星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

東方の夕暮

2005-06-11 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
   ここには夕暮が下りてくる。
   それは大洋を越えたどこかの国での曙なのだ。
         (「東方の夕暮と西方の曙」冒頭)
     
 ***

 ウチの詩集の棚は廊下、というか玄関先にある。たまに、そこから1冊を抜き出して開く、、、と、そのままそこから動けなくなって、何十分間も床にぺたんと座り込んでいることがある。
 この山室静さん訳の『タゴール詩集』は、私が買ったものの中でも古い方。タゴールという人が何処の国の人かも知らない頃に買ったものだ。自意識に満ちた他の詩人らの言葉に煽動されることを悦んでいた私には、まだタゴールは解らなかった。

   鉢の中の水はきらめいている。海の水は暗い。
   小さな真実は明晰な言葉をもつが、大きな真実は大きな沈黙をもっている。

 語ることの出来ない、真実の重みがわかってくるのはたくさんのきらめきと出会い、その光が消えるのを見送った後でだ。

 ***

   私は最上のものを択ぶことができぬ
   最上のものが私を択びとるのだ。

 タゴールが歌えば真実を語っていると感じられる。私がこう歌えば、それはただのうぬぼれでしかない。。。