岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『あなたは遠いところに』 2008年韓国映画 イ・ジュニク監督

2014-03-23 16:38:35 | 映画・DVD 
韓国が参戦し派兵したベトナム戦争を描いている。
2008年制作だから、戦後40年の作品となる。
戦争の悲惨さをきちんと描いている。

現在、GEOで無料で観ることができる。

ストーリーを簡単に書くと
ベトナム戦争に従軍した夫を追うため妻が慰問バンドに参加、ベトナムの前線に行く。
現実には、このような妻の行動がありうるかとは思うが、
紆余曲折がありながら、前線で戦う夫に会うという設定だ。
この荒唐無稽なストーリーを作り切ったということからすごい。

韓国と米国の関係の如く、韓国兵と米国兵の関係も明らかな上下関係がある。
ベトナム戦争が、アメリカによる代理戦争なら、韓国は「代理の代理」戦争だ。
韓国兵には「上官に忠誠」という以外に戦争目的はないように見える。
米国が戦うならば同盟国も血を流さなくてはならないということか。
これは広義の集団的自衛権だろう。

日本が韓国と同じ立場に立たなくてよかったのは、間違いなく憲法9条があったからだ。
日本人にとってはベトナムは「遠くの戦場」だったかもしれないが、
韓国にとって、「今、ここにある戦場」だったのだ。
このことは米韓2国の集団防衛関係が作用したといえるが、韓国民にとっては、とんでもないことだった。

戦場になったベトナムの兵士や村民も丁寧に描かれている。
韓国兵にとって、ベトナムで戦う意味は生き残るため以外にない。
大義などない。

監督の視線は、自国兵への愛情、他国に攻め込まれたベトナムの人々への同情であり、米国には嫌悪感しかない。

よくできた作品だと思う。


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