prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「死霊伝説/完全版」

2006年09月18日 | 映画
スティーブン・キングの上下二巻にわたる長大な「呪われた町」を、3時間にまとめたテレフューチャー。
3時間かけてもこぼれるところは多くて、神父がアル中というあたりをはしょったのは長さだけのせいではないと思うが、残念。

監督のトビー・フーパーとしては、テレビなのであまりどぎつい見せ場を作れない分、じっくりした雰囲気描写や丹念なカットつなぎに工夫をこらしている。
ところがラスト近く、いよいよ吸血鬼の館に入ったと思ったら「サイコ」ばりの階段の使い方や真上からの俯瞰ショットにぐらぐら揺れる電灯の光の視覚効果、「悪魔のいけにえ」ばりの動物の角で人間串刺し、といったオタク的に凝った演出の連打になるのがご愛嬌。
ラストカットの満月に髑髏が一瞬だぶるのも「サイコ」で、怖いというより稚気に笑ってしまう。

ヒロインが「ダイ・ハード」1.2のボニー・ベデリア。当時(1979)31歳、後年よりかなり細くてきれい。
(☆☆☆)


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「有難や節 あゝ有難や有難や」

2006年09月18日 | 映画
1961年日活製作、山崎巌脚本、西河克己監督、和田浩治主演。
守屋浩の「有難や節」という妙に耳につくアヤシゲな歌からでっちあげているうちにあらぬところに暴走したみたいな怪作。
ラスト近く、トラクターに乗った昭和天皇のそっくりさんがなぜか突然現れることで有名。

マルクス兄弟の「我輩はカモである」の鏡のギャグ(ドリフがパクッていた方が有名だろうが)がすごい強引な形でパクられている。もともと鏡に映ったようによく似た二人の人間がそっくりの動作をしてみせるギャグなのに、似てもいなければ動作もまるでずれていて、それで鏡ということになってしまうのだから。

さらに、本来ならば車の先にカメラをとりつけて撮る主観撮影を、ただズームで寄りながらハンドルでも切るように画面が右に傾いたり左に傾いたりするカットで代用したりする。手抜きというより悪ふざけ。
そのくせ、お祭りの群集の数はすごい。

ちょっとだけ当時16歳の吉永小百合が登場。ぷくぷくしていて、今に持って来てもアイドルとして使えそう。というか、こういうところの日本人の好みはあまり変わっていないみたい。

有難や節 あゝ有難や有難や



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