Live '72 -三田祭- / 村八分 (2000)
山口冨士夫が在籍した伝説のバンド「村八分」のライヴ音源を収録したCD。1972年の慶應大学の三田祭での録音。ヴォーカルのチャー坊(柴田和志)は日本ロックの黎明期にあって歯に絹着せぬ物言いや振る舞いなど、当時から規格外だったようで様々な逸話を残している。自分が彼らを初めて気にしたのは、ストーンズの69年のライヴ盤「Get Yer-Ya Ya's Out」の名演「Midnight Rambler」のブレイク部分で「カッチョイー!」と(聞こえる)叫び声をあげたのが、当時アメリカに居たチャー坊だったという逸話を本で目にした時。どうもガセだったらしく後に本人が否定したらしいが(ただし他の日本人説あり)、「とんでもないバンド名だなァ」と心に留まった。当時から山口冨士夫の名は知っていたが、村八分の音源を探そうにも今のようにすぐに手に入る時代でもなく(ネット環境無し)、随分長い間、音源どころかバンドやメンバーの当時の写真さえ満足に探すことが出来なかったのを記憶している。彼らはいわゆるスタジオ録音アルバムというのも残しておらず、唯一の正式発表されたアルバム(当時)もライヴ録音(←高くて買えなかった)。
さてこのライヴ音源。音質は海賊盤並みの酷さで、楽器の分離やヴォーカルの機微など分かりようも無いが、そこがまた迫力を増している。チャー坊(柴田和志)のがなりたてるようなヴォーカルは荒々しく決して上手いものではなく、はっきり言って歌えていないが、客に悪態をついたり、がなりたてたりとアティチュードは誰よりもロック。ましてやまだフォーク全盛と言ってよかった日本では異端だったろう。彼らは残っている動画も少ないが、チャー坊のファッションやスタイルはミック・ジャガー(Mick Jagger)を彷彿とさせる(腰に手を当てて歌う姿はもろにミック)。音楽的には何といっても山口冨士夫のギターがスゴイ。ザクザクと刻む歪んだ音は骨太で、当時こんな分厚いギターを弾くロッカーが日本に居たというのが信じられない。写真などで見るハーフの彼の風貌も、絶対に目を合わせたらヤバいタイプで(笑)、迫力満点。このアルバムを購入したすぐ後に、新しく発掘されたテープを使用したリマスター盤が発売されることを知った(新旧聴き比べはこちら)。
オークションにて購入(¥740)
- CD (2000/10/24)
- Disc : 1
- Format: Live
- Label : GOODLOVIN'PRODUCTION