岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

映画『怒り』 人を信じることが揺れる 

2016-09-24 20:39:05 | 映画・DVD 

日本映画界のオールキャストを集めた映画という歌い文句はいかがと思いますが、

実力派が揃った映画であることに間違いはありません。

キャスト

渡辺謙 宮崎あおい 松山ケンイチ

妻夫木聡 綾野剛

森山未來 広瀬すず

が重要な役を演じます。

監督 李相日  原作 吉田修一

音楽 坂本龍一

2時間20分にも及ぶ大作です。

予告編には、血塗られた殺人現場が登場して少し引いてしまいます。

キャストやスタッフの顔ぶれから観ないわけには行かないと、映画館に向かいました。

タイトルが「怒り」だから、怒りが主題と思われやすいけれどそうではありません。

テーマは、「信じることの危うさ」だと思いました。

冒頭は八王子の夫婦殺人事件から始まります。

容疑者は整形手術をしてしまい、一目ではわからない顔になっています。

この映画で三人の疑惑者が東京、千葉、沖縄で現れます。

その3人に関わっていく人々が「信じながらも揺れていく」思いを強烈に描きます。

真犯人の言葉。「なんで信じることができるのか。根拠があるのか」という問いかけに

たじろぐのは観客です。

いえば勝手に信じ、勝手に疑うのです。

どうです。そんなことはありませんか。

それがこの映画では殺人という極端な事象で語られるのですが、私たちの些細な日常では

よくある話です。

普段気づかないような心の動きを拡大して赤裸々にしてしまうのです。

私たちの拠って立つ思いの危うさに慄然としてしまいます。

スタッフやキャストの熱量が迫真のドラマに仕上げました。

大した役者さんです。

演技に圧倒されました。

坂本龍一さんの音楽も流石です。


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