福島市で6月18日から行われた本因坊戦七番勝負の第4局は高尾本因坊が、挑戦者の依田九段に白番5目半勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、3連覇に王手をかけた。第5局は6月25、26日、新潟市の「ホテルオークラ新潟」で行われる。
<高尾本因坊の話>
1日目は難しい碁かと思った。上辺の白を攻められたのは軽率で、ヨセになっても形勢がよくわからなかった。終盤、右辺に地を囲うことができて勝ったと思った。
<依田九段の話>
黒11と打ちたくなったが、あまりいい手ではなかった。1日目でダメだと思った。上辺の白を攻めて勝負形になったと思ったが、黒の方も眼がないから好転はしなかった。
(毎日新聞より抜粋)
本局は立会人として、じっくり2日間、現地で拝見させて頂きました。
この碁の印象を一言でいうならば、立ち上がりから依田さんが工夫に工夫を重ね、高尾本因坊は相手に合わせて自然に行くという展開でした。しかし、その結果、黒は工夫したわりには、碁を難しくし、少し嫌な碁にしたようです。
(「週刊碁/林海峰の目」より抜粋)
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高尾本因坊の泰然とした打ちぶりが勝利を誘った一局の感じでした。「動かざること山の如し」でしょうか。
一方の依田九段、イマイチ着手がかみ合わない印象です。
両雄の持ち味はビールで例えれば高尾本因坊の「コク」と依田九段の「キレ」ですが、現時点では「コク」の方が優位に立っているようです。
注目の第5局は本日(6/25)からですね。依田九段の巻き返しを期待しているのですが・・・。
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今回の対局地は福島市の飯坂温泉、旅館「摺上亭大鳥(すりかみていおおとり)」。
2005年10月の女流本因坊戦第2局が当地で行われています。
飯坂温泉は宮城県の鳴子温泉、秋保温泉とともに奥州三名湯に数えられたそうです。
近年は熱海や鬼怒川などと同様に歓楽街のイメージの強い温泉は、団体客の減少やレジャーの多様化により苦戦を強いられているようです。
ホテル・旅館業界もデパート型より専門店型が、好まれてきているのでしょうか。