4月２５日に。

２年が経った。遺族の方々は悲しみを新らたにされている。
２年前、今の事態を想定できただろうか。
遺族の方がJR西に対して抗議声明を出している。
天下った当時の幹部たちに会うこともできない。
相変わらず不適切な行動や発言が目立つ。

現場のアンケートを見ると、安全対策が講じられていないと
感じる社員が半数近い。

なぜ　このような大きな人災を風化させようとするのか。
それは簡単なことである。
「これは運転士の異常行動である」ということにしてしまうと
JR西日本もまた被害者となる。
あの男さえいなければ、当時の幹部は財界の大物になれたはずだ。
あの運転士にとんでもないことをされた。
我々も運転士の被害者だ、という気持ちがある。
このような心理がJR西の姿勢に見え隠れしている。

この事件はJR西の企業方針に原因がある。
そして国土交通省が進めて方向性にもだ。

この事故が起こった２００５年。もっとも安全に対する会社の
意識が低下していた。
安全はJR西の重点項目の一番下にぶら下がっていた。
上位は「楽しさや便利さの追求である」。
簡単にいえば、交通の劇場化である。
これは小泉が政治を劇場化したことと繋がる。

もっとも重要なそしてなかなか目に見えない、
そして根本的なことがなおざりされてきた。
覆い隠されてきた。
このことは今も変わらない。

安きに流れる政治や企業。それを見逃していると、
やがて我々は一番大切なものを失うことになる。
この事故を「ひとごと」としてしまっているのは無自覚なJR西の心だ。
JR西はこの事故が、運転士が仕出かした「ひとごと」と思っている。
このことがわれわれの悲劇なのだ。
自覚症状のない得体のしれない心を持つ法人に我々は今日も
乗っているのか。

JR西日本よ。もう一度、遺族や負傷者の家庭を訪問し
すべての話を聞き、心を開き、一からスタートし直すことだ。
それができなければ、ふたたび人災は起こることに
なる。そしてその被害者はまたも乗客となるのだ。