北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

津波漂着物という二次被害

2011-06-16 23:45:21 | Weblog
 東日本大震災から三か月が経過しましたが、被災地の復旧復興は一足飛びには進まず、なんとかならないものかという気持ちが日に日に増しています。

 私たち自身も津波による被災からの復旧に一区切りをつけ、東北・三陸地方への復興支援を始めていますが、被災地からは残念なプレゼントも届けられます。それは海岸への漂着物です。

 普段は増水で河川から流れ出す流木が多いのですが、最近は流木以外にも漁具や建築木材、タイヤ、ドラム缶まで様々な瓦礫の類が漂着し始めました

 つい先日も、船体にMGと書かれた沿岸用小型船が漂着しました。「MG」とは宮城船籍の船の証。北海道の船ならばHKと書かれています。


   【漂着ゴミと漂着船】


 船体番号が分かったので持ち主をたどってみたところ消息がつかめましたが、「所有権は放棄する」とのことで、そうなると漂着物はゴミとして海岸や港湾管理者が処理する責任を負うことになります。

 釧路沿岸では、海浜の部分は道管理の建設海岸、港と漁港は釧路市が管理するという責任分担となります。しかし、海岸に漂着する以前の海上にも相当量の流木などが漂っていて、これらが定置網などに入り込むと漁具に大変な被害をもたらします。

 漁師さんも背に腹は代えられず、小さなものは引き上げ、大きな流木などはロープで引っ張って港へ戻ってきます。漁港で引き揚げられたごみは釧路市が責任を持つ産業廃棄物となり処理をしなくてはなりませんが、この量たるや今後のことを考えると頭が痛くなります。


   【ゴミを放っておくとさらにゴミを呼んでしまいます】


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 先ほどの小型船で言えば、外側をFRPというガラス質繊維でコーティングしているために処理が大変です。おまけに産業廃棄物となると60センチ以下に切って小さくしないと処理してもらえないのですが、船の予想しないところに補強材が入っていたりすると、カッターの刃を傷めてまた費用がかかるのだとか。図面が手に入ればよいのですが、これまた難儀なことです。

 処理費用は全額道や市の自治体負担となりますが、もしかしたら特別交付税などで費用が補ってもらえるかも知れません。しかしそのためには量を確認してもらう必要があるかもしれないというので、すぐに処分してしまうわけにいかず、仕方なく道路脇に積み上げて仮置きせざるを得ません。そしてこれがまた、ゴミを放っておくと便乗して家庭のごみを捨てに来る輩もいたりして、地域の生活に悪影響を及ぼします。


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   【実に様々なものが流れてきます】

 
 さらには、漂流ゴミには放射能はないのか、という問題が加わります。処理しようにも放射能に関して安全だ、という確認がいるのではないか、というのです。

 ところが放射能を測定できる機材には数の限界があって、現場で測定してすぐに結果が出る、ということができません。このことへの安全対策や費用の方針がなかなか国から出されない今日、現場の苦労と心配は日増しに高まっています。

 
 災害が原因だとはわかっていますが、その後に沿岸域の自治体だけに二次的な被害と負担が押し寄せるのはどう考えたら良いのでしょうか。

 地元でもそろそろ関係機関が集まって対策会議が開かれ始めました。道庁の本庁などにどれくらいの危機感があるか、機会をみて訴えてゆかなくてはならないと思います。

 頑張れ被災地!まだまだ震災の余波は続いています。



【昆布の揚場に霧。ゴミの行く末も視界不良です】 
コメント (1)
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