大島渚の、ATGとの提携最後の作品。この後、「愛のコリーダ」「愛の亡霊」「戦場のメリークリスマス」「マックス・モン・アムール」と海外と提携しての創作に移行する。
沖縄返還に合わせて、沖縄に縁はあっても本土で暮している三人組(栗田ひろみ、りりィ、殿山泰司)がやってきて、で、どんなドラマになるのかというとこれが一向に要領を得ない。
どんな縁があるのか、というか、だいたい沖縄にどんな人間がいるのか、という要素がまるで描きこまれていないため、ドラマになりようがないのだ。
沖縄のことを知ったかぶりして描いてはいけないから、というのではなくて、単に知らないで頭で描いているのではないか。返還に合わせて大急ぎで作ったみたい。今見ると風化がはなはだしい。
武満徹は、生前難しい音楽ばかり書くと思われているのに反発して、「ぼくはやろうと思ったらバカバカしいくらい甘ったるい曲を書けるんですよ」と言っていたが、さしづめこのタイトル音楽など、それに当たるのだろう。
しきりと三人が飲むのがキリンビールなのが変な感じ。今だったら、オリオンビールでしょう。
(☆☆★★★)

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