Havana Moon ( DVD+2CD) / The Rolling Stones (2016)
今年の3月にストーンズが行った記念すべきキューバ公演のライヴ映像DVDとCDが登場。昔こういうプロダクションは数年がかりだったが、最近は半年でフル・ヴォリュームの作品として茶の間に届くからスゴイ。まず最初に映画館で1日のみ限定公開(9月23日)されたので、友人から誘われていたが、仕事の都合がつかず断念。さぁ、どのパッケージを購入しようかと頭を悩ます(もうこういうの止めて欲しいよ、まったく)。もちろん最高値の日本盤を購入すればいいのだが、アナログはレギュラーのプレーヤーが動かなくなってチープなのしか稼働していないし、Tシャツとか要らないし、箱デカいの困るし、3枚も払う気しないし…と心は千々に乱れ、結局、寺田正典氏の入魂のライナーには後ろ髪が引かれたものの、輸入盤でちょうどいい安価なセットを探すことに。日本のamazonには輸入物DVD+2CDのセットが出ていたが、リージョン・コードが1だったので(うちのプレーヤーでは視聴可だが)イギリスのamazonでリージョン・フリーのセットを見つけ注文。のんびり待つことに。
発売日から10日程過ぎてCDデジパックサイズの3枚組がイギリスから届く。値段も適正。早速CDから聴き始める。セットリストは平凡(というかお初の国向けヒット曲満載セット)だが、相変わらずミック(Mick Jagger・73歳)のヴォーカルは驚異的だし(ちなみに5人の女性との間に8人の子供と4人の孫、そしてひ孫が1人‼)、メンバーの演奏も充実している。少しだけオーバー・ダブもあるようだし、随分とテンポが遅くなったり、構成が怪しい曲が多いが、現役感は充分だし、ほぼ生の姿といっていいだろう。ま、キース(Keith Richards)の演奏が怪しいのは今に始まったことではないしネ(笑)。ただし、新参者(もうバンドに入って20年以上だが・笑)ベースのダリル・ジョーンズ(Darryl Jones)のつま弾くフレーズは気に入らない。特に長尺で演奏を引き締めなきゃいけない1-11「Midnight Rambler」での迷走は彼のフレーズにも責任がある。ここんところ鼻につくんだよなァ…。
DVDの方では字幕こそ日本語は用意されていないものの(主要各国語には対応)、上映作品だけあってクオリティーは素晴らしい。メンバー同士の関係が異常なくらい良好なのに少し驚く。色々な波を乗り越えて晩年を迎え悟ったのかな。紆余曲折を経たメンバーの関係が最終章に入って最高にいいのは、ファンにとってこの上なく素敵なことだ(たいていはもう一緒にプレイさえしていない事がほとんどだからね)。そして何しろ会場に集まったキューバの人達の屈託のない表情が素晴らしい(フリーコンサートで、集まったのは120万人だとか)。某国と違ってまるきり諸外国との付き合いが無かった訳ではないが、キューバと国交を絶っていたアメリカが政治的方針転換をするだけで、こうも資本主義社会との動きが活発になるとは。めでたし、めでたし(それがキューバの人達にとって幸せであるかどうかは、ここでは問わない)。
何しろキューバ公演だろうがどこだろうが、どんな企画でもやればやったで全て前人未到の境地。ロックの歴史を塗り替え続けているんだから、同時代に生きて証人になれるだけで幸せだ。それでも彼らの凄いところは、ステージセットでも、ビジネス形態でも何でも、いつでも業界のトレンドを引っ張るところだと思う。なんで70過ぎの爺さんの集まりがいまだに音楽界の最先端(音楽的な意味ではなく)なのだ!?
amazon UKにて購入 (¥2,471)
・Format:DVD-Video, NTSC
・Language: English
・Region: All Regions
・Number of discs: 3
・Label: Eagle Rock
・DVD Release Date: 11 Nov. 2016
・Run Time: 138 minutes