14期生 木村です。本日もしばしお付き合いいただければ幸いです。
だいぶ以前になりますが、ある30代の若い独立中小企業診断士の方と、お話しすることがありました。
その方は、ご結婚を予定されているとのことで、お相手の女性の方とは、別々のマンションで生活をされているのですが、
お互いの部屋を行き来する間柄のようでした。
お相手も仕事を持っておられ、また診断士の仕事についてもご理解いただいているように伺っておりました。
ところがです。最大の難関は、お相手のご両親とのことで、中小企業診断士の仕事をなかなかご理解いただけず、
不安定な職業と受け取られていて、結婚の承諾をなかなか頂けず、困っているとのことでした。
その診断士の方は、既に独立して数年経過しており、収入もずば抜けて高くはないにしろ、安定して仕事をされている方でした。
私は、独立を決心する前のことでしたから、なんとお答えしたらよいか困った記憶があります。
(失恋は何度も経験しているので、そちらの方面のご相談でしたら、まだ少しはできたかもしれませんが。(笑))
昨今、 「士」 業の先生方が、必ずしも右肩上がりで仕事をしている方ばかりではないことは、よく知られていると思います。
例えば、司法試験を合格した弁護士の先生方でさえ、独立したものの個人の事務所を構えるのは難しく、
数人の弁護士が共同で事務所を借りて仕事をしている、などという話はよく耳にします。
ましてや、同じ 「士」 業とは言え、知名度の低い 「中小企業診断士」 となると、お相手のご両親が不安になるのも、一応理解できます。
こう考えると、自分の独立の決断をした時、つくづく 「家族・環境」 に恵まれたことを実感します。
既に結婚していましたし、幸か不幸か子供はいません。
カミさんも非正規とはいえ長年勤めている仕事があり、普通のサラリーマン並みの給料はもらっています。
(私の扶養家族にはしておらず、ひとりでも食べていけます。)
また、母親も特殊な病気を抱えてはいますが身の回りのことは何とか自分でできますし、日常生活は弟がそばにいるので問題はありません。
つまり、私が、診断士として独立するにあたっては、将来に向けてなんの制約条件もなく、あとは、自分次第という一点につきます。
何といっても、独立を決断する前に、会社を辞めることに対して一言も反論しなかった カミさん の存在は大きかったですね。
(後から聞いた話ですが、私が退職すると言った時、 「このおっさんをしばらくの間、食わせていかなければならないのか。」
とあきらめていたみたいです。)
以前、ある診断士の先生が、 「独立するにあたって 『あせる』 必要はない。
もっと先、つまり結婚して、会社でそれなりの仕事ができるようになってからでも全然遅くない。」 と言われとことを改めて思い出しました。
つまり、経験を積むこともさることながら、自分まわりのあらゆる 「制約条件」 となる可能性を、
少しでも小さくしておいた方がいいという内容も含んだ、深い言葉だと思いました。
冒頭に申し上げた、若い診断士の方ですが、近々正式にご結婚されると伺いました。問題は全く ゼロ ではないようですが・・・・。
私が彼に何かを言うよりも、私が彼にしてあげられる最大の応援は、 「たとえ微力でも、中小企業診断士の知名度を少しでも高くすること」
ではないかと思いました。
昨今よく言われることですが、 「中小企業診断士には、様々な追い風が吹いている。」 または、
「『士』 業の中で、唯一、企業の将来に対する助言が出来る資格。」 と言われています。この言葉に甘えず、
少しでも 「中小企業診断士に相談して良かった」 と言われる仕事をすることが大切であると考えます。
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。