人口約400人の高知県大川村が、議員のなり手がいなくなることに危機感を感じて、村議会を廃止して住民全体による町村総会を設置するという検討を始めたのだそうです。
この村では議員定数6人に対して、議員の平均年齢は70歳を超え、二年後の選挙への立候補者の確保が見込めず、村政が混乱する恐れがあるという判断。
そこで、村議会による間接民主主義を諦めて、住民による直接民主主義を試みるというのです。
かつて、自治体合併の動きが日本中で沸き起こった時の問題意識はまさに、「このままでは行政が成り立たなくなる」ということでした。
だからまだ行政に体力があるうちに、より大きな自治体と一緒になることで、大きな行政組織に地域の行く末を委ねるという形です。
結果として合併前は10人の議員で地域のことを決めていたのが、合併をするとその地域に配分される議員数は2人になるというようなアンバランスもありましたが、それも仕方がないと心を決したのが市町村合併であったように思います。
そういう意味ではもっと早くに周辺の自治体と合併をする選択がなかったのかなあ、という思いがします。
ただ、人口400人が、今の日本の地方自治法にあるような議会民主制の元で地域運営をするというのは実に大変です。
一般に役場の人数って、人口の0.5~1%くらいが標準です。10万人まちならば一般行政職は500人~1000人弱が標準です。
ただ、1%といっても、400人の自治体の職員が4人と言うわけにはいきません。当然もっと行政職員の人数は多くなり人件費は財政に与える影響も大きくなります。
おまけに、その職員によって各種の行政サービスをあまねく住民に提供しなくてはなりません。
国の各中央省庁の政策を住民に提供しようと思うと、一定の職員の数と多様さが必要で、いきおい、そもそも地域に一定の人口がないと、役場を支えることすら難しくなっていきます。
ではどうするか。
専業の議員となると報酬も少なく、なり手がないという声も聞かれますが、外国を見ると、議員が無報酬のボランティアで兼業も可というところもあります。
さらに議会は日々の夜に開催して時間の使い方を効率化するという工夫を行っているところもあります。
そういうところは市長も無報酬だったりもします。給料をもらっているのはシティマネージャーと言うマネジメントのプロと役場の職員だけ。
報酬の問題だけではなく、兼業や議会の夜開催などで、議会制間接民主主義を守るような段階があっても良いようにも思いますが、現行の法律ではそれも難しいのでしょうか。
これからもこうした自治体が増えてゆくことでしょう。もっと柔軟な民主主義のあり方を議論する時代が近づいているということなのでしょう。
もっといろいろな考え方と挑戦を認めるような社会の風潮が必要ですね。
多様な地域社会には多様な選択肢があって良いように思います。
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