前回のブログではプロボノの紹介をしました。私が所属しているプロボノ仲介NPO(サービスグラント)は、加入時に自分の希望役割を登録する仕組みになっています。この役割には、マーケター、Webプロデューサーなど、企業みたいないろいろなポジションがあり、私は「ビジネスアナリスト」として登録しています。実は、私はこのビジネスアナリストの定義を知らず、「仕事でIT戦略立案や業務分析してるし、これやろ」という単なる直感で登録していました。先日、このNPOのセミナーで「ビジネスアナリスト」の定義がわかり、そうだったのか!?と思ったことがあったので、雑感交えて少し紹介したいと思います。
ビジネスアナリスト(以下、BAと書きます)と聞くと、企業の財務や経営戦略を分析する人を思い浮かべるかもしれません。実際それも範疇に入るようですが、主にはプロジェクトにおいて、業務の分析・設計、新しい業務の現場への展開を行うスペシャリストのことだそうです。IIBA(International Institute of Business Analysis)という国際団体もあり、アメリカをはじめ欧米では一般的な専門職の1つとのことでした。
そのIIBAによる定義では、「BAとは、ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能にする専門活動家」とあります。ちょっと難しいですね。私は、プロジェクトにおいて各ビジネス部門やスタッフ部門のニーズを引き出し、会社全体の変革の方向性に沿って実現の方向性をまとめ、その実現に向けてプロジェクト関係者(PMO、IT、業務部門など)を巻き込みながら変革を進める立場と理解しました。プロジェクトに関係する複数のステークホルダーのコミュニケーションを仲介・調整し、まとめあげる役割です。
私はこの話を聞いた時、日本の企業では「何となくあるようで無い役割」と感じました。社内で気の利いた人が肩書もなくその役割を果たしている、そういうイメージです。昔、社内の業務改革プロジェクトメンバーとして「業務検討して調整」を繰り返したことがありましたが、それはBAという名前の仕事だったんだと、初めて知りました。ややもするとそこらへんの職場では付帯業務扱いになりそうですが、BAという名前がついて認知度が上がってくると、ちょっと格好いいですよね。
このBAという役割、PM(プロジェクトマネージャー)と同様に、プロジェクト体制に明確に書き込まれると、プロジェクト成功率が高まる気がします。PMがその役割では、と思うかもしれませんが、PMはプロジェクトのQCDを守ることに責任があるので(特にCとD)、地道な業務面の合意形成が疎かになることがしばしばあります。しかし、プロジェクトは得てして、関係者の改革への合意が取れないことで袋小路に陥るのです。BAを置くことで、関係者からどんでん返しを食らわなくするための、リベロのような機能を持たせることができると思います。
BAの「仲介・調整してまとめあげる」という要素は、診断士が持つハンズオン的コンサルな要素と親和性が高いと思います。従来でも業務改革系のコンサルタントの仕事はBAに近いですが、あえてBAという役割を打ち出し存在感を出すことで変革の成功率を上げる、そんな診断士を目指すのも1つの方向性と感じています。