軍用ウィルスが漏れて感染した村人は殺人鬼になり、それを軍がまた封じ込め抹殺しようとする。ミクロの殺人鬼とマクロの殺人鬼の脅威が平行して描かれ、そこからの絶望的な脱出行が軸になる。
感染者は見た目あまりゾンビとあまり変わりないが、殺せるし蘇ってこないのが違う。殺せば殺せるので暴力描写はゾンビものみたいにやたらくどくない。回転鋸が感染者の手から離れても勝手に床をはねてきたり、カーウォッシュの中で視界が限られているのを生かしてスリルを醸成するあたり、工夫が見られる。
オリジナルでは穏やかな老婦人が防護服を着た兵士を編み棒で刺し殺すシーンのコントラストが記憶に残っていた。
オリジナルのジョージ・ロメロ監督が製作にかんでいるせいか、割と冷ややかで日批評的なタッチは踏襲されている。
アメリカとアラブ首長国連邦との合作というのが目をひく。金に国境はありません。
主演のティモシー・オリファントは若い頃のアンドレイ・タルコフスキーにちょっと似ているように見えた。
(☆☆☆★)