prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「燃ゆるとき」

2006年03月03日 | 映画
アメリカのユニオンの悪どさにちょっとびっくり。実質的に乗っ取り屋の一味ではないか。
アメリカでは弁護士同様、本来トラブルがあった時の調整役が自分でトラブルを作ってマッチポンプ式に金儲けのネタにするようになっているということだろう。
ユニオンのオフィスがやたらと立派で、舞台になっているラーメン会社のオフィスよりよっぽど金がかかっている。

こうなると金儲けの手段としても不健康で、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」ではないが、資本主義イコール手段を選ばぬ金儲けというわけではなく、相手も満足させると共に自分も儲ける、克己と相互互助の「商い」の精神というものが必須なはずと思ったりする。

今の日本がじわじわとアメリカ式資本主義日本に侵食されている時に、日本伝統の「家族的経営」(そんなの、こっちは経験した覚えはないが)のよさを示している感じ。甘いといえば甘いが、いい甘さだと思う。

中井貴一のスピーチは、そこまで持っていく段取りを含めてよくできていて感動的だが、日本語のわからないアメリカ人(というよりアメリカに来たメキシコ人)従業員まで感動しているのはちとヘン。

画面の美術的な厚みは今一つだが、演出の芝居のつかみ方はスクリーンのもの。
僻目か知らないが、「エクセレント・カンパニー」という言葉には手垢を感じる。

外国人俳優の役の書き込みとか演技が悪いわけではないのに、なぜか「日本映画の外国人」の型にはまってしまうのはなぜだろう。日本人俳優はそれぞれ勝手に芸達者を競っているのに。
(☆☆☆★)

燃ゆるとき - Amazon

にほんブログ村 映画ブログへ