岐阜県多治見市で夕食。夜を多治見で過ごすのは初めてかも。折角の機会なので、以前に近辺を散策した時からずっと気になっていた鮨屋、広小路沿いの「天八(てんぱち)鮓」に行ってみようと心を決める。ネット上にも情報が多くない店なので、思い切って直接電話を入れてみた。開店してすぐの時間に1人で入れるか尋ねると「どうぞ。」とのこと。名前は特に訊かれなかった。銀座商店街のシャッター通りを抜けて、すっかり辺りが暗くなった店に到着。1本電話を入れたとはいえ、初めての店にほとんど飛び込みだからやはりちょっと緊張するもの。思い切って暖簾をくぐって中へ。
店内はL字型の白木のカウンター。小上がり席もある。小さい暖簾の下がる漬け場にはご高齢の主人が1人。常連と思われる客相手につまみを切っている。こちらをチラと見た主人からは何も声が掛からないので、「ここ、よろしいですか?」とこちらから声を掛け、頷いたので箸の用意してある席に腰かけた。箸袋には「寿し屋の天八」と屋号が。屋号に”寿し屋の”と付く店だと銀座の「寿し屋の勘八」の系譜を思い浮かべるが、何か関係があったりして。本当は酒をいただきたいところだが、生憎この後は運転して帰らなくてはいけない。おしぼりを持ってきてくれた女将さんに断腸の思いでお茶をお願いする。主人が「どうしますか?」と訊いてきたので「握って下さい」と伝える。品書きも冷蔵ケースも無いのでどんな鮨種があるかは分からない。なので「任せます」と”おまかせ”でお願いした。
握りは特にタネの名前が告げられることなく、用意されたハラン(葉蘭)の上に無造作に置かれる。なのでタネの名前は違っているものもあるかもしれないが(特に白身)順不同で、鮃昆布締め、鯵、こはだ、鯛、本ミル貝(たぶん)、赤貝、貝ひも、玉子(鞍掛)、鮪、中とろ、海老(茹で)、穴子、手巻き(ねぎとろ)、新香巻、紫蘇と梅と穴子の巻物などをいただいた。醤油はあらかじめ主人がつけて供されるが、刷毛で塗るのではなく容器から直接チョンチョンとかけているのが可笑しい。握りは軟らかめ。置かれてすかさず口に入れていく。タネは海無し県としたらなかなかのもの。特に貝類は良かった。最近の物流って凄いなァ。刻みネギや生姜などの薬味はやや多めに使う。握りの間につまむ酢生姜はキリっとしているタイプで旨い。玉子焼が薄焼きの鞍掛だったり、海老の茹で加減がややレア気味だったり、穴子の煮方や、つめの粘度が高かったりと、いわゆる町の寿司屋ではない特徴もあって美味しくいただいた。
主人に愛想はないけれど、こちらが振りの客だから気にしないし(もちろん常連客とは話していた)、こちらから話すこともない。ただひたすら握りと対峙するのみ。他に客が入って来なかったこともあってポンポンといい調子で出てきたので、食べ始めてから勘定してもらうまでが約20分(笑)。こういう店は通うといい感じになるだろうな。次は昼に入って”おきまり”をいただいてみようかな。(勘定は¥8,800)
↓ まだ午後6時頃だったが「ぎんざ商店街」はこの通り誰も歩いていない。
寿し屋 天八 (天八鮓)
岐阜県多治見市広小路4-3
( 多治見 たじみ 銀座商店街 てんぱちすし てんぱち てんはちすし てんはち 寿し 鮨 寿司 すし 握りずし )