こんにちは。22期の浅野です。
インターネット・AI・量子コンピュータなどテクノロジーにより産業革命が進行中と思いきや、別の観点からもパラダイムシフトが起きていると感じます。それは環境問題への取り組みに端を発するエネルギー革命です。その中で水素の役割が大きいことに改めて驚いた話を書きます。
これまでは自然界で作られた石油やガスといった天然資源を「掘る」・「運ぶ」・「使う」というサプライチェーンがありました。しかし、今後はCO2を排出しないエネルギー源に置き換わりつつあります。自然の力を利用してエネルギー源を作り出す産業や、エネルギー源を貯める産業が勃興しつつある。天然資源が電気・水素・アンモニア・バイオ燃料などの人工的に作られたエネルギー源に置き換わっていくと、「作る」・「運ぶ」・「使う」の新たなサプライチェーンができていきます。エネルギーに関連する企業は、まさに産業革命に入った感じではないでしょうか。
「作る」エネルギー源がいろいろある中で水素が有望とされています。
水素の作り方は環境配慮型で色分けされていて、主なものはグレー、ブルー、グリーンです。グレーは化石燃料を使い「CO2を排出する製法」、ブルーは化石燃料を使うがCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage)などで「CO2を出さない製法」、グリーンは水を自然エネルギーで電気分解して作る「CO2ゼロの製法」という具合。
水素を動力に変える方法は、(1)水素燃料電池として電気でモーターを回す方法、(2)水素を内燃機関で燃焼させるエンジンの二通りがあります。トヨタのミライは(1)の方法で、都内を走るH2バスにも使われている方法です。(2)の水素エンジンはモータースポーツに限られていて、まだ普及していない状況です。
これまで水素はエネルギー源としか思っていなかったのですが、「そんなこともできるのか」と思った瞬間がありました。それは水素をCO2と化学反応させてメタンを生成するメタネーションという技術があることを知ったときです。つまりCO2を削減しながらメタンという別のエネルギー源を作り出せるわけです。水素が電力・動力の用途だけでなくCO2削減にも利用価値があると知り、水素のポテンシャルの高さを改めて感じました。
欧州が水素に力を入れている話とか、オーストラリアが水素の輸出大国になろうとしているとか、断片的に報道を耳にしていましたが、これまではあまりピンと来ていませんでした。それは電気で作った水素で電気を起こすという用途(燃料電池)しか想定せず「電池の別形態」くらいにしか考えていなかったからです。
いやはや、産業革命がダブルで起こっているかのようです。この変化にしっかりついていかねばなりません。たいしたことないと思っていた水素ですが、CO2削減しながら同時に燃料作るという技術を知り、水素ってすごいと思いました。