平和賞授賞式での代読文章全文を入手したくて検索をしても探すことができなかった。
朝日新聞に掲載されていたのは抄訳だった。
素晴らしい文章だった。
この文章は、今回の投獄前に書かれている
「そして、今また、私を敵とみなす政権の意識によって被告席に押し込まれている」
彼の、中国共産党に対しての視点(もちろん批判的であるが)は、絶対的な権力者としてではなく
現政権担当をしているグループとしてである。
「私には敵はおらず、憎しみもない。私を監視、逮捕した警察も検察も誰も敵ではないのだ。
私は、自分の境遇を乗り越えて国の発展と社会の変化を見渡し、誠意を持って政権の敵意に向き合い、
愛で憎しみを溶かすことができる人間でありたいと思う。」
改革開放を評価をする。
「改革開放は国の発展と社会変化をもたらしたことは周知の通りだ。改革開放は毛沢東時代の
「階級闘争をかなめ」とする執政方針の放棄から始まり、経済発展と社会の平和融合に貢献した。」
現政権による「人権の取り扱い」を評価をする。
「98年に中国政府が国連の2大国際人権場条約への著名を世界に約束したことは、中国が普遍的人権の標準を
受け入れたことを示した。2004年には憲法が改正され、初めて『国家は人権を尊重し保障する』と明記された。
こうした進歩は、私自身も逮捕されて以来の経験の中で感じ取ることができる。」
希望。
「私の心は、いつか自由な中国が生まれることへの楽観的な期待に溢れている。」
「私はこうした進歩が本案の審理でも体現され法廷が公平な裁決を下すと期待しているー歴史の検証に耐えうる裁決を。」
劉氏の期待と希望は裏切られることになるのだが、
「憲法によって付加された言論の自由を実践するためには、公民としての社会責任を果たさなければならない。
私がしてきたことは罪ではない。罪に問われても、恨みはない」
背筋が伸びるような、人間性の素晴らしさを感じる文章である。
彼がノーベル平和賞受賞者の列に加わることは至極当然のことである。