Psychedelic Soul / The Temptations (2003)
こんなコンピが出ていたんですね。テンプテーションズ(The Temptations)のサイケ・ファンク期の編集盤。ジャケットからして最高。お行儀の良いモータウンのお揃い服姿とは違い、何ともぶっ飛んだサイケデリックぶり。60年代後半に巻き起こったサイケデリック・フラワー・ムーブメントと人種問題を抱えた黒人音楽としてのファンク・ミュージックが混合し、モータウンの看板バンドでもあったヴォーカル・グループのテンプスにも大きな影響を与えた時期のサウンド。JB(ジェームス・ブラウン)やスライ・ストーン(Sly & The Family Stone)に代表されるファンク・ミュージックというジャンルの黎明期でもある。
そんな時期のテンプスを初めて聴くようになったのは自分が大好きなローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)がカヴァーしたバンドだったから。意外にもロックンロール・バンドであるストーンズが最も多くカヴァーしたアーティストのひとつがテンプスだ。いわゆるヴォーカル・グループ然としたソフトなタッチの曲から、このコンピに収録されたファンキーな曲まで、(多分)ミック・ジャガー(Mick Jagger)の趣味に合致した曲の数々は本当にかっこいい。このコンピにはその時期に録音された様々な曲が未発表のヴァージョンを含み収録されている。どれもどちらかというと重いテーマの曲が多く、世界的に混沌としていた時代を反映している。
ヴォーカル・グループであったテンプスであるだけに、その音楽を支えているのはモータウンのハウス・バンドである「ザ・ファンク・ブラザーズ(The Funk Brothers)」だった。他のレーベルでも表にあまり出る事のないハウス・バンドが存在したが、このハウス・バンドの詳細も当然の事ながら昔はあまり知られておらず、最近になって映画にもなったりしたので、やっと注目されるようになった(もちろん自分も知りませんでした)。まさに影の存在。多岐に渡るモータウン所属名アーティストのサウンドを支えたバンドなので、普通で考えたら即レジェンドだが、そうはいかないのがショービズの世界。多分その実力と相応の生活は保証されていなかっただろうメンバーの作り出すサイケでファンキーな音楽は褪せる事がない。特にこの時期のテンプスはおすすめ。
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