東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

グローバリゼーションがもたらすブランド

2023-11-28 12:00:00 | 23期生のブログリレー

皆様、こんにちは。23期生の松田です。

 今月上旬まで夏日が続いていたのが、嘘のように冬が本格到来したような日々が続いています。インフルエンザも流行っているようですので皆さまも体調にお気を付けください。

 私は、映像システムの事業開発、SE、営業を担当し、昨今では介護業界からの引合が増えています。24年度には介護保険法の改正が計画され、介護施設職員一人に対する入居者の割り当てが3人から4人に緩和される方向で議論が進んでいます。ますます人手不足が見込まれる業界で、ICTによる労働生産性改善や定着率の高い職場づくりは待ったなし、といえましょう。こういった社会保障制度改革議論が起きるたびに、高福祉国家として北欧諸国が頻繁にモデルとして参照されます。私の前職はスウェーデン企業で、数度の同国訪問と知人友人もいるので、今回は、私の観点からこの北欧諸国の特長を簡単に紹介します。

 スウェーデンと聞いて何が頭に浮かびますか?アメリカや中国、ドイツ等と違い日本企業の海外進出とは縁遠い国なので、訪問したことがあるという人はかなり少ないのでは?しかし少し考えてみると、家具大手のイケアや携帯電話事業をしていたエリクソン、掃除機のエレクトロラックス、ファストファッションのH&Mがあります。80~90年代の洋楽に親しんだ方であれば、RoxetteやEuropeといったアーティスト、もっと前であれば、ABBAなんかもスウェーデン出身です。また、「白夜の国」というイメージもありますかね。マイナーな国だと思っていたのに、意外と身近だな、と感じられませんか?

 そんなスウェーデンを、3つのスウェーデンらしさ="Swedish"を否定することで、特徴をご紹介します。

1. 海外から人気のない?スウェーデン語(Swedish language)
 恐らく外国人でスウェーデン語を学ぶという人は殆どいないのでは、と思います。理由は、世界トップレベルの英語識字率で、国民の9割が英語が堪能と言われており、スウェーデン語の習得が不要なためです。飲食店の学生アルバイトと思しき若いお兄さんに、英語話せる?とカタコトの英語で聞いたらとても流ちょうな英語で「少しだけなら」みたないことを言われて恥ずかしい思いをしたことがあります。ただ、一定の訛りはあるらしく、アメリカ人からはSwenglish(スウィングリッシュ)と言われ、聞き取りづらいとからかわれていました。

2. 目にすることもない現地通貨?スウェーデンクローナ(Swedish currency)
 完全なキャッシュレス社会なので、目にすること、手にすることがほぼありません。私も初めて出張したとき以外は一切両替せずに訪問し、生活していました。一つ注意するとしたら、Masterカードが必須なこと。Amexも使えないケースが非常に多いので注意です(首都ストックホルムに行けば話は別ですが)。ちなみに、隣国デンマークの通貨は、デンマーククロー"ネ"。紛らわしいですね。

3. スウェーデン料理って何が有名?(Swedish food)
 イケアの影響でミートボールが名物かと思いましたがそうでもないらしく、気が付けばひたすらジャガイモ料理。食文化では、シュールストレミングという缶詰が「世界で一番臭い食べ物」として有名で、動画サイトで検索すると筋骨隆々の大男がこの缶詰を開けただけで・・・、という動画であふれています。この缶詰あまりに臭くて、職場や集合住宅で開けることは周りの人に迷惑なので禁じられている代物。Swedish Traditional Seafood(スウェーデンの伝統的な海産物)とだけ聞かされた私は食べ、動画の大男と同様の結末を迎えましたが、お蔭様で鉄板エピソードとして活用できます。最近の若い現地人も食べないらしく、なんて勇敢なんだ、みたいな反応をもらいます。いや、ただ、騙されただけなのだが・・・・。

 以上、Swedishを否定して書き記しましたが、人口約1,000万人と東京都23区民と同程度しかいない小国ながら、先にあげたような世界的な企業やアーティストを輩出する等一定の存在感を放ち続けています。これは、当初より自国だけではなくグローバルでの活動を見据えた教育制度であり、仕事と家庭の両立や充実した子育てが可能な福祉制度であり、労働生産性の高いインフラの整備といった国家戦略の存在が大きいと思います。あえて自国らしさを求めずグローバルに舵を切り、その結果として、数多くのJapaneseなコンテンツを保有する我々日本が、制度設計の参考としてスウェーデンらしさを参照しているというのも興味深い状況だと思います。英語の識字率が高い、高福祉国家、幸福な国家ランキングで上位にいるというのは、デンマークやフィンランドといった他の北欧の国でも共有の傾向で、大国でないが故に自国のポテンシャルを正しく把握した戦略、施策により、固有のブランディングを確立した好例と言えるのではないでしょうか?

 食文化が豊かでないのは残念ですが、私はスウェーデンが大好きで、ワールドカップやオリンピックでは日本の次に応援する国になっています。H&Mは残念ながら早々に日本撤退してしまいましたが、新たなSwedishが日本で普及することを楽しみにし、先ずはSwedish styleを参照にして、機能的なJapaneseな福祉制度の運営に繋がることを祈念します。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする