対し、疑問を投げかけて曖昧さを強調したり、それ自体を否定したりします。たとえば4で挙げた三角ロジックの「アメリカへの輸出が増え、日本の経済が良くなる」という理由に対し、「なぜアメリカへの輸出が増えるようになるのか」「どの程度増えるのか」「輸出が増えると、なぜ経済が良くなるのか」などと疑問を提示したうえで、「アメリカへの輸出は増えない」とか「輸出と経済は関係がない」というような主張をします。
(2)対抗主張
相手とは反対の主張をします。たとえば4の主張に対して「アメリカの経済が良くなっても、日本の経済は良くならない」と反論します。
もちろん、それぞれの主張には、材料や理由が必要です。
6.反論は有益
ディベートは2組以上で行いますが、自分の主張を強化するには「一人ディベート」がお勧めです。三角ロジックを深めていくと同時に、「自分が相手側だったら、どのように反論するだろうか」と考えます。そして自分で交互に再反論、再々反論、と繰り返していけば、三角ロジックが強化されていきます。
また、会議で最初から全員が賛成だったり、議論が深まらなかったりしたときは、わざと反対意見を述べてみることが有効です。それに反論できなければ、もともとの提案や意見は薄っぺらなものだったことになります。
以上で三角ロジックに関する話は終了させていただきます。機会があれば、ディベートに関する別のお話をさせていただければと思います(診断士としては、あまり有益な情報ではないですかね)。
ところで、10月までに提出しなければならない、3200字の小論文。文章も、論理も、習ったとおりにできればいいのですが、「言うは易く行うは難し」を実感しています。