prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ジャーヘッド」

2006年03月07日 | 映画
オープニングの海兵隊の訓練風景は嫌でも「フルメタル・ジャケット」を思わせるが、その後も頻繁に過去の戦争映画が引用される。「地獄の黙示録」はもろに上映会の様子が出てくる(「ワルキューレ」に乗ったヘリコプター部隊の襲来に若い兵士たちが発情した動物のような大騒ぎ)わ、「ディア・ハンター」の「カヴァティーナ」は出て来るわ、兵士がガスマスクをかぶって「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーの真似をするわで、「戦争」そのものが現場の兵士にとってさえ実感が薄れ、「映画みたいなもの」になっているよう。

戦闘シーンらしい戦闘シーンはなく、空港を空爆するカットなどわざわざガラス窓に写して見せている。代わりに見られるのは、炎が消え去った後の黒こげになった死体であり、火がつけられた油田の黙示録的な風景だったりする。
戦場にいて平時を思い平時にいて戦場を思うという具合の文学的なセンスが強い。トイレでカミュの「異邦人」を読んでたりしてね。が、その分かったるくもある。

それにしても、海兵隊は妙にHEADという言葉が好き。「フルメタル・ジャケット」ではトイレの意味で使われていたし。
(☆☆☆)

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アカデミー賞

2006年03月07日 | 映画
作品賞 「クラッシュ」
監督賞 アン・リー(「ブロークバック・マウンテン」)
主演男優賞 フィリップ・シーモア・ホフマン(「カポーティ」)
主演女優賞 リーザ・ウィンザースプーン(ウォーク・ザ・ライン」)
助演男優賞 ジョージ・クルーニー(「シリアナ」)
助演女優賞 レイチェル・ワイズ(「ナイロビの蜂」)

これだけ主要部門がバラけた結果も珍しい。全員が初受賞というのは新鮮でいい。どこかの国みたいにいつも似たような雁首を並べられるはヤだものね。
「クラッシュ」は多少「ミリオンダラー・ベイビー」の余勢をかった感じ。 「ブロークバック…」が落としたのは、やはり同性愛映画はブレーキがかかるか。
「ハウル」が落ちたのは予想通り。

社会派的な作品が多かったせいか、テロを警戒していたせいか、ちょっと地味めな気がする。しかし、この受賞結果、全部日本の公開での宣伝に使えるのだね。みんな、これからなのだから。それだけ日本の公開は遅いということ。

「SAYURI」が撮影・美術・衣装デザインで受賞。「リアル」な日本ではないが、エキゾチックなコスチューム・プレイとして評価されたということか。

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「PROMISE」

2006年03月07日 | 映画
珍作。
ど派手を通り越して絶句するような色彩やデザインといい、チャン・ドンゴンが重力を無視し岩壁を「カリオストロの城」ばりに身体を横に倒して走ったり、鳥のコスチュームを着た女がでかい鳥かごに閉じ込められたり凧みたいに空を飛んだりと、「白髪三千条」を狙ってハズしてるみたいな冗談としか思えないシーンがてんこ盛り。
なんだか、アニメかファンタジー系のゲーム見ているような気がしてきた。
チェン・カイコーって、アメリカで撮った「キリング・ミー・ソフトリー」とか、なんかの間違いみたいなのを結構作りますね。

女にうつつを抜かしているシーンの真田広之のいやにだらしない顔が地みたいで可笑しい。
その女が三人の男を虜にするほどいい女に見えないのが困る。
まさかと思ったら、上映前にサラ金のプロミスのCMが流れた。
(☆☆★★★)

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