goo blog サービス終了のお知らせ 

ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

British Beat Classics Vol.1 : The Kinks & The Who / Various Artists

2019年09月14日 | ポップス・オールディーズ

British Beat Classics Vol.1 : The Kinks & The Who / Various Artists (1994)

ブルーズ関係に造詣の深いPヴァイン(ブルースインターアクションズ)から発売された、キンクス(The Kinks)とフー(The Who)がカヴァーした曲の元曲やインスピレーションの源になった曲を集めたコンピレーション盤。ちなみに”Vol.1”となっているが、それ以降シリーズが続いた形跡は無い(笑)。ヤードバーズ(Yardbirds)やアニマルズ(The Animals)らで続けるつもりだっただろうか。ジャケットはヒドいし、発売当時でさえすでにやり尽くされた安易な企画だけれど、聴いている分にはやっぱり楽しい。

こうして並べられると、キンクスとフーの連中の好みというか、影響された音楽はかなり似通っていて、ブルーズはもちろんのこと、ロックンロール、ポップス、ジャズ、モータウン、テレビ主題歌など被っているジャンルや曲調が多い。2人の天才レイ・デイヴィス(Ray Davies)とピート・タウンゼント(Pete Townshend)はどちらもロンドン出身だし(イギリス国内での出身地の違いは結構大きかったらしい)、年齢も1つ違いなので環境がよく似ていたのかも。その後に彼らがそれぞれ作った音楽も、”ロック・オペラ”と呼ばれるコンセプト・アルバムがあったりと共通項が多い。

The Kinks  

  • 01 Little Richard – Long Tall Sally  
  • 02 Chuck Berry – Beautiful Delilah  
  • 03 Lazy Lester – I'm A Lover, Not A Fighter  
  • 04 Bo Diddley – Cadillac  
  • 05 Chuck Berry – Too Much Monkey Business  
  • 06 Slim Harpo – I Got Love If You Want It  
  • 07 The Kingsmen – Louie Louie  
  • 08 Jimmy Anderson – Naggin'  
  • 09 Martha Reeves & The Vandellas – Dancin' In The Street  
  • 10 Sleepy John Estes – Milk Cow Blues  
  • 11 The Marketts – Batman Theme   

The Who  

  • 12 Ike & Tina Turner – Please Please Please  
  • 13 Bo Diddley – I'm A Man  
  • 14 Jan & Dean – Bucket T  
  • 15 The Regents – Barbara Anne  
  • 16 Martha Reeves & The Vandellas – Heatwave  
  • 17 Eddie Cochran – Summertime Blues  
  • 18 Johnny Kidd & The Pirates – Shakin' All Over  
  • 19 Larry Williams – Boney Maronie  
  • 20 The 5 Royales – Baby Don't Do It  
  • 21 Bo Diddley – Road Runner  
  • 22 The Isley Brothers – Twist & Shout  
  • 23 Garnet Mimms – Anytime You Want Me

オークションにて購入

  • CD  (1994/2/10)
  • Disc : 1
  • Label : ブルース・インターアクションズ

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かどや @愛知県一宮市

2019年09月14日 | 愛知県(尾張)

愛知県一宮市で前から気になっていた食堂「かどや」。何度も前を通ったことがあるのだが、やっているのかいないのかよく分からないし、駐車場が見当たらないので通り過ぎること幾度か。この日はよしずの向こうに暖簾が掛かって入口が開いているのがチラッと見えたので、急遽ハンドルを切って近くの奥町公園に車を停め、蒸し暑い中、歩いて店まで行ってみた。提灯がぶら下がってはいるが、道路側から見てもよしずで隠れて暖簾はほとんど見えない。こりゃ、一見にはちょっと無理だ(笑)。店に近づくと予想外の嬌声。覗いてみるとビックリ、狭い店内の3つあるテーブル席は満席だ。しかも日曜昼間というのに全員ビールとハイリキ(酎ハイ)の瓶を並べている…。一瞬みなの眼がこちらに。するとみなが動いてひとり分の席を開けてくれた。「すいません、ありがとうございます。」と相席で着席し、雑然とした店内の壁に貼られた品書きを眺める。品数は少なめで麺類、丼物がある。値付けは安い。給仕はご高齢のお母さんで、調理は息子さんかな。水を持って来てくれたお母さんに「特製焼きうどん」を注文。すると何故か向こうが慌て始めた。調理場の男性の「…書いてあるんだから仕方がない…〇△✕…」という声が聞こえる(笑)。お母さんが「…〇△✕だけど、いいかね?」と何か言いに来たが周りの声でよく分からない。「いいですよ。」と適当に返事して無事注文が通った。

テレビの番組を肴に呑み、しゃべり続ける知った者同士(たぶん)の中にひとりポツンと置かれた自分…。完全アウェイだが、放っておいてはくれるので不思議と居心地が悪い訳じゃない。しばらくして「特製焼きうどん」が運ばれた。豚肉がたっぷり。他には玉ねぎやピーマンが入り、鰹節、紅生姜がのっている。うどんは”やわ”で、使われているソースにはケチャップも入っているようだ。なかなか旨い。スルスルっといただいて勘定。財布の中を見て焦った。こんな安い値付けの店なのに小銭を用意してくるのを忘れる大失態。「ごめんなさい。」と謝りつつ札を渡すと、お母さんは嫌な顔ひとつせず裏に釣り札を探しに行ってくれた。申し訳ない…。しかも「これ持ってって。」とビニール袋に入ったお土産まで。遠慮しても「ええよ、ええよ。」と。結局、有難く頂戴した。店を出てビニール袋の中を見ると、バナナ、みかん、菓子、そして袋に入っていない裸のままのせんべいが入っていた(笑)。素敵な店だ。次は「カツ丼」で。(勘定は¥550)

 


 

↓ 建築好きには有名な建物「シネラマパワー(尾西シネラマパワー)」(昭和55年・1980・建造)。交通量の多い街道沿いに建つがポルノ映画館だ。圧倒的な迫力があってシビれるデザイン。北側だけ半円柱なのが謎だ。中がどうなっているか見てみたいがポツポツと客が入って行く。もちろん入る勇気も無いし、”ハッテンバ”だろうから長居は無用(笑)。

 

 

 


 

お食事処 かどや

愛知県一宮市奥町宮東38-1

 

( 一宮 いちのみや 奥町 おくちょう 角屋 麺類食堂 大衆食堂 居酒屋 酒場 丼物 うどん 日活封切館 にっかつ 日活ポルノ映画 )

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブラウン @岐阜県岐阜市

2019年09月13日 | 岐阜県(岐阜)

日曜日には営業をしていないので、なかなか伺うことが出来なかった岐阜市小熊町の喫茶「ブラウン」。市役所方面に用事があったので昼過ぎに寄ってみた。かつて長良川で獲れた鮎を熟れ鮨にして江戸まで運んだという「御鮨街道」沿いに店がある。創業は昭和42年(1967)だとか。ハーフティンバーの欧風な外観が素敵。緑に囲まれた入口から中に入ると、内装はレンガ調の壁紙、艶のある柱、ランプ風の照明、鉄砲やボウガンなどの小道具などとても渋い空間。壁の木材が曲線のデザインで装飾されていたり、タイル床だったりと、かなり手が込んでいる。昔はどこの喫茶店にもあったメーカーの名前入り冷蔵ショーケースも現役だ(注文後手洗いを借りたが、こちら絶滅危惧の”ヒモ引っ張り式”トイレ!)。年配のご夫婦でやっていらっしゃる。雑誌や新聞もきちっと整頓されているし、隅々まで綺麗なのがご夫婦の性格を物語っていた。茶色のビニールシートのソファ椅子に腰掛け、メニューから「コーヒー」と「ミックスサンドイッチ」を注文。

主人の手元は見えないが、じっくりと時間をかけてコーヒーが淹れられている。そしてサンドイッチの完成と同時に運ばれた。サンドイッチは”ハムきゅうり”と”玉子きゅうり”の2種類が三角形にカットされている。量もたっぷり。きゅうりに塩が効いていて旨い。玉子はまだほんのり温か。コーヒーはしっかり濃いめの東海地方クラシックタイプ。あられとチョコが付いている。この濃いコーヒーがサンドイッチとぴったり。周りではやや遅めのランチでカレーを食べている人や、入るなり「いつもの。」と注文する人が。うん、ここのカレー食べてみたいゾ。(勘定は¥950)

この後の記事はこちら (2

 

 

喫茶 BROWN (ブラウン)

岐阜県岐阜市小熊町2-18

 

( 岐阜 ぎふ 喫茶ブラウン COFFEE BROWN 喫茶 純喫茶 ランチ サンドイッチ サンドウィッチ カレーライス 鮎鮨街道 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かこ花車本店 @名古屋市中村区・名駅

2019年09月12日 | 名古屋(中村区・西区)

名古屋駅、あるいは国際センター駅から歩いても程近い喫茶店「Coffee House KAKO(かこ花車本店)」へ。創業は昭和48年(1973)だそう。この本店以外には江川線に沿ってあと2軒ほど店がある(さほど遠くない)。この日は灼熱の酷暑日(訪問8月)。午後の強い日差しに加えてアスファルトから上がる熱気で、歩いているとフラフラ。喫茶店でちょっと休憩しようと寄ってみたのだった。店に入る前に気付くべきだったが、なんとこの気温(37度)で入口と窓は開放状態。エアコンは動いているようだったが全く機能しておらず、店に入っても外と気温はあまり変わらない…。店内は大きくなくカウンターに10席程とテーブル席が2つのみで、いい感じに落ち着いた空間(暑いが)。カウンター席に腰掛けてメニューを眺める。こちら自家製のコンフィチュール(果実を煮つめたもの)を使ったモーニングサービスで有名らしく行列も出来る店だと聞いていたが、さすがに昼過ぎてこの暑さだと店は空いていた。それでも女性店員が3人も居たので普段の盛況ぶりが想像出来る(年配の主人は外出中)。名古屋で初めて自家焙煎コーヒーを提供した店でもあるらしいのでコーヒーを頂きたかったが、到底熱いものを飲む気にはなれず「アイス」〔ママ〕(※アイスコーヒーの意)をお願いした。

「アイス」はこちらのブレンドにマンダリンを加えてあるのだとか。銅製のマグカップで提供された。熱伝導の良い銅で氷の冷たさが手に伝わる。アイスコーヒーは市販の業務用パック品をそのまま使う店が多かったり、氷で薄まってしまったりすることが多いが、こちらはアイスでも(アイスだから?)しっかりと濃く苦味も強め。あぁ旨い。目の前に魔法のランプのような”甘い水”と書かれた銅製ポットがあったが、それにシロップが入っている。普段はアイスでもシロップは使わないが、後半に少し足してみた。目の前には20種類もの自家製コンフィチュールの瓶が並んでいる。どれでも購入出来るようだ。手のひんやり感に名残惜しさを感じつつ勘定してもらった。そういえば変わった店名の由来を訊くのを忘れたなァ。次は涼しくなってからホットコーヒーを。(勘定は¥470)

 

Coffee House KAKO(コーヒーハウスかこ花車本店)

愛知県名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル

 

( 名古屋 なごや 名駅 かこ かこ本店 かこはなぐるま Coffee House KAKO 喫茶 コーヒー 珈琲 モーニング 小倉トースト コンフィチュール 自家焙煎珈琲 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松竹大歌舞伎「封印切」「蜘蛛絲梓弦」 @愛知県丹羽郡扶桑町・扶桑文化会館

2019年09月11日 | 歌舞伎・文楽

松竹大歌舞伎「封印切」「蜘蛛絲梓弦」(9月7日・扶桑文化会館)

 

歌舞伎の巡業公演。今回はお気に入りの扶桑文化会館にて。このハコはこじんまりとしていて2階席でも充分役者の息遣いが伝わる距離感だし、ちゃんと花道や(ちょっと変わった仕様だが)桟敷席もある歌舞伎を観るにはお勧めの会場。昼はしっかり入っていたらしいが夜は空席も目立っていた(※下の写真は入場してすぐの様子)。

最初の演目は「封印切」。遊女の身請けの金にまつわる上方の和事。つまり関西歌舞伎の恋愛もの(←大雑把に言ってます)。台詞はもちろん関西言葉で、忠兵衛(鴈治郎)のいじめられっぷりが見もの。”封印を切る”というのは小判の封印を切るという事。これは公金横領とみなされる重罪だということを頭に入れておかないと事後の忠兵衛の絶望がしっくりと入ってこない。いじめる役の恋敵・八右衛門は松也が演じる。これがまたいい男だけに憎たらしい(笑)。松也は近年知名度もグングン上がって重要な役をやることが多くなってきた。吉弥の演じるおえんがいい感じだったなァ。

忠兵衛と梅川が2人して命を捨てる覚悟を決めた場面で、後ろの方から「ピンピロピロ~♪」と携帯電話を鳴らす馬鹿者が…。振り返ると60前半位のオッサンだったがびっくりすることに、電話に出たね(怒)。「モシモシ…」じゃないだろっ!(驚くことに、この人あとでもう一度鳴らして、呼出音を鳴らしたまま手に持って中座します…)。幕間に隣席の女性が「腹立ちましたねー。」と話しかけてきて共感してしまった。無神経な人って居るものだ。

2幕目は「蜘蛛絲梓弦」。扇雀が悪の4役をこなす外連味たっぷりの、言わば”ヒーロー戦隊もの”(笑)。いわゆる早変わりという程ではないが、役と衣装を変えて次々と貞光、金時、源光の前に現れる。60代前半の扇雀が最初におかっぱ頭の童子役で出てきたときはさすがに引いたが(笑)、役を変えて1時間延々と踊ることの出来る歌舞伎役者の資質って本当に凄いものだ。振付とかどうやって覚えるんだろう(しかも1ヵ月後にはまた他の役)。パァッと拡がる必殺技・蜘蛛の糸も各キャラ毎に大盤振る舞い。あれ1回でいいからやってみたいな。最後は全員が舞台に出て見得を切りながら、客席に向かって再度パァッと蜘蛛の糸。無条件に楽しい演目だった。

 


 

恋飛脚大和往来

一、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)

新町井筒屋の場 

  • 亀屋忠兵衛      中村 鴈治郎
  • 傾城梅川        市川 高麗蔵
  • 丹波屋八右衛門  尾上 松也
  • 肝入由兵衛      中村 寿治郎
  • 井筒屋おえん  上村 吉弥
  • 槌屋治右衛門  河原崎 権十郎

 

二、蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)

  • 女童扇弥    中村 扇雀
  • 座頭駒市
  • 傾城薄雲太夫
  • 蜘蛛の精
  • 碓井貞光    中村 虎之介
  • 坂田金時    上村 吉太朗
  • 源頼光     尾上 松也
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不二家本店 @岐阜県大垣市

2019年09月11日 | 岐阜県(西濃)

岐阜県大垣市のお好み焼の店「不二家本店」へ。創業して60年以上だとか。駅前の通りにも同じ屋号の店があるが、こちらの分店になるのかな(未確認)。そちらの店と違ってこちら本店はグッと昭和な店構え。中に入ると仕切られた鉄板付きのテーブル席が並んでいる。昔はお好み焼き屋というとこういう衝立みたいに仕切られた鉄板付きのテーブルの店が多かった。自分の故郷にもそういう店があり、そこが自身初の外食(もちろん大人抜きの意)だったんじゃないかな。それはさておき、店内は開店してすぐの時間というのにすでに6~7割りの入り。日曜とあって家族連れが多い。テーブルに座って壁に貼られた品書きを見る。”あさり”って珍しいなと「アサリ玉」をお願いした。品書きには「豚平焼」「ホルモン焼」なんてのもあってそそられるが…、車があるので又の機会に。

店員のおばちゃんがステンレスボウルに入った具材と大小の金属ヘラを置いていった。あれ、焼いてもらうことは出来ないのかな? 忙しそうにサッと行ってしまったので訊きそびれた。自宅ではなぜか自分がお好み焼を作る係みたくなっていて、子供が小さい頃からさんざ食べさせてきて作り飽きているから本当は店の人に焼いて欲しかったんだけれど…。仕方なく自分で焼く。手慣れた作業でお好み焼を焼き、卓上のソースと鰹粉と青海苔をかけて完成。ヘラで切って食べる。もちっとした生地で大きさも充分。アサリの風味はやや埋没気味だけれど、とろっとした少し辛味のあるソースで旨い。マヨネーズも付いていたが自分は使わない派。熱々を火傷覚悟で口に放り込んでいただいた。呑みたい…。次は電車で来よう。(勘定は¥600)

 

お好み焼・もんじゃ 不二家本店

岐阜県大垣市郭町東2-12

 

( 大垣 おおがき 不二家 ふじや ふじやほんてん 不二家お好み焼本店 お好み焼き おこのみ焼 おこのみやき 焼きそば 焼そば やきそば もんじゃ焼 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志ら玉 @名古屋市北区・上飯田

2019年09月10日 | 名古屋(東区・北区 老舗)

結婚して四半世紀も経つというのに記念らしきことは何もしていなかったし、事情があって嫁と2人でどこかへ旅行へ行くというのも無理な状況なので、食事でもするかと、自分がかねてから訪れたいと思っていた上飯田にある名古屋屈指の料亭「志ら玉」へ行くことに。創業は昭和11年(1936)とのこと。この日は簡単な茶席や店の主人による案内もある企画に乗った形で他人も同席だったが、普通料亭で食事をするというと部屋に入ったらそれっきりで、建物や内部の意匠を愛でることはなかなか出来ないし、料亭では料理や器の説明はされないものなので願ったり叶ったり。生憎の空模様で蒸し暑いが、何とか雨は上がって、傘をささずに住宅街の路地にある店へ。風情ある建物は何棟かに分かれていて、名古屋、京都、奥三河から移築したものなのだとか。この辺りは戦争で焼野原になってしまったので戦前の建物はほとんど残っていないそう。入ってすぐの土間には帳場があり、どこを見てもしっとりと時を刻んだ調度品ばかりで貫禄がある。緑鮮やかな庭を通って迷路のような通路を行き、まず茶室「笑庵」へ。

 

茶室の控えの間に何気なく飾られた掛軸の絵が魯山人だったりと、そこかしこが文化財級。この茶席は正式なものではないお試し的なものなのだが、自分は茶席に招かれた経験が無いので心得のある嫁の後を追って所作を真似することにする(笑)。うっかり黒い靴下を履いてきてしまったし、茶席に緊張していたのか、控えの間で腕時計を外すのを忘れてしまった。薄暗い茶席に5人程入る。菓子を回していただき、各人に薄茶が呈される。所作に慣れた嫁はそれを凝視して真似しようとしている自分を嘲笑うかのように「お先に。」とこちらを突き放している(笑)。主人が掛軸の由来やそれぞれの器、煙草盆、茶杓などの解説をして下さる。ざっくばらんな物言いで楽しい。正客(しょうきゃく)の席に座られたのは年配の男性。器などにも詳しい方のようで主人にも色々質問されていたが、”〇△時代の”と言われた由緒ある器を高々と掲げて観賞したり、スマホを器の上に出してバシャバシャ写真を撮ったりするのでヒヤヒヤ…(※通常、茶席で茶碗などを拝見する場合は高く持ち上げたり、他の物を重ねたりしない)。後から尋ねたら嫁もそれを見てドキドキものだったそうだ。もちろん主人は動揺することなく泰然と構えていらっしゃって注意したりすることはなかった。茶器や茶杓が回され、腰を屈めて拝見。出されている物はひとつひとつが歴史ある一級品ばかり。しかも選び方に少しだけ遊び心を加える「粋」。凄いもんだなァ。

移動して食事をいただく広間「桐の間」へ。欄間や襖にもしっかりと桐の意匠が。椅子席で料理をいただく。もちろん酒をいただく(嫁は呑まない)。こちらの酒は全て岐阜県美濃市の小坂酒造場の「百春」だとか。呑み慣れた酒だ。純米酒が冷蔵のようだったので本醸造をぬる燗でお願いする。皆が食事する間も主人がつきあってくれ、色々な話をしてくれる。料理のこと、料亭のこと、食文化のこと、建物のこと。普段訊くことが出来ない興味深い話が沢山聞けて楽しい。料理の献立は”会席料理”の定石通り、先付、しのぎ、煮物、向付、焼、八寸、鉢、止、御飯、水菓子、菓子と続いていく。海老、雲丹、鰻、鱸、鮪、烏賊、鮃などの食材が様々な形で出された。もちろん酒をお代わり。最初は熱すぎたので「人肌で。」と念を押す。これでも呑み過ぎないように自重している。料亭の料理は季節を感じさせることに一番心肝を砕くそうで、夏はやはり”鮎”なのだそう。この日の「鮎塩焼」は郡上(岐阜)のもの。小振りで蓼酢が付いているが、焼きはもちろんのこと、この蓼酢の風味が爽やかでとても良かった。その他にも所々で濡れた蓮の葉や笹の葉などの緑が用いられ、客が季節を感じ取れるように工夫してある。こちらの名物だというあっさりした味付けの「豚角煮」、食事が始まってから打つという「手打ち蕎麦」、そして「鮎御飯」をお代わりまでいただいて、水菓子、そして「わらび餅」で了。お腹はもちろんのこと、心も満足。嫁もひとつひとつの料理を楽しんだ様子で良かった。とてもいい経験が出来た。こちらでは通年でこういう機会を設けているようなので、季節を変えてまた参加してみたいナ。(勘定は¥32,000/2人)

  • <先 付> 海老 雲丹 冷製玉子〆
  • <しのぎ> 鰻飯蒸し 山椒
  • <煮 物> 胡麻豆腐 海老 茗荷 柚子
  • <向 付> 鱸洗い 鮪 烏賊素麺
  • < 焼 > 鮎塩焼 酢蓮根 蓼酢
  • <八 寸> フォアグラ 笹寿司 粟麩 玉蜀黍 サーモン レモン
  • < 鉢 > 豚角煮 湯葉 五月豆
  • < 止 > 手打ち蕎麦
  • <御 飯> 鮎御飯 香物
  • <水菓子> メロン キウイ マンゴー 寒天
  • <菓 子> わらび餅 薄茶

 

 

 

御懐石 志ら玉

愛知県名古屋市北区上飯田西町2-36

 

< 名古屋 なごや 上飯田 かみいいだ しらたま 日本料理 懐石 会席料理 料亭 茶席 茶懐石 >

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石井果実店 @岐阜県岐阜市

2019年09月09日 | 岐阜県(岐阜)

去年までは色々なかき氷店をわざわざ訪れて、この数年で格段にクオリティーの上がったかき氷を楽しんだが、今年はなぜかその熱が冷めてしまい、ほとんど行かずに終わりそうな夏。毎日うだるような暑さなので、自宅では庭に生った梅やブドウで作った自家製シロップで手がきのかき氷を作って(夜中に)食べているが、暑い中、豪華で高価なかき氷を並んでまで…、という気分になってしまったのが本当のところ。わざわざ行ったのに休みだったということもよくあって…。この日は台風前のどんよりした曇り空の下、たまたま通りかかった高級果物店「石井果実店」にかき氷の幟が立っていた(正確には店の人が台風で片付けようとしていた)のを見て寄ってみた。こちらの店は自分が物心ついた時から知っている店だが、いざという時の高級フルーツや、値は張るがため息が出るほど旨いフルーツゼリーを買ったり、戴いたりしている。ここのゼリーを貰うと嬉しいんだよなァ。何年か前には大事な顧客への”謝罪”訪問にわざわざこちらのフルーツを包んで持って行ったこともあったナ(苦笑)。

店に入ると店の人はみな台風の行方に気もそぞろな感じ(笑)。綺麗なゼリーが並ぶショーケースの所でさっそく「かき氷」を作ってもらった。この日あったフルーツの種類はいちご、ぶどう、メロン、マンゴーなど5つ。その中から自分には珍しく「いちご」を選択。中で注文して食べるのは外のテーブルで。盆にのった「かき氷」とコップの水、お手拭き、それに別容器のいちごソースを渡されて外に出る。生暖かく湿度の高い風で氷はあっという間に溶けそう。早速白っぽい色のソースを氷の上にかけていただいた。当たり前だがいちごの香りがスゴイ。甘い甘いいちごをそのまま潰してあるような感じ。氷自体は最近流行りのフワフワでもなく特に口解けが良い訳ではないが、さすがにソースは瞠目する旨さだった(よく考えたら店の外なので写真撮ってもよかったか)。あっという間にガラスの器の下の方は溶けてきている。風が強くならないうちにと急いで店を出た。(勘定は¥540)

石井果実店

岐阜県岐阜市芥見1-279

 

( 岐阜 ぎふ 芥見 あくたみ いしいかじつてん 果物 フルーツ フルーツの石井 かきごおり かき氷 フルーツゼリー 贈答 )

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Miles Ahead (Original Motion Picture Soundtrack) / Various Artists

2019年09月08日 | サウンドトラック

Miles Ahead (Original Motion Picture Soundtrack) / Various Artists (2016)

2016年に公開されたマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の伝記映画「Miles Ahead(邦副題:マイルス・デイヴィス空白の5年間)」のサントラ。映画はドン・チードル(Don Cheadle)が主演・脚本・監督を務めている。音楽監督の1人はジャズ・ピアニストのロバート・グラスパー(Robert Glasper)。劇中のダイヤログ(台詞)を挟んでマイルスの名曲と、この映画の為に作られた楽曲を収録している。映画はずっと観よう観ようと思っていたのに結局忘れてしまった(すでに映像ソフトが発売されている)。このサントラも何となく内容は想像ついたので見送っていたが、安価であったので今頃になってつい購入。

収録曲は有名曲ばかり。映画は一時引退期を中心に描かれているらしいが、楽曲はアコースティック期からエレクトリック期の曲まで幅広く選ばれている。劇中の演奏シーンで実際に演奏しているのはキーヨン・ハロルド(Keyon Harrold)というアーティストらしい(よく知らない)。ここに収録されているのはマイルスの往時のテイク(細かいエディットはあるようだ)。よくクレジットを読まずに聴いていて、最後の方に聴き慣れない曲があるなと思っていたら、それはこの映画の為にグラスパー、かつての盟友(弟子?)ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)らが新たに録音したものだということ。さすがお弟子さん達、雰囲気が出ている。映画のDVDを探さないと。

amazonにて購入(¥365)

  • CD  (2016/4/1)
  • Disc : 1
  • Format: CD, Import
  • Lable : Sony Legacy
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

めん処 まつ本 @愛知県一宮市 (※閉店)

2019年09月07日 | 愛知県(尾張・老舗)

木曽川の左岸、愛知県一宮市の奥町方面に車を走らせたときに昼食に寄った麺類食堂の「まつ本」。店は古い街道沿いの交差点にあり、店舗の裏に駐車場がある。昭和10年(1935)創業だとのこと。車から降りると出汁のいい香りが辺りに漂っていた。駐車場側に入口もあったが一応表に回って店の中へ。カウンター席、テーブル席、小上がり席があり、先客はまだだったのでテーブル席に座らせてもらった。大相撲好きなんだろう、番付や手形、写真などが沢山飾られている。品書きは黒い木札に白字で書かれている。丼物やカレーもあり。給仕は男性が、奥の調理場には年配の女性が居たが親子だろうか。蒸し暑い日だったので「うどんコロ(冷)」をお願いした。

しっかりと茹で時間があり「うどんコロ」が運ばれる。東海地方特有の”ころ”という呼び名だが、出てくるものは店によって様々で、つゆの量が普通並みに多いところもあれば、麺が完全に露出するくらい少ないところも。麺やつゆも、両方とも完全に冷やして出てくるところもあれば、片方だけ、あるいは”ぬる”くらいで出てくるところもある。こちらは完全に”冷やし”のタイプ。つゆは色濃いめで甘味があり、ほうれん草、カマボコ、花鰹がのっている。うどんは「稲庭うどん?」かと思うくらいかなり細打ちで、コシと張りがある。刻みネギとすりごま、すり生姜は別皿に。ちょっとづつ薬味を変えながらスルスルっといただいた。次は丼物を。(勘定は¥650)

 


 

↓ 車もすれ違えない細い路地にある「DanTe(旧・市橋毛織物工業株式会社)」(建築詳細不明)。横にあったノコギリ屋根の工場は分譲住宅に変わっていたが、この古そうな石壁の建物はカフェとして使われているようだ(やっているのかは分からなかったが)。

 

 


 

 めん処 まつ本

愛知県一宮市奥町貴船東120

※閉店されたようです(令和6年2月現在)

 

( 一宮 いちのみや 奥町 おくちょう 松本 まつもと まつ本うどん店 麺類食堂 大衆食堂 饂飩 近代建築 閉店 廃業 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする