仕事上、月一回発行している「舗装協会ニュース」という広報誌があります。
基本的には会員向けの情報伝達メディアなのですが、半年ほど前から、内容を一般向けにして、発注者や一般の人にも舗装業界について知ってもらうような紙面づくりに切り替えてきました。
その一つの試みが、「識者インタビュー」というコーナーで、道路にまつわる有識者や、建設産業に関わるような人たちへのインタビュー記事を始めたこと。
月に一度、3千字ほどのインタビュー記事を書いているのですが、自分としては、道路が悪くて困っている人の話など、聞いていて面白い話題に触れられて、世間の一端を垣間見るようで、大変ですが楽しんでいます。
そんな記事ですが、今回は北海道教育庁へ行って、工業高校教育について伺った記事を書きました。
主な問題意識は土木学科の卒業生をもっと輩出してほしいということですが、高校再編などが行われていて、子供たちが工業高校へ行きたいと思ってもその希望以上に間口が狭くなっているのではないか、という疑問があったことです。
教育庁の方の話を聞いていて、やはり認識が変わったのは、劇的とも呼べるほどの少子化の実態でした。
教育庁の方とのお話です。
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小松「さて、始めに今回お伺いする前提なのですが、建設産業ではこの世界に就職をしてくれる次世代に担い手となる若者が少ないことに悩んでいます。そういう意味で、職業高校で一定の基礎知識を学んだ子供たちを社会に送り出す教育行政として、子供たちの数の問題や教育のについてどのようにお考えかを伺いたいのです。
特に、建設産業に入ってきてくれる若者として期待されるのが、工業高校の卒業生ですが、昨今は高校の入試倍率が高くても学級減になっているのではないか、と懸念しています」
教育庁「分かりました。まず始めに、高校を取り巻く現状についてお話をしましょう。子どもたちの数が減っているのはご承知のとおりですが、ピークは昭和63年の92,222人でした。これが平成14年には61,714人(63年度の67%)になり、平成27年では約46,162人(63年度の50%)と半減しました。
このことは、この広い北海道内にどのように高校を適切に配置していくか、ということも課題です。さらに社会の変化に伴って、『生徒の進路希望の多様化』や『学校の小規模化』といった課題も生じており、これらに対応することが求められています。
お尋ねの工業高校の生徒数で言うと、子供たちの全体数が減っているので減っていますが、実は割合で言うと、この十年間ほとんど変わっていないのです。工業高校の定員に限って言うと、十年前に7.2%だった定員は、今年の数字で見ると7.4%になっていますし、現員で言うと、7.3%だったのが7.5%になっており、比率で言うと決して減ってはいないのです」
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つまりは、圧倒的に子供の数が減っているので、土木を志す子供の数もこの道に入っている新規入職者も減っているのだと。
その減り方が激しいことから、今後、どの業種にとっても若い人は採りづらくなるに違いありません。
すると、これからは「条件の良いところ」や「魅力のある職種」に若い人が流れ込んで、社会を支える多くの業種で歪が出てくることが予想されます。
大変な労働環境を我慢する必要はなく、いつでも辞めて次の職場へ移ればよい。
水が低きに流れるように、人も流れて行きます。
各業種とも、労働環境の改善は待ったなしです。
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