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なんで株価は高い方がいいの?

2020-11-03 11:59:59 | 20期生のブログリレー

稼プロ! 20期生の山崎です。今日は常々疑問に思っていたことについて考察してみます 。株価上昇の必要性についてです 。

 

上場企業にお勤めの方はご経験お有りの方も多いと思いますが、ニュースリリースや業績予想の発表などを行うと、経営陣は必ず株価の変動を気にします。私たち自身も日経平均株価 、TOPIX、ダウ平均などの形で、毎日情報を受け取っており、株価というのは非常に身近な存在です 。

 

では、なぜ自社の株価は、上昇した方が良いのでしょうか?

自社株買いまで行なって、株価を上げるメリットはどこにあるのでしょう?

「そんなもん、下がるより上がった方がいいに決まってるだろう」という声も聞こえてきそうですが、少し掘り下げて考えてみたいと思います 。

 

疑問1 外圧による影響の方が大きいのでは?

ニュース(特に政治関連)や災害、風評、世の中の先行き期待感(失望感)などによって、株価は大きく変動します。リーマンショックの例を挙げるまでもなく、連日起こっている現象です 。個々の会社の努力など、こういった外的な影響に埋もれてしまうので、逐一気にしてもしょうがないのでは? という疑問です。

 

疑問2 きちんと中身を見て評価しているわけじゃないのでは?

「株価は美人投票」とは、著名な経済学者ケインズの言葉です。

「優勝者に投票した審査員が賞品をもらえる」という美人投票のルールを念頭に、市場関係者は意中の候補ではなく、「勝ちそうな候補」に資金を投じます。拍手喝采を受けている候補が他に居ればそちらに投票して勝ち馬に乗ろうとします。結局、その判断基準は、美人か否かではなく、投票者本人の利益の最大化に収斂します。極端な話、候補者Aが勝つという噂や、一定の影響力を持つ人物が候補者Bに投票したという噂が流れたら、その候補者に票が流れるということです。

現実に、例えば著名投資家(バフェット氏など)の投資行動や、証券会社のアナリストレポートは、明らかに株価に影響を与えています。また、機関投資家は基本的にアルゴリズムで自動売買を行うため、指標のみの推移で機械的に売買が行われるケースも多いです。

株価がそのような浮動的なものなのであれば、長期ビジョンなど、レンジの長い戦略が正しく評価されるとは思えず、なおさら株価など気にしてもしょうがないのでは? という疑問が湧いてきます。

 

疑問3 株価が下がっても直接、会社の懐が痛むわけではないのでは?

株式というのは 資金調達手段です 。

しかし、資金調達手段と言っても、企業に直接お金が入るのは初期投資家の分、すなわち発行した株式を最初に買った分だけです。以降は、市場を介してステークホルダー同士が売買されるため、企業に直接資金が流入することはありません。

これもまた、株価の上下をことさら気にしても意味が無いのでは? という疑問に繋がります。

 

これに対して、一般的に語られる株価上昇のメリットは、以下のようなものです。

①有利な条件で資金調達できる(新規発行)

②有利な条件で企業を買収できる(株式交換)

③買収を予防できる(株式買取価格が上昇する)

④同業他社を含めた定点観測によって相対的な位置を知れる

⑤同定点観測によって、何の指標の評価が違うのか観測することで、自社の改善点を見つけられる

 

疑問1(外圧による影響)は④⑤、疑問3(会社の懐は痛まない)は①②③が、ある程度の解になります。とりわけ、④⑤は株価の動向を意識する重要な動機になりえそうです。

疑問2(ちゃんと評価されない)に対する解になりそうなものは、見当たりません。これは、そういう面もあるという事実認識として捉えて良さそうです。

 

以上を総括すると、以下のようなことが言えます。

A 株価は外部要因で容易に変動する。アルゴリズムでの自動売買も当たり前に行われている。そのため、自社の株価の絶対値より、同じ環境下で評価されている同業他社との相対比較に重要な意味がある。

B Aを深掘りして分析し、各種指標の評価を知ることで、自社の改善点を見つけられる

C 株価上昇はエクイティファイナンス、株式交換による買収を容易にする効果があり、「有事の資金調達」に好影響を与える

 

景気の気は「気分の気」といわれるくらい、不確かで曖昧なものです。株価も然り。しかし、現代においてその影響力を無視することは不可能です。だからこそ、単に日々の株価の上下を一喜一憂するのではなく、趣旨を捉えて的確に分析し、経営の一助としていきたいところです。

コメント (2)
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