腰帯には、「嘘と欺瞞のメルトダウン。すべての議論はここから始まる!国が操る『原発全体主義政策』の病根を知り尽くした前知事がそのすべてを告発」とある。
著者は、自民党の参議院議員を経て、1988年に福島県知事に当選。2006年に辞職。その経緯は『知事抹殺ーつくられた福島県汚職事件』に詳しく書かれているそうだ(未読)。
福島県知事は、現在も佐藤知事。2代続けての佐藤姓なのでややこしい。特に西日本の人間にはなかなか理解が及ばないのでは。
この新書は通産省の中央官僚とはどのような組織なのか。東電との関係はどうなのか。対峙せざるを得ない知事の視点から詳細に書かれている。
読み続けるうちに怒りがこみ上げてくる。
顔の見えない通産省の組織が原発とプルサーマル推進を至上目的としてゴリゴリと遂行する不気味さ。
そして破局を迎えるわけだが、それでも生き延びようとする得体のしれぬ組織。
読みながら、著者が「日本病」という名で呼ぶ、かつての戦争遂行者たちの組織と重なってしまう。
この本に描かれる官僚たちや政治家、東電幹部の姿かたちは、さもありなんと納得できるものだ。
そうだろう、そうだろうと(この体質と私の体質がそう遠くないことも確かだ、私も日本人だ)。
楽をしようとするとこうなる。
しかし絶対に認めることができない。
民主主義とはとても相いれない。
著者は今から6年前、2006年に現場を離れるが事態は悪化するばかり。
歯止め役を次の知事は放棄してしまった。
そして、2011年3月11日を迎える。
私も不明を恥じることが多い。
アメリカ・スリーマイルからソビエト・チェリノブイリと続いた後、次は日本だという声を聴いた。
しかし、その時の私の思いは「そうかなー」だった。
この本を読んでいると日本の原発では事故に次ぐ事故だったことがよくわかる。
とても安全というレベルではなかったことが、これでもかというほど羅列される。
本当に参りました。
腰帯にある「すべての議論はここから始まる」という言葉。
肝に銘じなくてはなりませぬ。
悪しき日本病ですね。おっしゃる通りイジメの構図と思います。
人間は本来的にこのような側面を持っているのでしょうが克服することができるはずです。
>顔の見えない通産省の組織
これって学校の裏サイトでのいじめと同じ構図じゃないでしょうか。