北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

雪氷輸送は苦労が大事

2006-03-02 23:51:54 | Weblog
 昨夜から降った雪は15センチほども降り、久しぶりのまとまった雪となりました。

 でも日中の日差しなどで力無く溶けるあたりはやはり春の訪れを感じさせます。

 さて今日は雪氷輸送システム調査の委員会による現地調査と今年度最後の委員会が開催されました。

 昼前から我々課の担当者たちは苫東で行っている氷製造の現地入りをしてスタンバイです。昨夜からの雪が現場一帯をうっすらと覆って氷が隠されてしまいましたが、それはそれで美しい風景ではあります。

 氷製造の工程では第一のポイントがいかに氷を春以降に溶かさずに保存しておけるのか、ということです。江別など他の地区で行われている実験では氷に雪などを大量にかぶせると雪が断熱材となって氷そのものは夏でも充分に守られるという実験結果が得られています。

 しかし単に保存するだけではなく適当な時期になるとこれを低コストで切り出して持ち運ぼうというのですから、できるだけ製造工程にもコストをかけない方法が望まれます。
 
 そう考えると重要になるのはいかに大量の氷を固まりで作るかということです。大きな氷で表面積を出来るだけ少なくする事が溶ける面積を少なくする事に繋がるというわけです。

 そこで今回は一辺が32mという大きな四角形の土手を作ってそのなかにプールのように水をいれ、高さ2mという巨大な氷を作ろうという事で実験を開始したのでした。

 しかし12月初旬からはもう適期と思われる水張りが工事の関係で12月末からになってしまったことや、融解期をにらんだ排水口からの漏水処理に手間取った事などから思うように氷が成長せず、現在でも厚さ60センチにとどまっています。

 やはり初めてという事で予想外、想定外の事態が多く発生したということなのですが、これはこれで次に繋がる課題の明確化や多くの知見を得る事が出来ています。
 先駆的な試みにはつきものの先達の苦労の真っ最中にいて担当者は日々苦労が多いのですが、今こそ士気を高く持って一丸となって進む事が重要です。

 ピンチの時にこそ組織の力量が試されるというものでしょう。

 現地では池からも氷を採取しているのですが、昨年同時期の氷が厚さ35センチほどあったのに対して、現在厚さが25センチほどにやせてきています。

 今冬の天候を概観すると、2月中旬までは気温が低めで雪も多かったのに対して、先週末には雨が降るなど、その後は一転して暖冬の様相を呈しているような気がします。
 天候相手の実験は再現性が難しいので、データをできるだけ多く取って次につなげたいものです。

    *   *   *   * 

 さて、氷づくりの現場から移動して別な場所で開かれた委員会では、4月以降に始めようと考えている実証実験の内容について御議論をいただきました。

 氷という、運んでいる途中で大きさが変わるような物体をどうやって荷台に固定するかや、溶けた水を流れ出さないようにする工夫など未知の部分が多く、ミニ実験も何度か行う必要がありそうです。

 東京では氷を投入実験する建物にもそれなりにアタリをつけて交渉をしているところです。

 全てが初めての雪氷輸送システムですが、これができれば環境改善と帰りの空荷のトラック対策にもなるという一石二鳥のプロジェクトです。

 道のりは平坦ではありませんが、その悩み全てが後に続くものへの道しるべです。今苦労しておく事こそが大切だ、と思う事は世の中にもたくさんある事でしょう。

 北国をよりよく生きるための先駆的実験的取り組みを行うというのがわが組織の存在意義でもあるのですから、その生き様のど真ん中にいるということでもあります。

 「若いときの苦労は買ってでもせよ」という言葉もありますしね。

 誰です?「売ってやるから買いに来い」なんていっているのは?


コメント
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