みなさん、こんにちは
稼プロ!19期生の森です。
先日、介護労働に関わる行政や団体による懇談会に仕事で出席してきました。今回は労働安全の観点からの雇用環境の改善についてがテーマでした。
さて介護労働の中で、労災の発生件数が多いのは何かおわかりでしょうか?
発生原因としては「動作の反動・無理な動作」と「転倒」が同程度、具体的傷病としては「腰痛」と転倒による「ケガ」が増えています。まあだいたい予想どおりかと思います。
「腰痛」は、業界では職業病と言われていて、多くの方が悩まされています。その腰痛の原因となる「移乗介助」、つまりベッドから車いすへ移動させたりする際の動作と腰への負担について、大学などでも研究し、今は介護施設への研修講師などもされている方のお話しが「なるほど」と思ったのでご紹介します。
移乗介助の負担を減らすには、ロボットや、スライディングボード、あとはボディメカニクスといって要は人力ですが体の使い方によって負担を減らすといった方法があります。
先ほどの講師の方としては、スライディングボードを使うのが、経済的で、しかも科学的に腰への負担が少ない、ということでお薦めなのだそうですが、研修では反応が良くても現場では普及が進まず、あきらめて今はボディメカニクスを中心に伝えているとのことでした。
動画も見ましたが、スライディングボードはセッティングにコツは要りそうであるものの、スムーズに移乗ができてとても良さそうなのに、なぜ普及していかないのか?
答えは「結局人は痛い目に遭わないとわからない」からです。
スライディングボードは経済的で効果的だけれども、それでもやっぱり面倒な気持ちが勝ってしまう。人力でやるより時間はかかる。介護職員がその時だけ2人組で作業してしまうほうが断然早い。2人組であろうが人力に頼っている限り、いずれタイミングのずれとかちょっとしたはずみ腰をやってしまうことは、確率の問題あるいは時間の問題なのです。気を付けていれば大丈夫だろうと高を括った結果、痛めてしまってから後悔する人がいかに多いか。ましてやロボットなど装着に時間がかかり過ぎて論外、ということでした。
そんなわけで、せめて少しでもリスクを減らすように次善策としてボディメカニクスを研修では教えているということでした。
他に印象的だった話では、介護施設によって就業環境が著しく差がある実態について。
従業員を大事にする施設では、スライディングボードも早くから導入していて、腰痛の職員も少なく、安全面の研修なども定期的に行っているので、定着も良く、人材も確保できているという好循環があり、その逆の場合は全部が疎かになって、増々人手不足になるという状況があるそうです。
まあ介護業界に限らず、そういうことってあるよな、と思いました。