今日は、大学の恩師がこの3月で退官することから、退官記念講演会に出席してきました。春は別れと出会いの季節です。
【卒業生集合】
大学の恩師の最終講義は、これまでの研究成果から面白そうな話題を取り上げた2時間でした。
2時間話す、ということはものすごく長い時間に思えますが、これまでの約40年にわたる研究からピックアップしての内容とすれば、語り尽くせないほど多くのことがあるはずです。しかしそのなかのほんの一部を聞かせていただくことができました。
我が恩師のA先生は、景観の評価ということを数字で表すという研究を早くからされていた方です。
そして景観評価を構成する要素は、「共通因子」+「個人因子」+「誤差」で表されると考えました。この「共通因子」は何かということを勉強すると、多くの人が美しいと思う要素が分かってきて、今度はそれを利用する事で美しい景観を作ることに繋がる、ということもあるのだということです。
そしてそのときに多くの人が持つ共通性は、「生得的」→「文化的」→「親密性」→「社会的、経済的、人口学的」な順番に絞られて行くと考えられています。
しかし例えば日本人に生まれたなら誰もが美しいと思う…というような要素もあるのかもしれませんが、それとても、育ち方で評価は変わるもので、学習で変化する要素もあるのだそうです。
私も卒論では模型を使って景観の評価につなげるような研究をしました。その節はお世話になりました。これからも健康で、ご活躍されて私たちの指導にご尽力いただきたいものです。
長い間お疲れ様でした。
* * * *
さて、その後の懇親会の会場では、学年が一つ下だった後輩S君と会いました。彼ももう助教授になったという事で立派に仕事をしている様子は心強い限りです。
「今は何を研究しているの?」
「少し前にはアスパラを研究していました。アスパラってたいてい食べられる若い茎しか研究しないでしょう?でも僕は育ってしまった後を調べてみたんです。」
「へえ、何か見つかった?」
「それがですねぇ、アスパラって成長するとふわっと葉っぱのようなものが広がるでしょう?あの葉のように見える部分は、仮葉とか偽葉とか呼ばれていて本当は葉じゃないんですけど、あそこにルチンがものすごく多くある事が分かったんですよ」
「ルチンって、蕎麦にはたくさん含まれているけれど、他にはあまり含まれないように思っていたけどね」
「でしょう?それが蕎麦よりも多いくらいなんですよ」
「それはなにかビジネスになるの?」
「蕎麦ってルチンが多いのはよいのですが、アレルギーもあるじゃないですか。アレルギーはタンパク質が原因で起きるもので、蕎麦にはどうしてもそのタンパク質が含まれていますよね」
「ルチンはタンパク質じゃないの?アミノ酸?」
「ルチンはポリフェノールの仲間なので、タンパク質とは違うんです。だからこのルチンの多い部分を粉末にしてうどんに混ぜてしまえば、ルチンたっぷりうどんなんてのもできるんですよ」
「あ、それはいいねえ。そういうビジネスに繋がるような研究はいいよ、うん」
北海道の農業を活性化するためには新しい息吹が必要です。S君はナナカマドの一種でポリフェノールがたくさん入っているものと他の果物との交配なども研究しているのだとか。
いつしか北海道からポリフェノール高濃度の果物が登場するかも知れませんよ。
様々な世界で活躍する先輩後輩に会うのは嬉しいものですね。
【卒業生集合】
大学の恩師の最終講義は、これまでの研究成果から面白そうな話題を取り上げた2時間でした。
2時間話す、ということはものすごく長い時間に思えますが、これまでの約40年にわたる研究からピックアップしての内容とすれば、語り尽くせないほど多くのことがあるはずです。しかしそのなかのほんの一部を聞かせていただくことができました。
我が恩師のA先生は、景観の評価ということを数字で表すという研究を早くからされていた方です。
そして景観評価を構成する要素は、「共通因子」+「個人因子」+「誤差」で表されると考えました。この「共通因子」は何かということを勉強すると、多くの人が美しいと思う要素が分かってきて、今度はそれを利用する事で美しい景観を作ることに繋がる、ということもあるのだということです。
そしてそのときに多くの人が持つ共通性は、「生得的」→「文化的」→「親密性」→「社会的、経済的、人口学的」な順番に絞られて行くと考えられています。
しかし例えば日本人に生まれたなら誰もが美しいと思う…というような要素もあるのかもしれませんが、それとても、育ち方で評価は変わるもので、学習で変化する要素もあるのだそうです。
私も卒論では模型を使って景観の評価につなげるような研究をしました。その節はお世話になりました。これからも健康で、ご活躍されて私たちの指導にご尽力いただきたいものです。
長い間お疲れ様でした。
* * * *
さて、その後の懇親会の会場では、学年が一つ下だった後輩S君と会いました。彼ももう助教授になったという事で立派に仕事をしている様子は心強い限りです。
「今は何を研究しているの?」
「少し前にはアスパラを研究していました。アスパラってたいてい食べられる若い茎しか研究しないでしょう?でも僕は育ってしまった後を調べてみたんです。」
「へえ、何か見つかった?」
「それがですねぇ、アスパラって成長するとふわっと葉っぱのようなものが広がるでしょう?あの葉のように見える部分は、仮葉とか偽葉とか呼ばれていて本当は葉じゃないんですけど、あそこにルチンがものすごく多くある事が分かったんですよ」
「ルチンって、蕎麦にはたくさん含まれているけれど、他にはあまり含まれないように思っていたけどね」
「でしょう?それが蕎麦よりも多いくらいなんですよ」
「それはなにかビジネスになるの?」
「蕎麦ってルチンが多いのはよいのですが、アレルギーもあるじゃないですか。アレルギーはタンパク質が原因で起きるもので、蕎麦にはどうしてもそのタンパク質が含まれていますよね」
「ルチンはタンパク質じゃないの?アミノ酸?」
「ルチンはポリフェノールの仲間なので、タンパク質とは違うんです。だからこのルチンの多い部分を粉末にしてうどんに混ぜてしまえば、ルチンたっぷりうどんなんてのもできるんですよ」
「あ、それはいいねえ。そういうビジネスに繋がるような研究はいいよ、うん」
北海道の農業を活性化するためには新しい息吹が必要です。S君はナナカマドの一種でポリフェノールがたくさん入っているものと他の果物との交配なども研究しているのだとか。
いつしか北海道からポリフェノール高濃度の果物が登場するかも知れませんよ。
様々な世界で活躍する先輩後輩に会うのは嬉しいものですね。