11月の初めの日記で、、 ミステリーの読書がつづいた今年の残りを過ごすのに なにかミステリー以外で…
冬の物語、、 落ち葉の物語、、 雪の舞う物語、、 そんな季節を旅する物語もいいな。。。
… と書きました。
あのあとすでに手元にあったヴァランダー警部のシリーズを2冊、 そしてペレス警部の『空の幻像』を読み終えて、、 でもあの日記を書いた11月の初めには もうなんとなく決めていたんです、、 この本を読んでみたい、と。。
『シューベルトの「冬の旅」』 イアン・ボストリッジ著
アルテスパブリッシング 岡本時子・岡本順治 訳 2017年
***
ダン・エッティンガーさん指揮の ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集 と ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14 を聴きに行ったのが10月、、
その公演に行こうと決めたのはいつごろだったろう、、 その頃にイアン・ボストリッジさんの「冬の旅」に出会ったのです。。 クラシックも詳しくないし とりわけ歌曲のことは全く素人なので イアン・ボストリッジさんのことも全然存じませんでした、、
もう幾度も来日公演をなさっている私共と同世代のボストリッジさん、 来年の1月にそのシューベルトの「冬の旅」を歌う公演があると その時わかったのですが すでにチケットは完売。。 残念に思いながらCD検索をしたところ、、 なぜかCDではなく 書籍も出てきたので一体なんだろう… って思ったのが最初です。
出版社の紹介ページにリンクしておきます>>アルテスパブリッシング
、、シューベルトの「冬の旅」(Franz Peter Schubert, Winterreise D911, op.89 (1827) のCDは持っていなかったので、 動画でボストリッジさんの歌声も聴いてみました、、 ドイツ語はわからないけれど 力で圧するようなテノールではなく理知的で品があって、 わたしの耳と心を鎮めるように それでいて捕えて離さないように… いつのまにか全曲通して聴いていました。
歌うかた自らが楽曲を 詩を 譜面的な専門的な面ばかりを解釈するのではなくて、 シューベルトや詩人ミュラーの人となりや、 当時の文化的背景を紐解き、 さらに今日の私たちの生きている現代の関心事へと筆は思いのままにひろがっている様子。。 とても広範な知識を網羅して書かれているのに 語り口は初心者にもとても読みやすいものであるとのこと…
ボストリッジさんはオックスフォードで文化史を研究された、 もともとは音楽の専門教育を受けたかたでは無いという そんな経歴にも驚かされました。 (今年ずっと読んでいたヴァランダー警部の本でも、 ヴァランダーはオペラ鑑賞が唯一といってもいい趣味で、 若き日には声の良い友人をオペラ歌手にして共に世界中を演奏旅行して回る秘めた夢があった… なんて逸話も 当然私の頭に浮かびました)
そして この本の表紙… カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの絵。
フリードリヒと言えば、 昨年秋 シアターカイで観た ベケットの演劇「ゴドーを待ちながら」のパンフレットに使われていた 「月を眺める二人の男」が想い出されました…
Two Men Contemplating the Moon(Wiki)>>
、、昨年のゴドーの事も、 ツイートに書いたきり(>>)(>>) ちゃんとブログに感想をまとめられないでいました、、 シューベルト、 冬の旅、 ゴドー、 陸前高田の一本松、 フリードリヒの二人の男、 かつて見たタビビトの木(それについては昨年ここに書きましたね>>) …… なんだかいろいろと思いが繋がってきて、、 導かれるように (以前書いた、偶然を引き寄せる魔法のように)この本に出会えた気がして、、
***
第一章 「おやすみ」
、、 冬の夜も明けぬころ 男は女性の眠る家を出ていきます、、
「なぜ立ち去っていく必要があるのだろうか?」(本書より)
男性は何者だろうか? この家はどんなで この女性は? 「結婚」という言葉が一度はほのめかされたのに なぜ男は旅立つのか?
ボストリッジさんは バイロンやゲーテ、、 はたまた ジャック・ケルアックやボブ・ディランにまで言及しながら 文学、文化、歴史、、 さまざまな観点からこの第1章の歌への思索を私たちに語りかけてくれます。。
ディランが出てきたところで 思わず私も頷きました、、 朝まだき 女性を残して出ていく男… 私がこのブログに何度か書いた大好きな(そしてせつない)歌 「いつもの朝に」(原題: One Too Many Mornings)も頭に浮かびます(ボストリッジさんはこのタイトルを挙げてはいませんが…)
そしてなんと ベケットにも言及なさっています、、 ますます興味が惹かれます この歌に、、 この旅人の冬の旅に。。
歌詞も ドイツ語と日本語の翻訳とが併記されていて、 音楽を聴きながら何度も読み返しています。。
***
「冬の旅」は 全部で24の歌曲。 本書も24章と、終章で構成されています。 一日、 一章ずつ読むことが出来れば(日曜日おやすみしたとしても) 今年いっぱいで読み終えることができるし、、 べつに急ぐ必要もないのです、、 一章ずつ、一曲ずつ、、 味わっていければ…
そして できたら一章ずつ此処になにかを書いていきましょう。。
Schreib im Vorübergehen
Ans Tor dir: Gute Nacht,
Damit du mögest sehen,
An dich hab' ich gedacht.
冬の物語、、 落ち葉の物語、、 雪の舞う物語、、 そんな季節を旅する物語もいいな。。。
… と書きました。
あのあとすでに手元にあったヴァランダー警部のシリーズを2冊、 そしてペレス警部の『空の幻像』を読み終えて、、 でもあの日記を書いた11月の初めには もうなんとなく決めていたんです、、 この本を読んでみたい、と。。
『シューベルトの「冬の旅」』 イアン・ボストリッジ著
アルテスパブリッシング 岡本時子・岡本順治 訳 2017年
***
ダン・エッティンガーさん指揮の ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集 と ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14 を聴きに行ったのが10月、、
その公演に行こうと決めたのはいつごろだったろう、、 その頃にイアン・ボストリッジさんの「冬の旅」に出会ったのです。。 クラシックも詳しくないし とりわけ歌曲のことは全く素人なので イアン・ボストリッジさんのことも全然存じませんでした、、
もう幾度も来日公演をなさっている私共と同世代のボストリッジさん、 来年の1月にそのシューベルトの「冬の旅」を歌う公演があると その時わかったのですが すでにチケットは完売。。 残念に思いながらCD検索をしたところ、、 なぜかCDではなく 書籍も出てきたので一体なんだろう… って思ったのが最初です。
出版社の紹介ページにリンクしておきます>>アルテスパブリッシング
、、シューベルトの「冬の旅」(Franz Peter Schubert, Winterreise D911, op.89 (1827) のCDは持っていなかったので、 動画でボストリッジさんの歌声も聴いてみました、、 ドイツ語はわからないけれど 力で圧するようなテノールではなく理知的で品があって、 わたしの耳と心を鎮めるように それでいて捕えて離さないように… いつのまにか全曲通して聴いていました。
歌うかた自らが楽曲を 詩を 譜面的な専門的な面ばかりを解釈するのではなくて、 シューベルトや詩人ミュラーの人となりや、 当時の文化的背景を紐解き、 さらに今日の私たちの生きている現代の関心事へと筆は思いのままにひろがっている様子。。 とても広範な知識を網羅して書かれているのに 語り口は初心者にもとても読みやすいものであるとのこと…
ボストリッジさんはオックスフォードで文化史を研究された、 もともとは音楽の専門教育を受けたかたでは無いという そんな経歴にも驚かされました。 (今年ずっと読んでいたヴァランダー警部の本でも、 ヴァランダーはオペラ鑑賞が唯一といってもいい趣味で、 若き日には声の良い友人をオペラ歌手にして共に世界中を演奏旅行して回る秘めた夢があった… なんて逸話も 当然私の頭に浮かびました)
そして この本の表紙… カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの絵。
フリードリヒと言えば、 昨年秋 シアターカイで観た ベケットの演劇「ゴドーを待ちながら」のパンフレットに使われていた 「月を眺める二人の男」が想い出されました…
Two Men Contemplating the Moon(Wiki)>>
、、昨年のゴドーの事も、 ツイートに書いたきり(>>)(>>) ちゃんとブログに感想をまとめられないでいました、、 シューベルト、 冬の旅、 ゴドー、 陸前高田の一本松、 フリードリヒの二人の男、 かつて見たタビビトの木(それについては昨年ここに書きましたね>>) …… なんだかいろいろと思いが繋がってきて、、 導かれるように (以前書いた、偶然を引き寄せる魔法のように)この本に出会えた気がして、、
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第一章 「おやすみ」
、、 冬の夜も明けぬころ 男は女性の眠る家を出ていきます、、
「なぜ立ち去っていく必要があるのだろうか?」(本書より)
男性は何者だろうか? この家はどんなで この女性は? 「結婚」という言葉が一度はほのめかされたのに なぜ男は旅立つのか?
ボストリッジさんは バイロンやゲーテ、、 はたまた ジャック・ケルアックやボブ・ディランにまで言及しながら 文学、文化、歴史、、 さまざまな観点からこの第1章の歌への思索を私たちに語りかけてくれます。。
ディランが出てきたところで 思わず私も頷きました、、 朝まだき 女性を残して出ていく男… 私がこのブログに何度か書いた大好きな(そしてせつない)歌 「いつもの朝に」(原題: One Too Many Mornings)も頭に浮かびます(ボストリッジさんはこのタイトルを挙げてはいませんが…)
そしてなんと ベケットにも言及なさっています、、 ますます興味が惹かれます この歌に、、 この旅人の冬の旅に。。
歌詞も ドイツ語と日本語の翻訳とが併記されていて、 音楽を聴きながら何度も読み返しています。。
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「冬の旅」は 全部で24の歌曲。 本書も24章と、終章で構成されています。 一日、 一章ずつ読むことが出来れば(日曜日おやすみしたとしても) 今年いっぱいで読み終えることができるし、、 べつに急ぐ必要もないのです、、 一章ずつ、一曲ずつ、、 味わっていければ…
そして できたら一章ずつ此処になにかを書いていきましょう。。
Schreib im Vorübergehen
Ans Tor dir: Gute Nacht,
Damit du mögest sehen,
An dich hab' ich gedacht.