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”円の実力、50年ぶり低水準”に考える

2022-02-22 12:00:00 | 21期生のブログリレー
 事務局の佐々木です。こんにちは。ウクライナ、オリンピック、コロナなど、毎日新しいニュースから目を離せませんね。今日(2/20)気になったニュースは、日経電子版の”円の実力、なぜ50年ぶり低水準に。再浮上はあるか?”という記事です。
 
 為替レートには以下のような種類があります(上記記事からの抜粋)。
①名目レート
一般的な通貨の交換レート。貿易取引や海外旅行、FXなどで幅広く参照される。
②実質レート
国内外の物価変動の違いを調整した為替レート。通貨の実力を映す。
③実効レート
幅広い国・地域の通貨を対象に計算したレート。貿易量に応じて加重平均する。
④実質実効レート
実質レートと実効レートを組み合わせた指標。国際決済銀行(BIS)が毎月公表している
 
 国際決済銀行(BIS)が17日に発表した今年1月時点の円の「実質実効為替レート」(2010年=100)は67.55で、1972年6月(67.49)以来の円安水準になりました。ピークは1995年4月の150.85です。海外に比べて物価や賃金が上がらないなか、足元の水準はピークの半分以下まで落ち込んだ事になります。これは海外との取引の際の「円の賞味の購買力」が弱まっていることを意味します。
 
 実質実効レートがピークだった1995年は、私が初めて北米に赴任した年です。当時は1ドル70円台に突入した円高不況で会社は大変でしたが、個人としては日本から持ち込んだ円でいろいろなものを安く買えました。家賃や車も日本と比べれば安かったので、国内の同期よりもいい部屋・車を持てました。現地のアウトレットに行っては、分不相応なブランドのスーツを買ってました。ゴルフやスポーツ観戦、ライブなんかも日本と比べると信じられない安さなので、エンターテインメントも存分に楽しみました。当時は社会人一年生で経済のことは全く分かっていませんでしたが、”日本の経済力って強いんだなー”と感じていました。
 
 今回の発表の基準年になっている2010年は2度目の北米赴任の最中でした。1度目から10年ほどして赴任したのですが、いろいろな物が高くなっている事に驚きました。車は1回目と違い家族の分も含めて2台必要でしたが、日本よりもとても高くなっていたので苦労しました。旅行やエンターテインメントも感覚的には倍ぐらいになっており、1度目の時と違って”今しか経験できないから”と覚悟を決めて出費しました。家賃や保険などの生活インフラも高く、「会社から援助が出る赴任じゃないと米国で暮らすのは厳しいな、、、。」と感じてました。
 
 あれから約10年、円の購買力がさらに30%程度下がりました。記事では円安の進行が輸入資源の価格を引き上げ、家計を圧迫する懸念にも触れられています。輸出比率が高かった以前は、円安が日本経済全体にとってもメリットでしたが、海外生産が進んだ現在は効果が限定的です。
 95年当時は今のようにインターネットがなかったため、赴任生活で不便も多かったですが、円の購買力を背景にいろいろなことを経験できました。今は留学など若いうちに海外に出るのは経済的に大変ではないかと思います。大学や大学院等の高等教育機関に単位を伴う長期留学する日本人は、2004年をピークに減少が続いています。コロナ前の2018年はピークの7割でした。
 生産人口の減少が続き国内の需要増加が難しい日本では、海外に出るグローバル人材の育成が欠かせません。最近の若い人と接していると海外を志望する人が以前より少なくなっているように感じています。円の弱体化も少なからず影響しているのではないかと感じました。
コメント (3)
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