今日から明日にかけては道東の女満別、網走方面へ出張です。書き込みが遅くなっていてすみません。
今日は女満別町と東藻琴村の合併で誕生する大空町の観光振興の応援に行くのです。網走は先週もプライベート旅行で来たばかりだというのに、縁のあるときはあるものですねえ。
【大空町観光地域作り実践プランキックオフセミナー】
大空町とはこの3月31日に女満別町と東藻琴村が合併して誕生する、人口約9千人、面積は350平方キロの新しい町です。
この町では合併後の新町民の気持ちを一つにする事で合併効果を上げたいと考えているのですが、その方策の一つとして観光振興を掲げ、昨年国土交通省が推進する観光地域作り実践プランという制度に応募して名乗りを上げたのでした。
今日はいよいよ合併を三週間後に控えて、観光に携わる関係者を集めてお話を聞いたり意見交換をする事で心の準備をしようと、キックオフセミナーを開催することとしたものです。
そこで国土交通本省と開発局からそれぞれ観光関係の職員を招き、これになんと吉本興業の広報センター長さんも交えて講演会をしようという企画なのです。
冒頭本省の企画官と私から会わせて約1時間の講演をしました。そのあとはいよいよ吉本興業で長くいろいろな企画をされているTさんからの講演です。
* * * *
Tさんは飄々とした関西弁で笑いを取りながら話を進めます。さすがにお笑いを仕事にされている方は話の仕方が違って大いに参考になりました。
「イギリスの中学校には黒板の上になんと書いてあるか?日本なら『廊下を走るな』とか『給食は残さないようにしよう』とか守るべき事を書くのでしょうが、イギリスには、”Have your own opinion”と書いてあるんだそうですな。訳せば『あなた自身の考えを持ちなさい』つまりは、『あなたは他人と違うということを認識しなさい』ということを小さいときから教えているんだそうです」
「そうやって考えてみると、イギリスは大阪に似ていると思いました。つまりゼロから1を作り上げる土壌があるんです。それに対して東京やニューヨークは1を100にするという土壌があるように思うんです。僕は何もないところから何かを作り上げる方がおもろいと思うんですけどどうですか~?」
お笑いもここで何をどう言ったら面白いか、というのはゼロから1を生み出すクリエイティブな作業なのでしょうね。クリエイティブは面白いという事です。
「吉本ってまちづくりになぜか呼ばれて、『なんかアイディア出せ~』って言われる仕事も結構あるんですわ。ある商店街へ呼ばれてそこで商店街の活性化策がなんかないか~?って言われて、僕あることを考えました」
「それはね、商店街で喜劇を作ったらどうか、というアイディアだったんです。八百屋さんやら魚屋さんやら、呉服屋さんやらいろんな人がいますね。そういう人たちを主人公にして喜劇を作ったらどうや、と考えて企画書作って提案したんです。そしたら初めはワイワイ言ってたんですけどある人から『しかしこれ~、どこでも通用するねんな~』って言われました。他の商店街に作った奴を文字だけワープロで全部置き換えた企画書やてバレましてん」
「『バレた~』思いましたけど、その瞬間考えました。『確かにこれ、どこでも通用しますけど、それじゃここにしかないものって何ですか~?』って言ってやりました。そしたらそこからは地域の自慢とそこにしかないもんのネタがどんどん出てきました。『あの豆腐屋、ピアノうまいで~』とか『あの魚屋のおっちゃんは、かつてオリンピックの強化選手に推薦された事がある』とか、そのこと自体はしょうもないかもしれないけど、紛れもないこの商店街だけのキャラですわ。で、最後は『こんだけおもろい人がいたら物語が作れるね』ってところまで行きました。自分たちの町が改めて見えたというのが面白かったですね」
さすがに吉本興業です。笑わせながらまちづくりのなんたるかのポイントをしっかりと押さえているんですねえ。下手なコンサルタントなど足元にも及ばないようなプレゼンテーションです。
コンサルタントもお笑いを学ぶときが来たようです。そんな気がしました。
* * * *
講演の後に地元の関係者と懇親会。大空町のスタートのときに何か話題が欲しいね、ということで笑いあっていたのですが、吉本のTさんから「そうだ、大空テントちゅう芸人がいるんですよ。彼を呼んだらどうでしょう」という話題になりました。
「大空町のスタートの時なので、『大空』にちなんだスターが来る、と言って町には『大空???が大空町にやってくる~』ちゅうことにして、こっそり『大空真弓がくるらしいで~』と言っておくんです。そんでもって体育館に町民一同集めて『それではいよいよ大空町にちなんだスターの登場です!大空…テントさんどうぞー』ちゅうて、町民9千人が『なんやそれー!』って全員コケるんです」
「それって吉本新喜劇そのまんまじゃないですか」
「『いやもう最低や!でももうこれ以上最低なことないから、新しい町は上向きしかないで~』って。どうです、これ。大空テント君って上岡隆太郎の弟子でピン芸人なんですけど、ダウンタウンやナイナイなんかも大ファンなんですよ。案外彼らが応援についてくるかも知れませんな」
おまけの方が本体よりすごい事になりそうですが、大空町なら何かやるかもしれん期待を抱きました。
さて合併もいよいよ間近です。何をやらかしてくれるやら。それにしても笑いをベースにしたまちづくりの技には恐るべきものがあります。
学ぶところが大きい出会いでありました。
今日は女満別町と東藻琴村の合併で誕生する大空町の観光振興の応援に行くのです。網走は先週もプライベート旅行で来たばかりだというのに、縁のあるときはあるものですねえ。
【大空町観光地域作り実践プランキックオフセミナー】
大空町とはこの3月31日に女満別町と東藻琴村が合併して誕生する、人口約9千人、面積は350平方キロの新しい町です。
この町では合併後の新町民の気持ちを一つにする事で合併効果を上げたいと考えているのですが、その方策の一つとして観光振興を掲げ、昨年国土交通省が推進する観光地域作り実践プランという制度に応募して名乗りを上げたのでした。
今日はいよいよ合併を三週間後に控えて、観光に携わる関係者を集めてお話を聞いたり意見交換をする事で心の準備をしようと、キックオフセミナーを開催することとしたものです。
そこで国土交通本省と開発局からそれぞれ観光関係の職員を招き、これになんと吉本興業の広報センター長さんも交えて講演会をしようという企画なのです。
冒頭本省の企画官と私から会わせて約1時間の講演をしました。そのあとはいよいよ吉本興業で長くいろいろな企画をされているTさんからの講演です。
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Tさんは飄々とした関西弁で笑いを取りながら話を進めます。さすがにお笑いを仕事にされている方は話の仕方が違って大いに参考になりました。
「イギリスの中学校には黒板の上になんと書いてあるか?日本なら『廊下を走るな』とか『給食は残さないようにしよう』とか守るべき事を書くのでしょうが、イギリスには、”Have your own opinion”と書いてあるんだそうですな。訳せば『あなた自身の考えを持ちなさい』つまりは、『あなたは他人と違うということを認識しなさい』ということを小さいときから教えているんだそうです」
「そうやって考えてみると、イギリスは大阪に似ていると思いました。つまりゼロから1を作り上げる土壌があるんです。それに対して東京やニューヨークは1を100にするという土壌があるように思うんです。僕は何もないところから何かを作り上げる方がおもろいと思うんですけどどうですか~?」
お笑いもここで何をどう言ったら面白いか、というのはゼロから1を生み出すクリエイティブな作業なのでしょうね。クリエイティブは面白いという事です。
「吉本ってまちづくりになぜか呼ばれて、『なんかアイディア出せ~』って言われる仕事も結構あるんですわ。ある商店街へ呼ばれてそこで商店街の活性化策がなんかないか~?って言われて、僕あることを考えました」
「それはね、商店街で喜劇を作ったらどうか、というアイディアだったんです。八百屋さんやら魚屋さんやら、呉服屋さんやらいろんな人がいますね。そういう人たちを主人公にして喜劇を作ったらどうや、と考えて企画書作って提案したんです。そしたら初めはワイワイ言ってたんですけどある人から『しかしこれ~、どこでも通用するねんな~』って言われました。他の商店街に作った奴を文字だけワープロで全部置き換えた企画書やてバレましてん」
「『バレた~』思いましたけど、その瞬間考えました。『確かにこれ、どこでも通用しますけど、それじゃここにしかないものって何ですか~?』って言ってやりました。そしたらそこからは地域の自慢とそこにしかないもんのネタがどんどん出てきました。『あの豆腐屋、ピアノうまいで~』とか『あの魚屋のおっちゃんは、かつてオリンピックの強化選手に推薦された事がある』とか、そのこと自体はしょうもないかもしれないけど、紛れもないこの商店街だけのキャラですわ。で、最後は『こんだけおもろい人がいたら物語が作れるね』ってところまで行きました。自分たちの町が改めて見えたというのが面白かったですね」
さすがに吉本興業です。笑わせながらまちづくりのなんたるかのポイントをしっかりと押さえているんですねえ。下手なコンサルタントなど足元にも及ばないようなプレゼンテーションです。
コンサルタントもお笑いを学ぶときが来たようです。そんな気がしました。
* * * *
講演の後に地元の関係者と懇親会。大空町のスタートのときに何か話題が欲しいね、ということで笑いあっていたのですが、吉本のTさんから「そうだ、大空テントちゅう芸人がいるんですよ。彼を呼んだらどうでしょう」という話題になりました。
「大空町のスタートの時なので、『大空』にちなんだスターが来る、と言って町には『大空???が大空町にやってくる~』ちゅうことにして、こっそり『大空真弓がくるらしいで~』と言っておくんです。そんでもって体育館に町民一同集めて『それではいよいよ大空町にちなんだスターの登場です!大空…テントさんどうぞー』ちゅうて、町民9千人が『なんやそれー!』って全員コケるんです」
「それって吉本新喜劇そのまんまじゃないですか」
「『いやもう最低や!でももうこれ以上最低なことないから、新しい町は上向きしかないで~』って。どうです、これ。大空テント君って上岡隆太郎の弟子でピン芸人なんですけど、ダウンタウンやナイナイなんかも大ファンなんですよ。案外彼らが応援についてくるかも知れませんな」
おまけの方が本体よりすごい事になりそうですが、大空町なら何かやるかもしれん期待を抱きました。
さて合併もいよいよ間近です。何をやらかしてくれるやら。それにしても笑いをベースにしたまちづくりの技には恐るべきものがあります。
学ぶところが大きい出会いでありました。