『いしぶみ』には歴史があります。
1969年に広島テレビが制作した番組を、2015年にリメイクしたのが『いしぶみ』綾瀬はるか主演、是枝裕和監督作品です。
昨年テレビ放映されたのですが見逃したので、シネマクレール丸の内で観ました。
今の私のストレス解消は映画鑑賞です。
母の介護明けの日に観る習慣がつきました。
広島二中の生徒が勤労奉仕中に原爆に遭い321名がなくなりました。
当日、欠席した数人を除き全員が死亡しました。
当時の様子がわかっている生徒は少数です。探しにきた父母に遭うことができた生徒も少数ですがいます。
子は親を思い、親は子を思う気持ちが伝わります。
朗読中心の映画です。
これは創る側も見る側を楽ではないのでは思ってしまいました。
そこは是枝裕和監督でした。
ただリメイクするだけでは終わりません。
戦争を知らない世代がどのように戦争の悲惨さを継承していくのか。
生き残った旧生徒や遺族から話を聞いていきます。
聞き手は、池上彰。
「いしぶみ(碑」に刻まれた生徒の名から数名が削られます。生存していた人の名です。
その人に、インタビューをします。
現在につながる言葉が紡ぎだされます。
そこから71年前の記憶だけではなく、71年間の時間の流れも見えてきました。
旧制中学1年生といえば12歳です。
彼らは軍国教育のために死をも恐れぬ小軍人になっていました。
鬼畜米英と叫びながら母を慕います。
再び、このような悲劇を繰り返してはなりません。
私の前の席に3人の若い女性が座っていたのですが、映画のエンドロールが終わり、劇場内が明るくなっても立ち上がろうとしませんでした。
若い感性に未来を託したいと思います。