prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「地下鉄(メトロ)に乗って」

2006年11月19日 | 映画
原作は読んでいないが、地下鉄を通っていくうちに過去に通じてしまうという、ジャック・フィニィの「レベル3」ばりの話。

主人公堤真一が半蔵門線永田町駅のホームで生きているとは思わなかったくらい高齢のはずの元教師に会うあたりは、田中泯の異様な眼光や佇まいから自然に現代ばなれした雰囲気が出ていて、その後、死んだはずの兄を追って地上にまで出て行くまでは永田町駅の構造を正確に捉えたリアルなつなぎなのに、地上に出た途端、衆議院議長公邸につながる246の坂道の横に出るはずが、中野新町に出てしまうという飛躍が割とうまくいっている。

もっとも、途中から地下鉄のトンネルを走るイメージ・ショットがはさまるとぽんと過去に行ってしまうというちょっとサボリぎみの処理になって、父親との和解がドラマの核なのだか、主人公が生まれる前の父親は理解しても、「現在の」父親と和解したわけではないから、どこかすっぽ抜けた印象が残る。

焼け跡などの美術セットは大掛かりに凝っているが、あまり荒れた雰囲気は出ていない。
丸の内線を、今使われていない全体が赤い車両のをちゃんと走らせている(写真参照)のは良い。

いつも主人公が商品見本の衣料品を詰めた大型のケースを持って歩いているのが、「旅」をしているような雰囲気を出していて良い感じ。
(☆☆☆)


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