IRA絡みのアイルランド紛争に巻き込まれて服役し、ボクサーとしてのキャリアを棒にふった男が、再びリングに戻って、テロとは違ったルールに則った戦いを見せる。
ただ、リングの上の戦いも、俗世間と無関係とはいかず、ボクシングの勝ち負けがドラマのクライマックスにならないのには、ちょっと戸惑った。
夫が服役している女性がぞろぞろいるというあたり、いささかびっくり。好むと好まざるとに関わらず、闘争を内から支える内助の功のシンボルみたいに扱われる悲劇。
最後の試合が、いかにもイギリス的に気取った紳士淑女が晩餐をとる中、アフリカ出身の相手と戦うというあたりが典型的にボクシングにまつわる階級・貧富・人種の差を見せた。
しょっちゅうヘリコプターがとびまわって監視の目を光らせているが、ときどきそのアングルを借りて俯瞰で地上を見下ろすと、慈悲を持たぬ神の視点ともとれる。
ダニエル・デイ=ルイスはこれが興行的に失敗したので役者を一時引退して靴職人になっていたのをスコセッシが口説いて「ギャング・オブ・ニューヨーク」でカムバックさせたが、その後二本しか出ていない(新作はポール・トーマス・アンダーソン監督 の‘There Will Be Blood’)。
もったいないが今みたいにアトラクション・ムービー全盛だと出番が少ないのは仕方ないか。
(☆☆☆★★)
本ホームページ
ボクサー - goo 映画
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ただ、リングの上の戦いも、俗世間と無関係とはいかず、ボクシングの勝ち負けがドラマのクライマックスにならないのには、ちょっと戸惑った。
夫が服役している女性がぞろぞろいるというあたり、いささかびっくり。好むと好まざるとに関わらず、闘争を内から支える内助の功のシンボルみたいに扱われる悲劇。
最後の試合が、いかにもイギリス的に気取った紳士淑女が晩餐をとる中、アフリカ出身の相手と戦うというあたりが典型的にボクシングにまつわる階級・貧富・人種の差を見せた。
しょっちゅうヘリコプターがとびまわって監視の目を光らせているが、ときどきそのアングルを借りて俯瞰で地上を見下ろすと、慈悲を持たぬ神の視点ともとれる。
ダニエル・デイ=ルイスはこれが興行的に失敗したので役者を一時引退して靴職人になっていたのをスコセッシが口説いて「ギャング・オブ・ニューヨーク」でカムバックさせたが、その後二本しか出ていない(新作はポール・トーマス・アンダーソン監督 の‘There Will Be Blood’)。
もったいないが今みたいにアトラクション・ムービー全盛だと出番が少ないのは仕方ないか。
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