prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「誇り高き挑戦」

2006年09月03日 | 映画
深作欣二監督、佐治乾脚本の1962年作。

鶴田浩二の大新聞を首になって怪しげな業界誌でゆすりたかりまがいの真似をしているブンヤが、その首になる原因になった丹波哲郎扮する元情報部員が進める武器密輸を告発しようとするが、中途半端なところで丹波が殺されて真相は闇から闇に葬られる。

大新聞が何一つ書くべきことを書いていない、「十年前から何も変わっていない」というセリフがあるが、十年どころかさらに44年経っても変わっていないのだから、呆れる。
何しろ、国会議事堂の近くに空き地がある時代なのだ。

鶴田がニヒリズムの象徴といった感じでずうっとかけていたサングラスを、外して国会を睨みつけるラストシーンは格好いいが、今見ると格好よすぎ。
まだ新聞記者意識が残っていて週刊誌をバカにしているような調子なのが、ちょっとひっかかる。

予告編では「ドキュメンタリー巨編」などと出るが、もちろん完全な劇映画だし、ドキュメンタリータッチともいえない。白黒画面のハードで硬質なタッチは魅力的。
悪者が全員ソフト帽をかぶっているあたり、和製ギャング映画風でありすぎる。
鶴田がずうっと連れているカメラマン、誰だかわからなかったが後で梅宮辰夫とわかって仰天。

「バトル・ロワイヤル」あたりでムリヤリに出していた国家に対する恨みつらみみたいな調子が、もう少し地に足をつけた感じで出ている。

丹波哲郎が押し出しよく英語を使っていろいろな国籍の外人を煙に巻くあたり、例のやたらもっともらしい芝居で可笑しい。
(☆☆☆)


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