岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『風立ちぬ』 宮崎駿監督作品  素晴らしい!

2013-09-07 10:13:49 | 映画・DVD 
いやー、本当に素晴らしい。
至福の2時間でした。
映画が終わってタイトルロールも終わって、場内が明るくなって、やっと観客の方々が立ち上がり始めました。
涙が止まらなかったのです。
タイトルロールに唄われる主題歌である荒井由実の「ひこう機雲」もよかった。

今日は宮崎駿監督の引退発表の日でもありました。
そういえば、自分の映画を観終わって、「泣いたのは初めてでした」と言ってましたね。
様々な感慨が溢れたのでしょう。
本当にお疲れ様でした。
また、どんでん返しを期待しています。


『風立ちぬ』にはいくつかの批判もあるようです。
私が読んだのは、
1.戦闘機を美化している。
2.喫煙シーンが多過ぎる。
ですね。

もちろん、そうとられてもしかたないと思います。
宮崎駿監督は百も承知でしょう。

この映画のテーマは、風であり空気です。
風は見えない気流です。
見えないものを見えるようにする。
それは雲であったり煙であったり、草木であったり、風雨であったり、火事であったりします。
大震災もそうです。
飛行機やたばこの煙も風とともにあります。

この映画は、実在の堀越二郎という戦闘機の設計者をモデルにしています。
彼は、「美しい飛行機」を創りたい一心で、大学で学び、飛行機製造会社に勤めます。
そして、戦闘機を設計するという形で戦争に加担します。
戦時中までの日本人はこのように何らかの形で戦争に協力していたと言わざるをえません。

戦争に加担や協力しないためには、戦争ができる世の中をつくらないことです。
戦争を進める社会の中にいれば、美しいことを求めると戦争に加担するようにならざるを得ない。
多くの芸術家もそのようなことになりました。

『風立ちぬ』の題名は、ご存じのように堀辰雄の同名小説からです。
主人公のフィアンセであり、後に妻となった菜穂子とのラブロマンスが描かれます。
結核という不治に近い病に罹り、高原のホテルや病院で療養をする菜穂子との恋愛は、静かな情熱となって、観る人の心を揺さぶります。
映画は、こうして時代を超えた普遍的な愛をその懐に抱え込みます。

映画館の大画面でみても圧倒される絵の素晴らしさ。
一切手抜きのない画面構成と物語は、宮崎駿監督最後の長編映画として悔いの残らぬ作品になったのです。

まだ、観られていない方はぜひ!
お薦めです。


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